
|
透明戦士デュラハンマン
1
「おっはよー!」
セーラー服の少女の元気な声が、午前八時の赤陰家を揺すぶった。
「タクヤ、学校行こー!」
その声に応えるかのように、ガラガラとすりガラスの戸が開くと、中からランドセルを背負った、お下げの可愛らしい女の子が顔を出した。
セーラー服の少女の顔がほころぶ。
「あっ、エミちゃん、おはよー!」
「あっ、ユウラさん、おはようございます」
二人とも、礼儀正しく、ぺこりと頭を下げた。
「タクヤは?」
「あっ、お兄ちゃんはまだお部屋です」
「ほんと? あのヤドロク!」
最近覚えた言葉を無意味に叫んで、少女はドカドカと二階に上がっていった。
迷う様子もなく、階段を上がって、すぐ右のドアを開く。
「タックヤ、おっはよ……」
明るい声。しかしその言葉は、途中で止まった。
見てしまったのだ。
トランクス一枚で眠っている彼女の幼なじみの赤陰タクヤ。
そして、その隣りに眠っている人物を。
それは、彼より四、五歳年下と思われる全裸の少女だった。
プラチナブロンドのショートカット、超が付いてもおかしくない美少女である。
それで(もう一度書くけど)全裸。
そのうえ、どう見ても、二人は寄り添って眠っていた。あお向けのタクヤに、すがりつくようにして眠る少女。まるで……
「なっ、なっ、なっ!」
少女は混乱した。狼狽して困惑して赤面した。
なので、とりあえず日頃、やり慣れていることをした。
「タクヤーッ!」
ポニーテールをふり乱し華麗に宙を飛ぶと、カカト落としをタクヤのみぞおちに見舞う。
「うぐっ!?」
いきなりの衝撃に、タクヤのうめき声。しかし、まだまだ攻撃は終わっていない。
「何なの、何なのよっ、この子はッ!」
タクヤの首をひっつかんで、吊り上げて往復ビンタ。
「ぐっ、むぐっ、んっ!」
大騒ぎにもかかわらず、裸の少女はすやすやと眠っている。
「不純ッ、不潔よっ、このごくつぶしッ!」
最後にそのまま一本背負いを食らわす。タクヤは、部屋の壁に叩きつけられた。
「な、何だ、何なんだ……」
常人なら逆に気絶しそうな攻撃を受けて、ようやくタクヤは目を覚ました。
「おっ、ユウラ。おはよう」
「何がおはよう、よ!」
黒目がちのユウラの目が、涙ぐみながらつり上がっているのを見て、タクヤはやっと彼女が何かに怒っているらしいことに気が付いた。
「おい、何かあったのか?」
「それはこっちのセリフよ! 誰なのよ、この子っ!」
指さした先を見て、タクヤは目を丸くした。思わず呟く。
「うおっ、かわいい……」
「タクヤぁぁ……!」
タクヤは、今はそれどころではないことに気が付いた。その上、もっと基本的なことに思い当たる。「だ、誰なんだ、この子!?」
「白ばっくれないでよ!」
「いや、本当に知らないんだって! ま、まあ待て! とりあえず話しあおう!」
じりじりとつめ寄ってくるユウラを、必死でなだめようとするタクヤ。
間の悪いことに、タクヤのゴムの切れたトランクスが、ハラリと落ちた。
「あ……」
「サイッテー!」
少女が跳躍した。顔を股で挟み込んだ。タクヤの視界がユウラの白いショーツで埋まる。両足で顔を挟んだまま、身体を一気に反りかえらせた。タクヤの身体が宙を舞う。
「のわぁぁぁっ!」
ユウラは、タクヤをエアフランケンシュタイナーで、窓から外へ投げ飛ばした。
|