Navy・Room



 



 

  「売春してたから」


  結構いい値がついたよ、と茶の間の会話のように事も無げに続けられ一瞬思考が膠着。次には、納得。

  「成る程、慣れていらっしゃるわけですね。軍でも?」

  普段はストイックなイメージが強いが、その肌は雄の本性を根元から刺激する危険な肌艶だった。

  唇と舌と掌でその肌を堪能する。薄いが何故か柔らかいと感じる胸の可憐な突起を舌で濡らすと熟れた果実のように色を

  濃くした。

  「…っ…ぁ…ん…軍人はヤるだけ…ふぁ…商売にはな…ないよ…」

  慣れた体は過敏に反応を返す。腰を浮かし下肢を擦り寄せ、次の愛撫を誘う。まだ服を身に着けていたが、熱く快楽が燻っ

  ているのが分かる。

  「淫乱ですね、提督は」

  「イヤな事が続いてね」

  ヤンの掌が動き、そっと布越しに男の下肢を確かめた。そこは硬く張り詰めていた。

  「君も…」

  「特に面白い事もありませんでしたからね」

  クスリと小さく笑いヤンは相手のベルトを外そうとしていた。その手付きは、不器用でコーネフは可笑しくなった。

  その空気の流れを胸に感じ、ヤンはムッと口を尖らせた。

  「笑わなくったて、いいじゃないか」

  拗ねる様子が、男を虜にする。

  普段は色事とは無縁に見えて、婉然と誘い、なのに子供っぽい。魅力的なアンバランスはとてもバランスが取れていた。

  「それは計算ですか?」

  「なに?計算って?」

  まるで分かっていないヤンの様子に、コーネフは笑うしかなかった。

  「なんでもありません」

  ヤンが手こずっているベルトを外し、スラックスを緩めた。するとヤンは下着の中に手の忍ばせてくる。やわやわとその

  形や大きさ、そして硬さを確かめて吐息を漏らした。ほんの僅か、ヤンの腰が震えたのを、コーネフは見逃さなかった。

  「餓えてますね」

  見透かされ、目元を紅く染めたヤンは濡れた瞳で男を睨め付けた。

  「相手はいくらだっているでしょうに」

  コーネフの脳裏に何人かの男の顔が過った。

  一瞬、ヤンは軽く瞼を伏せた。密な黒い睫毛に遮られ、コーネフにはその瞳が揺らいだのかも分からなかった。探求する

  ほど、興味もなかった。

  「君がよかったんだ」

  次には口元に笑みを浮かべながら掌の陰茎をゆるゆると擦り上げられ、続きを促された。

  「そうですか」

  それ以上言わず、コーネフは胸への愛撫を再開した。突起の先端に尖らせた舌で突っつき、スラックス越しにヤンの下肢

  を揉む。

  「…ん…っ…ぁ…は…っ…」

  餓えた下肢は物足りなさを訴えるが、コーネフはそれを楽しんでいる様でヤンは与えられるだけの快楽を余すことなく貪

  ろうと燻る熱に意識を沈めた。皮肉にも、それは物足りなさを如実に感じるだけだった。焦れたヤンは腰を浮かし、少し

  でも強い刺激を求めた。

  コーネフは口端を上げた。それは、彼らしくない意地悪なものだった。

  「物足りないようですね。だったら―――

  ご自分でどうぞ。

  突き放す低い声が耳元で囁き、ゾクッとヤンの神経を侵す。


  紛れもない快楽の前兆。


  薄暗かった部屋には煌々と照明が灯された。

  クチュクチュと卑猥な水音と小さな喘ぎが明るい部屋を淫靡に変えている。

  「……ぁ…はっ…ぅ…ん…」

  冷たい視線が身体中に絡み付くのを感じ、自然とヤンは自身を擦る手の動きを早めた。

  「まだ、ですよ。他に感じるとこがあるでしょ?」

  揶揄う声が堪らない。奥が疼いて疼いて、耐えられない。

  ヤンは更に脚を広げて、自身の蜜で濡れた指で蕾に触れた。物欲しそうに蠢いていて、ヤンは羞恥に身を焼き尽くす。そ

  れも快楽で、陶然とした軍人らしからぬ指は躊躇いなく二本の指を突き立てた。

  「ああっ!」

  自分の指と一緒にコーネフの視線までもが内部に侵入して来た気がして、ヤンは大きく震えて蜜を溢れさせた。片方の掌

  が自身を擦るのを視て、コーネフは笑う。

  「提督、こっちは弄らないんですか?」

  視線は色付いた胸の果実を突っ突く。操られたようにヤンはその果実を弄り出した。

  「…あ…っ…あぁ、んっ!」

  熟れた突起をキツく捻り、無意識に増えた三本の指が内壁を掻き回す。喘ぎは甲高い嬌声となり、呆気なく果てる。

  背を弓なりに反らした躰が余韻に弛緩するが、未だ足りないとヤン自身は震えて訴える。

  淫らで爛れた行為に、コーネフ自身も抑えがきかなくなる。汗ばんだヤンの肌から抗えない色香が漂い、理性を讃える黒

  い瞳は恍惚と濡れて誘う。掠れた声が自分の名前を呼んだ。

  ヤンの脚を抱え、腰を浮かせたコーネフは陰茎の先端を含ませた。ヤンの内部は熱く、感情を焼き尽くすほどの熱さだっ

  た。誰もがのめり込む、そう思うほど具合がイイ。強弱を付け、誘う内壁の蠢きに逆らえない。

  「ぁうっ!ああっっ!!」

  一気に奥まで切り裂かれる。その衝撃に脳髄まで痺れ、ヤンは耐えるようにシーツを握り締めた。

  急なことで、ヤンの顔色はほんの少し青醒めている。シーツを握る手も白く成る程だったが、痛みではないのは萎えない

  ヤンが教えていた。むしろ、完全に勃っている。

  「ああ、そうでしたか」

  一人納得したように呟く。

  その内、内壁は陰茎に馴染み、畝り蠢き出した。コーネフは奥まで埋め込んだ陰茎の先端で内部を探る。

  「あ…あ…ふぁ…ああ…」

  もっと激しく揺さぶって欲しくて、ヤンは潤んだ瞳に男を映した。

  「ひっ!」

  突然、ビリッと快楽が電流のように躰中に四散し、ビクッと戦慄いたヤンはキツく眼を瞑った。

  「ココですね」

  ポイントだ。なだらかな腹部の裏側、前立腺を探り当てたコーネフは口端を上げた。それから、陰茎をギリギリまで引き

  抜き、探り当てたポイントを外して奥まで何度も穿つ。

  「ああ―――ッ!!」

  望んだ、激しい快楽を与えられたヤンは歓喜の嬌声を上げるが、後一押しが足りない。快楽が渦巻き、苦しい。シーツを

  握っていたヤンの手は自身に伸びた。苦しくって苦しくって、早く解放したかった。

  「……それで、イけるんですか?」

  「…あ…」

  腹部に熱い迸りを感じ、ヤンは泣きそうなほど恥ずかしくなった。自身に触れていない。嘲る低い声に反応してしまった

  のだ。

  コーネフは一旦動きを止め、そんなヤンを見下ろした。ヤンの羞恥を煽る為だ。下唇を噛み締め、羞恥に目元を染める姿

  は極上で雄の本性を揺さぶる。餓えた咽頭を誤摩化し、コーネフはベッド脇の応急セットから包帯を取り出した。

  「提督は2回出しましたけど――

  そう言って、萎えたヤンの根元を包帯で巻いていく。

  「コーネフ?やめっ!ぃっ?!」

  ギュッと締め付けられ、苦痛に眼を閉じる。

  「俺はまだですから」

  だから、お預けです。

  「ひっ!!いやっ!ヤメっ!!」

  コーネフは容赦なくポイントを責める。気が狂うほどの快楽が渦巻くが解放できない。それどころか、包帯が喰い込んで

  痛くてヤンの顔色は青醒めている。

  「よく締まってますよ?」

  顔色とは裏腹にヤンの内部は灼かれるほど熱く絡み付いてくる。襞の一つ一つが雄を搾り取ろうと貪欲に求めていた。上

  擦った息を更に乱し、コーネフはなおも激しく衝き上げた。

  「ああ―――ッッ」

  恐ろしいほど奥まで穿かれ、果てれないヤンは果てた。痙攣しながら締め付ける内壁にコーネフも果てる。態度の冷たさ

  とは裏腹の熱い精が内蔵の粘膜に届いた気がするほどの勢いだ。

  躰の奥が熱く濡れる感覚に虚ろな黒い瞳は蕩けていた。

  「まだですよ。あと一回」

  覚束ない呼吸を繰り返すヤンの腕の引っ張り、起き上がらせ、コーネフ自身はベッドに寝そべった。

  「動いてください」

  崩れそうな躰をヤンはコーネフの綺麗に整った腹部に腕を立て、何も考えられないほど快楽に酔った。








 

 


    □   □   □



 

 

 



  目が覚めたヤンは、思考の中の靄を頭を振って追い出した。

  起き上がろうとして、痛む躰に再びベットに落ちる。

  「大丈夫ですか?」

  大して心配してないような声に視線を移すと上半身を曝してベッドボードに凭れたコーネフだった。

  「もうちょっと休ませてもらってもいいかな?」

  情事後の気怠さとは異なる面倒くさそうなヤンに苦笑を浮かべ、コーネフはクロスワードの続きを始めた。

  暫くしてヤンはノロノロと起き上がった。シャツに腕を通すのを見て、シャワーは?とコーネフは声を掛けた。一応ヤン

  の躰は清めたが、シャワーを浴びた方がスッキリするだろう。

  「ん――メンドい」

  だらしなく軍服を着たヤンは部屋を出て行こうとした。

  「提督」

  呼ばれてヤンは肩越しに顧みる。

  収まりの悪い髪がヤンの目元を遮り、その視線の先きがどこかコーネフには見えない。一瞬、なにを見ているのか探求し

  たいと欲求が沸くが、敢えて無視する。のめり込むのはガラではない。

  …多分――

  だから、なのだろう。

  「またどうぞ」

  揶揄うようで期待のない台詞にヤンの口元に困ったような笑みが浮かんだ。




 

 

  クスリと小さな音を置き去りに、ドアは閉じた。






終    

 



 

 


 

 

 

 

 

ドン黒でドMな紅茶提督が書きたかっただけです。

神聖なコーネフ氏を汚した感があります。本当にスミマセン(土下座)

でも、コーネフが良かったんです…。