**注意**        

単にエロが書きたくなったのです。

金銀妖瞳は相変わらず変態でカッコ良くないです^^;


 

 nfinity ove2

 

 

 



 

 

  オスカー・フォン・ロイエンタールは粘着質である。愚痴時も当然、粘着質。


 

  「折角の休日にアイツは図書館なんぞに行くんだ。信じられるか?」

  「………………」

  「返却しに行くくらいなら買えばいいだろうが。貴重な時間を何だと思ってるんだ」

  「………………」

  「そう思うだろう、ミッターマイヤー」

  その休日の貴重な時間に押し掛けて来た親友に同意を求められてもミッターマイヤーは頷ける筈もない。

  「…ロイエンタール」

  ミッターマイヤーは痛む顳かみを押えた。

  「もうそろそろヤンが帰ってくるんじゃないのか?」

  「図書館にいってアイツが1・2時間で帰ってくるワケなかろう」

  言外の、お前もう帰れ、に気付かないロイエンタールは面白くなさそうに珈琲カップに手を伸ばした。最低4時間は居る、と続

  けられた言葉にミッターマイヤーはゲンナリした。

  …俺はあと2時間はコイツに付き合わなくてはならないのか。

  グチグチ、愚痴を聞かされるくらいなら愛する妻エヴァと出掛けたい。

  アハハ…ウフフ…待て待てエヴァ、捕まえてみてウォルフ…現実逃避の幸せ脳内デートに不吉な影。

  「図書館はこの近くだからな、ヤンと待ち合わせしてる」

  「…………もしかして、ここでか?」

  「そうだ」

  ヤンが来るまで居座る気の迷惑親友。

  「…酒でも呑むか」

  呑まなきゃやってられないミッターマイヤー。




  最低4時間は本当に最低だった。

  夕暮れにやっとこさ来たヤンにミッターマイヤーは酔い潰れたロイエンタールを押し付け、即玄関の鍵を掛けた。挨拶する間も

  ないのが彼の怒りようを実に良く表している。

  ぐでーん、と凭れる恋人を支えられるほどヤンは力持ちではない。

  「お、おも…い…」

  蹌踉ける脚を踏ん張るのがやっとでにっちもさっちもいかない。

  「ロイエンタール、ちょっと、しっかり立って…」

  共倒れしそうだ。

  「……ヤン…?」

  酔っ払いは薄く眼を開けた。耳元には苦しげな息遣いで、ヤンの肩に顎を乗せている状態の視界には癖のある艶やかな黒髪。

  「ヤン…」

  「あっ?!ちょっ、ロイッ??!」

  「逢いたかった…」

  黒髪に隠れた耳を甘噛み、酔っ払い特有の熱を持つ低い声で囁く。粘着ジェラシーは寂しがり屋の甘えん坊でもある。特に酒が

  入るとヒドイ。

  「えっちょ、やめっ!」

  でも漁色は漁色でしかなく手が早い。場所も考えずヤンの体を弄り始めた。焦ったのはヤンだ。ヤンは素面で人ん家の玄関先な

  のも野外なのも分かっている。しかしロイエンタールの体は相変わらずぐでーんとしていて放り出すわけにもいかない。 

  図書館に引き蘢りの多少の罪悪感もあるし、こんなんでも恋人なので粗雑にはできない。

  調子に乗った掌はシャツをたくし上げて素肌を滑り始めた。

  「…ぁ…っ」

  酒で火照った熱い掌は酔っ払いとは思えないほどの的確な愛撫。ヤンの性感帯をもう体が憶えているのだ。


  「いい加減にしろ————っっ!!!」


  家の前でおっ始められブチ切れミッターマイヤーは勢い良く玄関を開け、ロイエンタールの耳を引っ張り怒鳴りつけた。

  鼓膜を破る怒声に頭がグラングラン。てか、気持ち悪い。

  「………………吐く」

  「えっっ?!!ちょっ離してくれっっ」

  そこまで愛してないヤン。

  「お前らっどっか行けっっ!!」

  同時にミッターマイヤーに駄馬の様に蹴られた。

  余りに酷い仕打ちに憤りと自己の矜持でなんとか吐き気をやり過ごしたロイエンタールは根に持っていた。そりゃもうしつこい

  位に根に持っていた。


 

  「お前、本当に俺を愛しているのか?」


  それから事ある毎にこれで、ヤンはいい加減うんざりしていた。

  今の『事ある毎』はヤンの残業だった。明日が休みの決戦の金曜日。ロイエンタールは仕事をベルゲングリューンに押し付けて

  『一緒に退府』だったのだが、ヤンは仕事が終わらなかった。ただそれだけなのに、これだ。

  「………………」

  黙々とヤンは書類にサインしていく。机の前のロイエンタールは多分幻覚と自己暗示。

  「ヤン、お前は俺を愛しているのか?」

  ロイエンタールは書類をヤンの手から抜き取った。幻覚はこんな事しない。

  はぁー、とこれ見よがしの溜息を付てヤンは書類を取り返した。一体この男は何の為にせっせと書類にサインしていると思って

  いるのだろうか。

  …早く帰る為って、なんで分からないかな。

  一応、愛故。でなければ好きでもない相手とお付き合いするわけない。しかもホモだ。同性愛だ。職場恋愛にイバラ道だ。

  「おい」

  「あー、はいはい、もうちょっとで終わるから、待つなら外行って」

  しっし、とヤンは追い払った。

  「…………」

  一応一緒に帰宅の意思はあるとみたロイエンタールは引き下がった。デスクの前のソファに。

  視界に入る、愛してるなら早く終わらせろオーラにヤンの仕事は捗らなかった。

  墓穴掘りまくりに気付かない金銀妖瞳と疲れ切ったヤンが元帥府を出たのはとっぷり夜も更けていた。


  地上車の後部座席に乗り込むとヤンはドアに凭れた。疲れた、の一言。

  凭れるなら自分にしろ、と云わんばかりにロイエンタールはヤンの肩を抱いた。ヤンは大人しかった。面倒くさいのだ。

  胸の重さと温もりに色違いの双眼が愛おしそうに細められた。ミュラー辺りが目にしたら鳥肌を立てる優しい眼差しだ。ビッテ

  ンフェルトなら現実逃避に叫びだすだろう。

  「……ヤン」

  暫く大人しくしていたロイエンタールは恋人の顎を指先で掬い、そっと口付けた。

  船を漕ぎ始めた無防備なヤンは唇に触れる温もりに心地良さげな吐息を漏らした。

  ヤンは触れるだけなら好きなのだ。

  伝わる相手の体温に満足する、お手軽な淡泊に対するロイエンタールは触れたらとことん。性の不一致でよく別れないものだ。

  「…ふ…ぁ…ロ…」

  船を漕ぐ隙に舌挿入。肩を抱いていた手は軍服をたくし上げシャツから潜り込み、ヤンの片脚を自分の膝に乗せたロイエンター

  ルはスラックスの上からやんわりと揉みだした。

  「ゃ…っ…ちょっと…やめっ」

  ロイエンタールの肩を押し、重ねた唇から逃げたがすぐに捕まる。

  「んっ」

  明らかに情欲を掻き立てる掌と口腔を貪れ、ヤンの意識に熱が侵蝕してくる。

  「…まっ…ぅ…ふ…っ…」

  隙間無く重なる唇の角度が変わる合間に抗議をするが、すぐに鼻梁から漏れる吐息に変わる。

  息を吐く間もない口付けは舌と唾液が絡み、車内には地上車のモーター音と水音の二重奏。

  肩に置かれたヤンの手が僅かに震え、快楽が意識を侵していく様子がロイエンタールにも手に取る様に分かった。

  漸く離れた二人の唇は、透明な幾筋の糸でまだ繋がっている。

  「…充分待った。もう待てん」

  言葉の呼気に糸が切れ、ヤンの口元から顎に伝い、ロイエンタールの舌が唾液の道を追った。

  「えっやだっ」

  事に及ぼうとするロイエンタールに必死に抵抗するがあっさり座席に押し倒される。

  ヤンに残された手段は言葉しかない。

  「おっお腹空いたっっ!!」

  「…………」

  持てる限りの力で色気のない叫び。流石に萎える。ロイエンタールは溜息を付き、ヤンの上から退いた。ぷぃ、とヤンとは反対

  のウィンドウにそっぽ向き。

  …やれやれ。

  子供じみた不貞腐れにヤンは小さく溜息。人のふり見て我がふり見ないヤンに溜息吐かれるのも心外である。

  実に微妙な沈黙の車内。

  沈黙を気にしないヤンにロイエンタールのイライラは募る。ここは機嫌取りに身を擦り寄せるくらいしろ、だ。

  …大体コイツは————……。

  逡巡するように色違いの双眼が彷徨い、気付いた衝撃の事実にロイエンタールはヤンを顧みた。これ以上ないくらい双眼が見開

  き、固まっている。

  思い返せば、ただの一度も『愛してる』を言われた事がない。付き合う事になった際に漸く貰った言葉は『あーまぁ、私も…好

  き…です(…多分)』だ。後半は口籠りがちでハッキリとしていなかった。そんな初々しい照れ具合が余りに可愛い過ぎた。ハッ

  キリ聞こえなかったが、好き、という言葉も嬉し過ぎた。張り切り過ぎて、初っ端から夜明けの黄色い太陽だった。ちなみに、

  散々怒られ一ヶ月は顔も見たくない言われたツライ翌日だった。勿論、承知はしなかったが。

  「……………」

  余計なことまで思い出してしまったロイエンタールは再び窓の外に目を向けた。虚ろだ。

  …な、なんだろう?

  同じく窓の外をなんとなしに見ていたヤンはウィンドウに映ったロイエンタールの奇妙な行動を目にしていた。なんか車内が息

  苦しい。

  地上車は腐敗臭を運びロイエンタール邸に到着。


  執事はドアを開け、帰宅の主を出迎えた。

  「お帰りなさいませ」

  「…ん」

  良く出来た執事は若干元気無い主の様子を知りながらもその表情を変えることはしなかった。

  「軽食を用意しろ」

  「畏まりました」

  自室に戻ったロイエンタールは即ミッターマイヤーに電話した。わざわざ軍用の個室だ。

  『よう、どうし』

  「卿は奥方に愛してると言われたことがあるか?」

  『…はい?』

  挨拶もそこそこに、一体コイツはナニを言い出すのか?しかも、凄く真剣な顔で。

  「あるのかないのか、どうなんだ?」

  『え、そりゃあるさ』

  「――ちっ!」

  『……………』

  なんで忌々し気に舌打ちされなきゃならんのだろう?ミッターマイヤーの眉がきつく寄る。親友の失礼さは身を以て知っている

  が余りに失礼だ。

  『あ』

  文句の一つも言ってやろうと口を開きかけたミッターマイヤーは突如閃き、ポンと掌を叩いた。

  『分かった。卿はヤンに愛してると言われた事がないのだろう?』

  「……………」

  図星でバツが悪いロイエンタール。

  『ヤンの性格では無理からぬことだな』

  ミッターマイヤーの口元は意地悪気で楽し気だ。羨むロイエンタールとは珍しくて面白いのだ。

  『まぁ精々頑張れ。あの口を割るのは無理だと思うがな。大体おま』

  ブチッ!!

  ロイエンタールは通信切断のボタンを叩いた。握り拳が震えている。通信切断と共に、なんかキレたようだ。そして大股闊歩で

  リビングのドアを壊す勢いで開けた。

  「ヤンッ!!」

  「ほぉ?」

  お腹空いたヤンはソファで上着を脱いでサンドイッチを頬張っていた。ここん家のローストビーフは絶品なのだ。

  「ふぁふぇまふ?」

  空きっ腹が満たされたヤンは可愛い。しかもサンドイッチをリスのように頬張って、残り一つとなったローストビーフのサンド

  イッチをロイエンタールに差し出している。

  俗にいう、はい、あーん、なシチュエーションに心持ち浮かれる、お安い金銀妖瞳はヤンの隣に座り、あーん。

  ふふん、ミッターマイヤーに負けず劣らずラブラブだ、と自分を慰めるロイエンタールを余所に、ヤンはさっさとソファを立ち

  上がり今度はブランデーをいそいそと用意し始めた。

  「………………」

  絶品のローストビーフが美味しくない。しかもヤンはブランデーの瓶とグラスと本を持って窓際の独り掛けの安楽椅子へ行って

  しまった。

  …ここはソファで二人でグラスを傾けるべきだろうがっ!

  怒りのままに嚥下。彼は案外ムードを大事にする派なのだ。

  不穏なロイエンタールを気にもしないヤンは食後のブランデーに一人ご満悦。

  「…?」

  開いた本に人影が映りヤンは顔を上げた。

  仁王立ちのロイエンタールだ。

  「お前、俺に言うべき事があるだろう?」

  70回は軽く超えてる、愛しているのか?にまだ答えを貰っていない。

  話しが見えないヤンは不思議そうにお目々パチパチ。

  暫くお待ちください。ただいま考え中。

  「ああ、そうだよね。ゴメン、一個多く食べちゃって。あ、でも、ほかのはちゃんととっといたから」

  ヤンはローストビーフの事だと思った。

  「…その、ごめん…」

  食い物の恨みは恐ろしいとダブル勘違いしているヤンはすまなさそうにロイエンタールを上目遣いで見上げた。

  ここまで意思の疎通がないと滑稽だ。笑いが込み上げてきたロイエンタールは咽頭の奥で漏れそうになる邪悪な笑いを噛み殺し

  た。

  色違いの双眼はアブない底光り。

  精々頑張れ、と云われてからには頑張るロイエンタールはいきなりヤンを肩に担ぎ上げた。

  「えっ?!ちょっ!!」

  バタバタ暴れる脚を片腕押え、もう片方の手にブランデーの瓶を持つ。両手が塞がっているので、脚で寝室へのドアを蹴破る。

  ムードは大事にするがその他は特に大事にしない主のおかげで執事は蝶番の修理もできるようになったのだ。修理屋さんもビッ

  クリな仕上がりである。

  「うわっ!」

  ヤンは背中からベッドに投げるように落され、衝撃に眼を瞑った。肩に担がれた瞬間にある程度の予測はついていたが、もう少

  し穏便に降ろしてほしい。

  「何度も言うけど私は荷物じゃ―――

  「愛してる。お前は?お前はどうなんだ?」

  美形は羞恥心がなくても平気でいいな、と真剣勝負のロイエンタールが恥ずかし過ぎるヤンは薄ら頬染めで視線を逸らした。

  可愛い。だが、今日のロイエンタールは誤魔化されなかった。

  「ヤン」

  答えを促されても、やっぱり恥ずかしい。

  「ど、どうって…その…もちろん…」

  愛はあるしヤンなりに態度で示しているつもりなのだが、改めて言葉にするには羞恥心が勝り、ごにょごにょ。

  耳まで真っ赤でヤンが照れているだけなのは分かるが、愛が足りない!のロイエンタール。

  「…ヤン…言ってくれ…」

  熱い吐息の囁きはゾクリとするほど低い。背筋に悪寒に似た熱い痺れが走り、ヤンは鼻梁から乱れた吐息が漏らし肩を竦めた。

  ここで待てばいいのに、ベッド=えっちぃの条件反射でロイエンタールはヤンの耳に舌を入れ、体を弄りながらヤンのシャツの

  ボタンを外し始めた。パブロフ。

  脳に直接響く水音が淫靡に響く。こちらも条件反射で、ヤンは余計恥ずかしさに体を熱くさせた。

  「…ぁ……ん…っ…」

  耳の狭い道にねっとりと唾液が流れ込み、ぞわっと全身が泡立つ。それを掌の愛撫が快楽へと変え、息が乱れていく。体を捩っ

  て抵抗を示すが、いつの間にスラックスのベルトとボタンが外れ、少し浮いた腰からズラされた。臀部にベルトの硬さが当たり、

  ヤンは不快にまた身を捻った。予測していたロイエンタールはその隙に下着まで太腿半ばまで引き下ろした。耳から首筋、鎖骨

  へと舌を滑らすと、擽ったさもあって上に逃げようとするヤンの体を利用し、更にスラックスと下着を下ろす。膝まで下げれば、

  あとは手を伸ばして引き抜くだけ。流石は漁色。

  「…ぁっ!」

  じかに自身を握られ、漸くヤンは下肢を曝け出している事に気付いた。いつもながら見事な手管に舌を巻くが、賞賛する余裕は

  無い。

  「…あぁ…っ」

  緩々と扱かれ、同時に胸の尖りを強く吸われる。じわ…と滲む快楽とツキンッとした快楽が一つの体に混ざり合う。汗ばみ始め

  た肌にシャツが吸い付き、余計熱が籠る。茹だる熱を吐き出すには乱れた息遣いでは足りず、自身の先端から透明な雫を零して

  いた。

  ロイエンタールは片手で自分のベルトを外しスラックスを緩めると昂る陰茎を取り出した。空気に晒される開放感とこれからの

  逸り、陰茎は力強く脈打つ。

  「…ヤン…」

  象牙の肌に散らした小さな紅い所有印に支配欲を満たし呟くと、応えるように敏感な体は波打った。片方の掌で腰を持ち上げ、

  蕾に先端を擦り付けると硬く閉じた襞は綻ぶようにヒク付く。

  「…ん…ぁ…は…っ…」

  ヌメる先走りの液に濡らされ、卑猥な音が耳に張り付く。自身に絡み付く長い指は強弱を付け巧みにヤンを追い上げ、しかし決

  定的な刺激は与えない。

  焦らされ、ヤンの腰は強請るように揺れ、喘ぐ合間に必死にロイエンタールの名を呼んだ。

  熱を帯びた甘い声は卑猥な音よりも、よりロイエンタールの欲を昂らせた。切なそうなのに、ねっとりと耳を侵す魅惑の音色だ。

  このまま切り裂いて支配したくなるのを自分を抑え、ロイエンタールはヤンの腕を引っ張った。

  「あっ?!なに…っ?!」

  「ヤりづらい」

  ヤンの上体を起こしたロイエンタールは体の位置を入れ替えた。ベッドボードに半分背中を預け、ヤンを自分の体を跨ぐように

  膝を立たせる。

  急なことでヤンは壁に手を付き、フラつく体を支えた。自分の状況を確認する前に、下肢を強烈な快楽に襲われる。

  ロイエンタールは目の前のヤンを口腔に迎え、多少丸みの寂しい臀部を両手で広げて奥に息衝く蕾までも左右の中指で広げた。

  「ああぁぁ――ッッ!!」

  前と後ろを同時に責められ、壁に爪を立てたヤンは背筋を駆け上る快楽に仰け反った。

  長い中指は内部も広げていく。

  「あっあっ…ぁっんん…っ!」

  指の腹で柔らかく内壁を擦られ、爪で粘膜をそっと削られる。痛みと快楽が混じり、気が狂いそうだ。

  ロイエンタールは止めどなく雫を溢れさせる先端を舌で抉り、小刻みに震えるヤンの太腿に快楽の果てが近い事に気付いた。内

  部を責める指を片方引き抜き、物足りなさそうな襞のヒクつきに色違いの双眼を楽しそうに細めた。そして、ヤンの根元を指で

  締め付けると同時に内部には3本の指を衝き入れた。

  「ひっ!!」

  咽頭に詰まった嬌声を上げ、ヤンの体はビクビクと空気に跳ねる。淫らなダンスのようで、ロイエンタールは指の抜き差しを激

  しくさせ、口腔のヤンにも濃厚な愛撫を与えた。

  「ああっあ――っ、やぁっ!ロイっもっはな…っ!!」

  指の衝き上げは激しく、崩れ落ちる事も叶わない。出口を失った熱は何度もヤンを責め立て、天井を仰ぐ見開いた黒曜の瞳は閃

  光を映し甲高い声を上げてドライオーガズムに踊った。凄まじい快楽はヤンの体力と精神を蝕み、苦痛に等しい。

  「…っがい…も、やめっ…ああ――…」

  壁に縋るように項垂れたヤンから細い懇願が漏れ、漸くロイエンタールは口腔からヤンを解き放した。果てれない快楽に可哀想

  なくらい震えている。慰めるように先端に軽くキスをすると、とろり…淫らな涙を流した。

  ロイエンタールは少し体を起こし、虚ろに涙を流す黒曜の瞳を覗き込んだ。

  濡れた瞳は吸い込まれそうなほど煌めき、何も見えてない瞳に自分だけが映し出されロイエンタールの背筋を震えさせた。

  流れた涙を唇で吸い取り、愛してると囁くと密な黒い睫毛が震えた。

  「…ぅん…」

  透通るような笑みを浮かべ、ヤンは小さく頷いた。ロイエンタールの胸が躍った瞬間だ。

  「…ヤン…!」

  込み上げる、叫びたくなるほどの愛おしさに唇を啄み、ヤンの唇は薄く開いて応えた。

  「…ん…」

  唇を隙間無く重ねる。ヤンの腕は壁から離れ、ロイエンタールの頭を抱き抱えた。ロイエンタールもヤンの背を抱いた。

  二人は舌を搦め合い、角度を変え、互いの口腔を貪った。鼻梁から漏れる吐息は官能を極め、布越しの汗ばむ肌は互いの体温を

  共有した。どちらの体温が高いのか、垣根は無い。

  息も付かない口付けにヤンの体は弛緩した。呼吸困難で、ドクンドクンと重い音が脳に直接響く。

  「…は…ぁ…」

  離れた唇から漏れる吐息が重なる距離に視線も重なる。

  ふと、ヤンは笑みを浮かべた。

  そして―――

  「…ぁ…ぅ…ん…」

  ヤンは自ら腰を落とした。解かされた蕾はロイエンタールの陰茎を柔軟に受け入れようとしたが力の入らない体では先端の一番

  太い箇所を含むのは困難だった。

  「…あ…あ…あ……」

  圧迫に喘ぎながらも腰を落としていくヤンにロイエンタールは呆然となった。

  「ん―――っっ!」

  「――くっ!」

  なけなしの力を振り絞ってヤンは陰茎半ばまでなんとかロイエンタールを包み込んだ。初めての事でヤンの内壁は緊張し、蠕動

  してながらキツク締め付けた。その快楽はロイエンタールの脳内まで痺れされるほど強烈なものだった。

  「…ぁ…ロ…ィ…」

  これ以上は無理だと緩く揺れる黒髪にロイエンタールは蕩けるよな優しい笑みを浮かべた。

  「…十分だ…ヤン、愛してる」

  広い掌に頬を包まれ、ヤンははんなりと笑みを浮かべ、長い吐息を漏らした。

  内部が緩むのを感じる。だが、癒着した襞は奥へと誘う。

  ロイエンタールは細い腰を両手で掴み、引き下ろすと共に腰を衝き上げた。

  「ああ―――ぁぁッッ!」

  最奥まで貫かれ、快楽の激痛にヤンの背が撓る。先端がロイエンタールの腹部で擦られ、シャツのボタンが当たり、ヤンはすぐ

  に果てた。

  果てる全身の痙攣に内壁はくねり蠕動し陰茎を締め付けた。襟足の短い毛を強く握られ、痛みを憶えるがロイエンタールにはそ

  れすらも快楽の一部だった。

  「ひゃぁっ!ああ…んッッ…」

  呼吸が整う間もなく、大きく上下に揺さぶられる。ロイエンタールは抉るように腰を使い、ベッドのスプリングを利用して激し

  く衝き上げた。

  漏れる吐息は甲高い嬌声でしかなく、身を包む快楽にヤンの意識は混濁していく。口元から銀の雫が顎を伝い、仰け反る首筋に

  道ができた。

  「…はっ…ヤン…ッッ!」

  何度も何度も衝き上げ、込み上げる愛しさと快楽が畝り、限界が近い。

  ロイエンタールは舌でヤンの甘い唾液を逆に辿り、しっかりとヤンの薄い肩を掴んだ。舌は熱く喘ぐ唇に到達し噛み付くように

  唇を重ねたロイエンタールは一際強く衝き上げた。

  「ンン————ッッ!!」

  果てたばかりの過敏な体は快楽に貪欲で、ロイエンタールの腹部に挟まれたヤンはシャツの違和感と込み上げる快楽に弱々しい

  反応を示していた。内部の最奥の奥に、熱く放たれた迸りは勢いも強く内蔵にまで届けられた気がする。その瞬間の陰茎の脈動

  まで感じ、ヤンは立て続けに果てた。半分ほどの量と薄い粘度のそれをシャツが吸い込む。

  体が所々痙攣し、弛緩していく。肺まで痙攣し、ヤンの呼吸は嗚咽の様だった。ロイエンタールの首に縋っていた腕はベッドに

  軽い音を立てて落ちた。意識も朦朧としているのだろう、半ば伏せられた瞳はただ宙を鏡のように映しているだけだった。

  腕の中で沈んでいくヤンの体をそっと抱き締めロイエンタールはその温もりを堪能した。

  「…ヤン…」

  胸を締め付ける愛しさが心地良い。抱けば抱くほど、執着は増すばかりだ。無限に広がる宇宙のように魅了してやまない。

  …だから―――

  欲もやまない。

  「…お前が煽ったんだからな…」

  聞こえていないのを承知で耳元で囁き、芯のない柔らかな体をベッドに横たえさせた。







   □   □   □



 

 

  「…ロイエンタール、君は本当に私を愛してるのかい?」

  「当然、愛している」

  加減を知っていても無視する男はしらっと答えた。

  調子に乗った猛禽は燃えに燃えて、目覚めた時は黄色い太陽ならぬ、夕陽だった。ヤンの体はギスギスと木製のようになってい

  る。部屋を移動したわけではないのに寝ている間にシーツ交換も済んでいて、ちょっと恥ずかしかった。きっとロイエンタール

  に抱き抱えられたまま、メイドさんが交換してくれたのだろう。もしくは、バスを使っている間か。

  どちらにしろ、事後が丸判り。

  未だベッドから起き上がれない自分の傍で悠々とワイン中の男に疑わし気な視線を投げるが、どうせ同じ返答しか返って来ない

  だろうと、諦めの溜息を付く。

  「………喉渇いた」

  「ん」

  ロイエンタールはグラスにワインを注ぎ、肘で上体を支えるヤンに渡す。零れないように少しだった為、ヤンはお替わりを催促。

  それにワインを注いだりと、ロイエンタールは甲斐甲斐しい。食事も手ずから食べさせたり、トイレに運んだりと、寝たっきり

  青年の介護を結構楽しんだケダモノはことの外上機嫌だ。そうは見えなくても。

  本を読む気力もないヤンはベッドで大人しくしていた。てか、動けない。

  時折ロイエンタールはヤンの髪や頬にキスを落し、時間は微睡むようにゆっくりと進んでいく。

  喉が渇いたと言えば美味しいワインが注がれ、まぁ悪い気がしないヤンの機嫌は悪くなかった。

  本日なん杯目かのワインを催促。封を切ったばかりの白ワインはキレがよく、ノド越しが爽やかだった。

  そしてナイトテーブルのコールが鳴り、いつもの流麗なコール音は―――


 

  『ああっ!ロイっあっ愛しってるっ!!』


 

  着ボイスです。

  「―――ッッ!?」」

  ヤンは喉元まで飲み込んだワインを盛大に吹き出した。

  「なっなにコレッ!?」

  真っ赤になって問い質すヤンに厚顔無恥は涼し気に宣った。


 

  「他に録音出来るものがなかった」

 



  『ああっ!ロイっあっ愛しってるっ!!』

  『ああっ!ロイっあっ愛しってるっ!!』

  取るまで来る返される着信ボイス。ロイエンタールは三回堪能してからスイッチを押した。

  「なんだ?」

  『ミッターマイヤー様からお電話でございます』

  美丈夫は、繋げ、と命じた。



  ミッターマイヤーは外出中だった。

  明日は日曜で休みだったので独り者のミュラーとかビッテンフェルトとかファーレンハイトらと呑んでいた。ひょんな事で昨日

  の話しになり『ヤンは口を割ったか?』の話しになったのだ。

  電話機の周りに酔っ払いが4人。取り次ぎのコール音が切れるのを今か今かと待ち構えていた。

  コールは切れた。

  「よ―――

  『…ンの恥知らず————ッッ!!変態!!ド変態ッッ!!!消せッ!今すぐ消せっっ!!二度と私に触るなっっ!!金輪際、顔も

   見たくな―――――いっっ!!!』

  プチ。

  ミッターマイヤーは電話を切った。

  4人の顔が蒼白だったのは言うまでも無い。

  通夜のような飲み会は深夜まで続いた。気持ちが重く、なかなか腰を上がられなかったのだ。



  生涯で一番マズイ酒だった。



 

 


げんなり。





 

 

  余談。

  月曜の昼前には『大喧嘩で別れた』の噂が元帥府に行き渡りマイン・カイザーに事の真偽を問われた金銀妖瞳の顔には縦横無尽

  に引っ掻き傷が走っていた。そして厚顔無恥は勝ち誇った表情でマイクロテープを取り出しボリューム最大で噂を否定。

  昼過ぎには手形も加わった金銀妖瞳。