バブルでゴー!  ※注意※某タイムマシーンではありません。




 

 

 

  「ふー…気持ちいい…」

  ノビーとヤンは広いバスタブに手足を伸ばした。それでも縦も横もたっぷりと余裕があり、ロイエンタールの屋敷の中でヤンのお気に入りの場所だ。

  温々浸かっているとウトウトしてくる。

  「おい、溺れるぞ」

  低い美声が木霊し、ほえ…?と見上げると均等の取れたいかにも鍛えてます的な肉体が惜しげもなく曝されていた。

  そんなヤンにロイエンタールは咽頭の奥から笑いを漏らし、シャワーを浴び始めた。

  「…ン…ッ…ちょっと…」

  立ったままなので水滴が跳ねて顔に掛かり、せっかくの気分が台無しとなったヤンはバスタブの湯をロイエンタール目掛けて掛けた。そんな子供っぽ

  い仕草は余計笑われるだけと何故判らないのか、ロイエンタールは咽頭の奥で込み上げる笑いを噛み殺し、手早く済ませてバスタブに入った。

  勢いよく湯が溢れ、排水溝に渦を作る。

  「珍しいね」

  いつもはシャワーで済ませるのに。

  「お前の長湯を待つのはつまらんからな」

  皮肉気な酷薄の笑みを浮かべ、ロイエンタールはヤンを抱き寄せた。シャワーで温まった右肩にヤンの濡れた髪が触れる。

  「ちゃんと洗ったか?」

  「なにそれ?子供じゃないよ」

  ロイエンタールの機嫌は良いらしく、揶揄う口振りにヤンから苦笑が漏れた。

  「ここは…?」

  「……っ…」

  耳の裏側を舐められ、ヤンは肩を竦めたがロイエンタールが逃がす筈もなく空いた手で顎を掬われ、唇が重なる。

  「……ん…っ…ふ…ぅ…」

  舌先で抉じ開けられ、火照った口腔を容赦なく犯され、ヤンの鼻梁から苦し気な吐息が零れた。巧みな口付けはヤンの思考を蝕み、含み切れない唾液

  が口端から溢れる。薄らと開いた漆黒の瞳がトロン…と蕩けているのに気を良くしたロイエンタールは更に唇を深く合わせた。

  「…んん……っ…」

  霞んでいく思考の中でヤンは必死にロイエンタールを引き離そうとしたが、力ない腕は単に縋るだけであった。互いの唾液と吐息が二人の口腔の中で

  混ざり合い、頭の中にも舌と舌が絡む水音が反響し、呼吸も思考も圧迫されていく。

  無意識に逃れようと躰を捩るが、抵抗というには些細なもので余計にロイエンタールを煽った。捻った事で僅かに浮き上がった臀部に掌を滑らせ、指

  の腹で蕾を撫でると、透明なお湯の中でヤンがピクリと反応した。

  …まったく―――

  意地っ張りで意固地な性格とは別に躰は素直で、男心をくすぐる。内心でクスリと笑い、ロイエンタールは口付けを解いた。

  「…は…っ…ぁ……」

  溜息のような熱い吐息を漏らす濡れた唇は艶かしく、蕩けた黒曜の瞳にロイエンタールはゾクリとした。弛緩したヤンの躰を持ち上げると、驚いた声

  を上げるが次にヤンの口から漏れたのは紛れもない嬌声だった。

  「あ…っ…ふぁ…っ…」

  自分に跨がらせたロイエンタールは互いの陰茎を擦り合わせる様に腰を揺すり、両手で双丘を広げて指を埋めた。バスに浸かり緩んだ蕾は抵抗なく一

  本目を根元まで銜え込んだ。ロイエンタールはヤンを緩やかに衝き上げながら2本目を埋めた。左右の指で蕾の入り口をも広げられ、内部にお湯が入

  り込んだ。

  「…ゃ…っ…」

  その違和感に背を仰け反らせたヤンの首筋に舌を這わせ、鎖骨の浮いた骨を甘く噛み囁いた。

  「そうか?気持ち良さそうだぞ?」

  内壁はギュッと指を締め付け、擦り合せたヤンはピクピク震えている。

  「…んっ……っ……ぁ…あ…っ……」

  根元まで埋められた指は奥で細かく震える襞を撫で、次第にその動きは激しくなっていき、込み上げる快楽の熱に囚われたヤンは背を反らした。身の

  裡の奥深くが疼き、ロイエンタールに下肢を押し付けながら腰が揺らめいている。水面は波打ち、バスタブから湯が音を立てて溢れる。

  湯の跳ねる音がバスルームに籠る様に、解放に至らない中途半端な刺激にヤンの躰に快楽が籠っていく。

  間断なく漏れる喘ぐ唇からは溜飲するには熱すぎる唾液が顎へと伝う様は卑猥で、陶然と泣き濡れた瞳はヤンの理性が残り僅かであるとロイエンター

  ルに教えていた。満足げな笑みを浮かべる唇は火照り赤みを増したヤンの肌に幾つもの華を咲かせ、蕾も艶やかに咲かせていた。

  ふと、ロイエンタールはヤンの肩が冷えている事に気付いた。このままでは風邪を引くかもしれないと脳裏に過るが、ヤンの媚態に煽られ収まりがつ

  かないロイエンタールは今更ベッドに移動する気にはならなかった。

  「あっ!?」

  指が引き抜かれると予告なく体勢が入れ替わった。そして、ヤンは自分の片脚が宙に浮いたのが見えた。

  「――――――――っ!」

  どうなっているのか理解するよりも、貫かれた衝撃に無音の悲鳴が上がる。いくら充分に解されたと云っても指とは比べ物にならない質量に痛みはい

  つでも付き纏い、冷たい感覚が鋭く突き抜ける。同時に込み上げる快楽の熱に灼かれる。相反するものが混沌と交じり合い、僅かに残ったヤンの理性

  を容易く攫った。

  甲高い享楽の悲鳴が広いバスルームの隅々にまで響き、躰全体で身悶えるヤンの仕草は娼婦顔負けの妖艶さだ。畝り蠕動する内壁はロイエンタールを

  締め付け、細かな襞は雄を取り込もうと陰茎の括れにまで吸い付く。

  「ヤン…っ!」

  快楽に酔う塗れた漆黒の瞳も好きだが、快楽を貪欲に求め妖しい篝火を灯す瞬間がロイエンタールを駆り立てる。変貌する瞬間を目の当たりにし、色

  違いの双眼には獲物を捕食する猛禽のような兇暴な底光りし、口元は愉悦に吊り上がった。

  誰も知らないヤンを自分だけが支配している満足感は得難い至福だ。熱く畝る内壁に締め付けられる直接の快楽とは別に、ゾクゾクと脊髄に纏わり付

  く悦楽に突き動かされ、ロイエンタールは本能のままにヤンを衝き上げた。

  「あぁっあ…っ…!」

  引き抜くと切な気な声が上がり、衝き上げると快楽に浮かされた声が上がる。甘く、甲高い嬌声が室内に反響し、ロイエンタールの聴覚を愉しませた。

  激しい律動でバスタブの水面は嵐の様に激しく乱れ浴槽から音を立てて溢れ出た。

  それだけではなかった。許容量を超えた快楽が激しく揺さぶられるヤンの躰から溢れ出そうとしていたが、後から後から襲いくる快楽に吐き出す暇が

  なく、ヤンはただ喘ぐだけしか術がなかった。

  それも終わりが来る。

  膝を付いていたロイエンタールがもっと激しく衝き上げ易くするため中腰に立ち上がった。

  「ひ……っ!」

  体勢が変わり、引き摺られる様にヤンの躰は湯に沈んだ。思考の片隅に溺れる恐怖が過り、最奥を衝く陰茎をギュッを締め付けた。身の裡深くにロイ

  エンタールの形や硬度、そしてその激しさをまざまざと感じヤンは果てた。

  「――――くっ…!」

  釣られて果てそうになるのをロイエンタールは奥歯を噛み締めた耐えた。まだ果てには勿体ない。

  事切れそうな長い呼吸を繰り返しグッタリとしているヤンは、その身に降り懸かった凄まじい快楽に躰を震わせ、何度も先端から白濁の雫を零してい

  た。それはドクドクと脈打つ己のリズムと同じで、湯の中で霧散していく様子にロイエンタールは色違いの双眼を嬉しそうに細めた。

  「気に入ったようだな」

  欲に塗れた低い音は毒のようにヤンの思考を侵し、フルリ…と肩を震わせた。

  言葉の意味を理解する思考もない様子に満足気に笑みを浮かべたロイエンタールはヤンの片脚をしっかりと肩に掛け直し、ヤンが沈まない様に両手で

  腰を支える。

  「ぁっ……!」

  果てたばかりで敏感な躰は僅かな動作にも過敏に反応した。先程の激しさが嘘の様にロイエンタールはワザとゆっくり動き、ビクビクと過剰な反応を

  するヤンを愉しんだ。

  緩やかな刺激に気持ち良さそうにあまやかな喘ぎを漏らしながら、貪欲な内壁は物足りないと蠢く。アンバランスな誘惑はヤンの魅力の一つだ。咽頭

  の奥で笑いながらロイエンタールは次第に動きを大きく、そして激しくしていった。彼自身、我慢の限界が近い。

  「あっ…あっ…ンぁあ…っ…」

  反り返る陰茎の先端は内壁を突き破る様に抉り、太い茎に襞を擦られる摩擦感は例えようもない快楽だ。内部を満たすロイエンタールの熱に躰から思

  考までトロトロに溶かされる。触れられてもいないヤンは勃ち上がったことで水面から半分ほどその姿を現していた。そして、溶かされた証拠に先端

  から快楽の雫を絶え間なく零し、ヤン自身を伝い湯に溶けていく。

  「―――ヤンッ!」

  「っ!」

  一際強く激しく衝き上げ、熟れて蕩けた奥深くにロイエンタールは己の欲を勢いよく解放し、その苦しいまでの衝き上げと大きく震える陰茎の振動に

  ヤンも果てた。

  「……ぁ…っ…は…ぁ…っ……」

  躰の中を熱い白濁にぐっしょりと濡れた感覚は細胞の末端にも行き渡り、弛緩したヤンはズルズルと湯の中に沈んでいく。このまま温かい湯の中で意

  識さえも沈ませたくなり、陶然と濡れた瞳を瞼で隠していく。

  「おい、ヤン」

  ロイエンタールはそんなヤンの支えた。溺死なんて冗談ではない。

  「……ぅ…ん…」

  半ば意識のない呻き声に苦笑し、ロイエンタールは弛緩したヤンを抱えてバスタブに身を沈めた。水嵩が減っていたのでヤンの肩が湯に浸るまで身体

  を横たえさせ、濡れて額に張り付いた癖のある黒髪を掻き上げて露にした額に口付けを落とした。

  暫く大人しくしていたヤンだが、魘されような呟きを零した。

  「…あ“つ“い“…」

  逆上せる。

  余韻台無しの濁音だが、確かにこれ以上の長湯はよくないだろう。ぐでっとしたヤンを抱き上げたロイエンタールは風呂椅子に移動した。勿論ヤンも

  一緒で、自分の腿を跨がらせる様に弛緩した足を広げさせた。

  「…ロイ…?」

  てっきり部屋に戻るのかと思ったヤンは気怠そうに顔を上げた。そうするとほぼ正面に端正な顔がある。

  「ちゃんと洗わねばな」

  意地の悪い口元に嫌な予感がしたヤンだが、普段から運動神経とは生き別れで、更に逆上せ気味とあっては俊敏に動ける筈もなかった。

  「あ…っ」

  スルリ…と長い指が先程まで蹂躙していた蕾に滑り込んできた。ロイエンタールはもう片方の腕を伸ばし、シャワーのノズルを開いた。温かいお湯が

  雨のようにヤンの背中に降り注がれた。全開ではないのでシャワー音に隠れ、密かに、だが確実に粘度のある熟れた果実を潰すような卑猥な音が二人

  の聴覚を刺激する。

  咽頭の奥で低いくぐもった笑いを僅かに零し、ロイエンタールはワザと大きな音を奏でた。

  「……ん…っ…ぅん…っ……」

  長く節ばった指に掻き回され、鎮火した熱が根源から込み上げてくる。ヤンは下唇を噛み締め、漏れそうになる声を必死になって抑えた。少しでもロ

  イエンタールに聞こえないよう俯く。

  肩口にある、しっとりと濡れて艶を増した黒髪に色違いの双眼は意地悪くほくそ笑んだ。

  …まったく―――

  無駄な抵抗だ。躰は素直に揺れ始め、疼く身の裡深くをあからさまに曝け出しているのに。こんな風に意地になるのが男の嗜虐心を煽るとどうして学

  習しないのか。何度もその身に教えているのに、ヤンは変わらず初心でロイエンタールを酷く惹き付ける。

  「どうした?洗っているだけだぞ?」

  判っているくせに揶揄う口振りにヤンは顔を上げ、非難混じりに睨み付けたが、潤んだ瞳では効果はなかった。逆に嗜虐心と征服欲が沸き上がる。

  ロイエンタールは潤んだ瞳に軽く啄むような口付けをし、意地悪く囁いた。

  「俺に洗われるのが嫌なら、自分で洗うか?」

  見ててやるぞ。

  「…ロイエ……ッター…ル……ッ…!」

  恨みがましい声はどこか熱を孕み、きつく睨め付けてくる瞳は泣き出しそうで堪らない。何故こうも自分を手負いの獣の様に追い詰めるのか。

  「お前が悪い……っ」

  音の余韻が消える前に激しく口付けられ、自分のなにが悪いのか理解する間もなく、ヤンは荒れ狂った様に貪るロイエンタールの舌に翻弄された。

  「んん―――ッ!」

  激しい口付けは解かれる事なく、熱く堅い楔に貫かれ、甲高い悲鳴をも喰らい尽くされた。長く逞しい腕に雁字搦めに縛られ、何度も何度も鋭く衝き

  上げられた。快楽というには激しすぎる灼熱だ。指先一つの自由はなく、細胞の末端まで侵される。呼吸もままならい口付けは更に激しくなり、意識

  が何度も途絶する。その度に、新たに噴き上がる快楽と苦痛の熱に責め立てられた。

  …ああ―――――

  この恐ろしいほど美しい獣に総てを浸蝕されていく。

  「―――ぅッ!」

  「ぁ――――ッ!」

  衝き上げる勢いのままに鋭く放たれた熱い飛沫が内蔵の粘膜をも蝕むのを感じた時、発光する光景の中で浸蝕される事に抵抗する自分と、それを望ん

  でいる自分が在ることにヤンは気付いた。

  …私は――――

  それ以上、ヤンは考える事ができなかった。


 

  ロイエンタールは乱れた呼吸を繰り返しながら、腕の中で完全に意識を失い力のないヤンの躰を抱き締めた。

  「…っ…ヤ…ンっ…」

  未だ収まらない熱を持て余し、ロイエンタールは何度もヤンに口付けた。

  何度求めても物足りない。抱けば抱くほど満ち足りた気持ちになるが、ほんの少しでも離れれば焦燥感に襲われる。

  「……お前だけだ…」

  こんなにも自分を狂わせるのは。

  幼い頃作り損ねた心は産まれた事に歓喜し、そして、持ち主でさえも御し得ないほど乱舞する。自分でさえも恐ろしく成る程の執着心だ。

  苦しいほどの愛おしさに苦い笑みを浮かべ、そんなシリアスシーンが台無しな盛大なくしゃみがバスルームに木霊した。


 

 

 

 

 


終わり            




 


 

 

ギャグかシリアスか、どっちだっつーの!!