道具

茶道ではその成り立ちと所作の独特さゆえ、様々な独自の道具を使用します。



道具の役割

茶道には多くの専用の道具があります。そのほとんどは日常では見かけないものばかりです。 そして、ただ使用目的に沿って使うためのものではなく、茶会の趣旨や季節を表す役目も負っています。

茶道の道具はどれだけ高値で取引されようとも、決して美術品ではありません。あくまでも道具なのです。 茶道具の価値は美術的価値ではなく、亭主の使い方によって大きく変化します。 その道具の用途や謂われ、銘、季節、格など様々なことを考えて一番あったものを使わねばなりません。



以下に重要、あるいはよく目につく道具をいくつか紹介します。
流派によって型や決まりが違うことはよくあります。

掛物(かけもの) 茶会を行ううえで、掛物は最も重要な道具です。 それは、その茶会の趣向を一番はっきりと表しているからです。書が多く、画讃(書と絵が一体となったもの)もあります。 利休以降、絵のみが飾られることはあまりありません。書では禅語が多いです。
道具ではありませんが、茶席において唯一の生きているもの、 最も季節を表すことができるものとして花はとても重要な役目を負っています。また咲き誇っている時だけでなく、 時間がたちしおれてきている時こそ詫びの世界を感じることができるのです。
釜(かま) 釜は湯を沸かす道具です。冬は大ぶり、夏は小ぶりのものを 使います。画像は冬用の釜です。茶会を開くことを「釜をかける」というほど大切な道具です。釜の湯は亭主の心意気です。湯がぬるく てはいけない、たぎっているほどの緊張感が必要なのです。
炉(ろ)/
風炉(ふろ)
炭を起こす場となります。冬季は床を掘り下げた炉、夏季は 器状のつくりとなっている風炉を用います。このちがいにより、点前の動きは大きく変わてきます。画像は風炉を示しています。
水指(みずさし) 水を入れておく蓋付きの容器です。釜に足したり清めるなど 水も湯と同じくらい使うからです。客に近い位置にある道具なので主張がしやすいです。
柄杓(ひしゃく) 湯や水をすくう道具です。器部分である合(ごう)にどの程度 入ったかで全ての湯や水の分量を決まってしまう、重要な道具です。
茶器(ちゃき) 茶道具の中で最も格が高いのが、お茶を入れる器であるこの茶器です。 薄茶用抹茶を入れる薄茶器(うすちゃき)と濃茶用抹茶を入れる茶入(ちゃいれ(濃茶器ともいう))があります。 棗(なつめ)と呼ばれるどんぐり形の型が多く用いられます。
茶碗(ちゃわん) 客が手に取り、口をつけ、鑑賞できる唯一の道具であり、すべての 茶道具を代表するのが茶碗です。茶碗がなければ茶道は始まりません。なお、樂焼というのは利休が作らせた茶道の ための焼物であり「一樂二萩三唐津」と言われるほど、茶碗においては珍重されています。
茶杓(ちゃしゃく) お茶をすくう専用の匙です。竹製がほとんどです。茶杓は本来、茶人 自ら削るものとされているため最も亭主の人となりが表れている道具といえます。
茶筅(ちゃせん) 茶道具の中で最も有名かつ独特な道具です。茶を点てるために使用します。表千家流では煤竹(すすたけ)を用います。
建水(けんすい) 排水入れのような役割で、茶碗を清めた水などを捨てます。 道具の中では最も格が低いとされています。
袱紗(ふくさ) 両器(茶器と茶杓)を清めるのに使います。男性は紫、女性は 朱色です。亭主が席の準備を始めるとき初めにするのが袱紗を腰につけること。袱紗はけじめを表しています。
菓子器(かしき) 菓子を盛る器です。正式には重箱スタイルの縁高(ふちだか)や 蓋付きの喰籠(じきろう)を使います。
菓子 茶とともに茶会の楽しみの一つですが、茶請けとも言うように菓子はあくまで美味しくお茶を頂くための脇役です。菓子は、出されるまで形が分からないので最もお客様にサプライズを与えることができ、季節感を味わってもらうことが出来ます。濃茶席には主菓子(おもがし)という生菓子を、薄茶席には一段格を下げて干菓子を複数個お出しします。
懐紙(かいし) 懐紙は本来、茶道具ではなく日本で日常的に使われていたものです。 場合によってどんな風に使うことも出来ました。茶席では、菓子を取り分けるのに使います。通常二つ折りにされている ものを中表に折り返して使用します。
扇子(せんす) 茶席では扇子は煽ぐためには使いません。扇子を自分の正面に置く ことによって結界を作ることが目的です。連客に挨拶するとき、道具を拝見するときに結界を作り、自と他の間に緊張感を 持たせます。 画像は分かりやすくするため、紙部分が見えるように置いてありますが、通常は端の部分(親骨)が見えるようにして置きます。


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