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 機械設計の仕事は、当然機械の設計図を描く事ですが、機械と言うとどうしても電気が絡んできます。
機械屋にとって電気とは、たちの悪い「酔っ払い」みたいなもんで、なるべく避けて通りたいところです。
しかし、この酔っ払いとうまく付き合うと結構便利な時があります。

そこで、一番たちの悪い酔っ払い「ラダー図」について説明したいと思います。
一応、ラダー図とは・・・ からはじめますが、あまり詳しくは書きません。(すみません、詳しくは他を当たって下さい)

1. ラダー図とは、(ラダーチャート、ラダーロジック ≒ シーケンス回路)

 
PLCのプログラムを記述するもので、(PLC:プログラム ロジック コントローラー、シーケンサ)

元々 実質
回路図を簡略化したもの プログラムそのもの(VB や C言語 みたいなもん??)

  上に書きましたが、私的には、プログラムそのものと思っています、ただ C言語などの様に、文字だけでは表現出来なくて、線や記号が出てきます。 (文字だけで表すモードも有)
 それは、元々が
回路図をベースに出来ているからです。(恐らく) (実際リレー回路でもラダー図で表すみたいです)

 (私的には回路図との対比はあまり重視していません、
全くの別物と思ってもいいと思うくらいです・・・)

  それで、下の2つは同じ回路を表します。
 右がラダー図ですが、左の回路図からの変更点は、下記くらいです。

 ○ 電源が省略されている
 ○ 入出力機器が番号で示されている
リレー番号といいます)(青字はコメントです、動作には影響しません)
    番号の前の X、Y はそれぞれ入力機器、出力機器を表しますが、
メーカーにより異なる場合があります。(厳密にいうと機種により)
    (三菱はXY、オムロンは番号のみ・・・など)


     

 ここで、スイッチの様な入力側のものを
接点、ランプの様な出力側のものを負荷(コイル)といいます。
 または、入力/出力 リレー(
デバイス)とも言われ、こちらの言い方の方がプログラムっぽい??と思います。

 ちなみに、左端の縦線は 「
母線」 その他の線は 「接続線」 といい、右端の縦線は、オムロンの取説にはありません。

2. 基本命令

 「
基本命令」などという仰々しい言い方をすると難しそうですが、ANDORNOT OR などのことです。

 上の画でいうと、スイッチ1 と 2 は 「
AND」 スイッチ1 と 3 は 「OR」 です。
 「
NOT(LD・NOT:ロード・ノット またはLDI:ロードインバース)」は「LD記号+斜線」で表します。(右図)

 また、PLCでは、RUN中(起動中)はラダー図を 先頭 〜 END まで延々と繰り返し実行しています。
 (その1実行を1スキャン、1スキャンする時間を
スキャンタイムといいます)

3. リレーとは、

 上で、
リレーという言葉が出てきたので・・・運動会でおなじみですが、ここでは、電気(信号)を中継するものということになります。
 例えば、小さなスイッチで大きな電力を ON/OFF したい時に、小さな電力で電磁石をONさせて、その力で大きなスイッチをONさせる様な仕組みを持った電気機器です。

 ですが、プログラム上では、現物のリレーそのものではなく、単に「
信号をやり取りするもの」でいいと思います。
 (変なことを書くと混乱させてしまうかもしれませんが、デバッグというかPGを追いかける上においては、リレー番号というのは、VB や C言語 の
変数名 に相当する ?? と考えるのがいいかと思います。)

4. A接点/B接点

 例えば、押しボタンSWで、
 
押した時だけ ON するスイッチであれば、それは、A接点
 
押した時だけ OFF になれば、B接点のスイッチという事になります。

 A接点(通常時OFFなので
N.C.:ノーマルクローズ) B接点(通常時ONなのでN.O.:ノーマルオープン)ともいいます。

 ちなみに二股のスイッチ(分岐)の場合 C接点 と呼ばれます。

 例として、非常停止の回路は、故障時の対策として B接点を使うことが多く、例えば下図のような感じになります。
 SWがOFFの時、接点はON状態ですが、入力(条件)が NOT・OR なので、非常停止信号は OFF です。 
 どちらかの 接点 がOFFの時は、上記の逆で非常停止信号 が ON します。

 
※ 本来、B接点とは、現物のスイッチが 「常時OFF 接点」 のタイプのことですが、NOT(LDI)命令のこともB接点と呼んだりします。



 ※ 実際は、Y001 はモーターそのものではなくモーター用のマグネットコンタクタ:MCなどのリレーに出力します。
 ※ MCにサーマールの機能を付加したものはマグネットスイッチ:
MS といいます。
 ※
インバーターを介している場合は、インバーターの所定の接点へ出力します。

5. 内部リレー

 上のラダーで 「おやっ」 と思った方がいると思います。
 M10:非常停止信号というのがありますが、これは
内部リレー(仮想リレー)と呼ばれるもので、現物の接点(入力 or 出力機器)は存在せず、プログラム内にのみ存在し、三菱では リレー番号の頭文字が 「M」 になります。

 それから、上記の様に、
出力に出てきたリレーを入力に使うことができます(出力の ON/OFF を入力条件に出来る)
 但し、
入力リレー(三菱ではX)を出力には使えません
 また、入力には、同じリレーが何度も使えますが、
出力に複数使う事はできません。(二重コイルと呼ばれ御法度です)

 ※ 上記の場合は、1行目の M10 の代わりに X10 と X20 の OR回路 を書いてもいいのですが、複雑なプログラムになると可読性が悪くなるので、通常上記の様に、内部リレーを介すことが多いと思います。

 ※ 二重コイルをOKとする様なPLCの機能もあります、また二重コイルをやってしまうと、2回目以降の出力が無視されるなどの動きになります。

6. 自己保持回路

 ※ 命令は種類がたくさんありますが、回路で覚える必要があるのは、「
自己保持回路」と「オルタネート回路(後ほど)」の二つくらいだと思います。

 上の非常停止の回路で X1 の ON/OFFスイッチは、セレクトSW や スナップSW を想定していますが、通常の押しボタンSW ですと、押している間しかモーターが回りません。
 これを、1回押すとセレクトSWをONした時の様な動きにするには、
ON状態を自己保持する必要があります。



 上記のような感じになります。上で書きました様に出力リレーは入力にも使えるので停止ボタンを押すまで「Y1 ON」を保持します。
 (ここでは非常停止信号:M10 は無視して下さい)
 それで、一番簡単な自己保持回路は下記の様になるかと思われます。



 しかし、上記では、
 @ 自己保持を始めるきっかけ(トリガー、スターター)がない。
 A 自己保持をやめるきっかけ(ストッパー、リセッター)がない。

 それで、上の上の図に戻ると、「X1:運転プッシュボタン」がトリガー、「X2:停止PB」がストッパーということになります。

 ※ M10もストッパーですが、用途的に考えて、「スタート時の必要条件」と考えていいかと思います。(概念的なものなので自分が納得出来る様に考えればいいと思います)
 いずれにせよ、自己保持回路には、通常、
トリガーストッパー が付きます。
 
 ※ 通常、保持るリレーの
入力側は、下段に 出力側は、上段(上図は一段ですが)に書きます。

 で、三菱の場合、自己保持と同等の役目をする SET/RST という命令があります。(オムロンでは左記以外にkeepというのもあります)

 おそらく、後から出来た機能と思います。よって使い分けの決まりは無いと思いますが、
 例えば、「大中小 のワークを センサーで判定して 振り分け装置を動かす」という制御で、判定結果を内部リレーに保持するといった場合は、
 「判定時に、SET命令で大中小いずれかの内部リレーをセットし、次のワーク供給時に全て RST する。」
 などという使い方には向いているかと思います。

 私個人的にSET/RSTを使う目安は以下のような感じです。
 ○ 実際の出力ではなく、内部リレーで情報/状態としてしばらく持っておきたい
 ○ トリガー と リセッター を離して書きたい時(逆に、リセッターを見つけにくく可読性が悪くなることも・・・)

7. 立上り命令

 下図は先ほど名前を出した「
オルタネート回路」です。(ラチェットリレー/フィリップ・フロップ)



 1行目の PLS(パルス)という命令は、入力側の条件が「OFF」から「ON」になった時、1回(1スキャン分)だけM1が「ON」します。
 よって、PB(プッシュボタン)を1回押すと、M1 をきっかけに Y1 が保持されます。
 もう1回、PBを押すと、下段の M1 のNOT(LDI)条件が満たされず、Y1 の保持が崩れてOFFします。
 ※ オムロンでは、立上り微分(DIFF)という命令になります。


 PLS とは逆に、「ON → OFF」時に、1回 ON する命令は、 PLF(パルフ)という命令です。(オムロンではDIFD)

 ☆ ところで、立ち上がりに関しては、出力側ではなく、入力側に書く書き方があります。(三菱)右図

 「LD記号 + ↑」でロードパルスといい「OFF → ON」時、1回だけONします。
 その逆は、「LD記号 + ↓」で、ロードパルフ、「ON → OFF」時 1回だけON です。

 ☆ ちなみに、押しボタンSW(現物) で1回押すと ON、もう1回押すと OFF するタイプを オルタネート式
   押している間だけ ON するのを モメンタリ式 と呼びます。(カタログに書いています)

8. 自動ドア

 「とにかく、実際のPGを書いてみましょう。」ということで
 下の画をPG化したのが下右のラダーになります。


 <上段回路>
 ○ 内外どちらかの人検知センサーON が、モーター正転 を保持る為の トリガー です。
 ○ 扉の開リミット が モーター正転 保持回路 の リセッター です。
 ○ 扉閉まり中(逆転中)は、モーター正転 保持回路はONしません

   ※ 人検知 ON で モーター逆転 OFF ⇒ 閉まり中でも人を検知すれば、開く方向
   ※ 安全のため、一旦センサーが ON すれば、開き切るまで、正転ON を保持する様にしています。

 <下段回路>
   見たままですが、
 ○ 
人センサーが全て OFF かつ 正転モーター OFF かつ 閉リミット OFF の間、モーター逆転 ON


以上で、ラダー図講座1は、終了としますが、

機械屋としては、知識として身につけるまでは行かなくても、ある程度の知識が頭の隅にでもあれば、役立つこともあるかと思います。

・・・という程、覚えることはないのですが、とにかく実際にやってみないと身に付かない類のものなので、身に付けるには時間と労力がいるかも知れません。

VB や C言語 などもそうですが、何度もPGを書いているうちに、「PG慣れした脳みそ」になってくるような気がします。

どうしても ラダー を書く環境が入手できない方は、三菱電機のHPで、無料の会員になれば、オンライン講習 が受けられますので、一度ご覧になってみては? と思います。
正直、不要なものもありますので、講座を選ぶ必要はあるかと思いますが・・・

一応、ラダー図講座2につづきます。(予定)

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