Site Title


Lost-11.It leaves the hometown.


再生ボタンを押すと流れます

 

 



風が酷く強く、サングラスをしなければ全く前は見えない状況だ。
良く(あた)りを見て、あのビルへとまた向かう。
前髪が少し目に入ってサングラスの意味が無いな、と感じた。

「ふーう、意外と遠いもんですねえ。あそこ」

右手を額に当てて、冬とは思えない暑い日ざしを受けながらビルの中に入る。
其処は絶句だった。前来たときよりも死体の生臭いにおいが鼻の奥を突く。

「何て臭いだ・・・」

鼻をつまみ、早く階段を上がる。途中で見張りのものと遭遇したが、以前であっていたのですんなりと通してくれた。
良い兵士だ。
そして屋上に着くと、私は息を整えることができなかった。
それ程沢山階段を上がってきたという事になる。
異世界、いいや、異星の怪物はもう此処にはいないみたいだった。
出来ればDNA採取をしたかったけれど、死んであの世で見てるなんて科学者の恥だ。

屋上の上は人が沢山だ。外を歩いていたときは誰もいなかった。そうか・・・生き残りは、もうそんなに居ないんだな。
親友のライオネルも怪物に食われて死んだ。我が友の最期をこんな形で見送るなんてとても悔しかった。
だからすべて私のところで開発した兵器、戦車などをナスタチウム将兵殿等に譲ることを決めた。
彼等が異星人の血をひいている。それもあり、彼等はやるべきことがあるだろう・・・。
宇宙船もあって、この鞄の中にすべては整っている。

すると若い女性二人が此方を向いて不思議そうに見てきた。


「ヘイ!!」


声が聞こえた。
私はロイと一緒に振り返り、見るとさっき見ていた男の人だった。

あれ・・・、見たことある・・・・。


「もしかして・・・あなたは・・・・」

男の人は重たそうな鞄を手に持って此方に駆け寄ってきた。

「あなたは、二日前に来た・・・・」

「シザンサス・コルア。別名007教授だ。まあ、この名前は主に偽名に使わせて頂いてるけれど」

彼は右手で恥ずかしそうに頭をかいて私たちのほうを見た。
思わぬ再開に私は呆然としていた。
するとナスタチウムとコルチカムがこちらに走ってくるのが分かった。
その後ろでケレオンが走ってくる。ああ・・・彼、今にもコケそうだ。

「ハアッ・・・ハア・・・あなたは、この間きた・・・シザンサス・・・」

「やあ。こうやってきちんと話すのは初めてだね」

「は・・・・はあ」

「今日新しい作品、いや・・・スーツと言った方が早いな」

大きなキャリーケース(鞄とも言えるけどね)を僕に差し出した。僕はそれを受け取る。
だが、これはかなり重い。コルチカムと二人係で持つことに成功した。
一人で持ってきたシザンサスはどれだけの力を持っているのだろうか・・・科学者、(あなど)れない。

「疲れたから、暫く休ませてくれないか?少しだけだか・・・・・ら・・・・」

シザンサスはその場で倒れた。これはかなり疲れている様子であった。
白衣も前よりボロボロになっていて、かなりの苦労をしたのだろう。

「ロイ、ガイのところに」

「OK、分かったわ」

私は彼女と力を合わせて彼をガイの所に背負っていく。やはり男性は重い。
後ろからケレオンが来たが、ロイは「早く試作品作って完成させなさいよ」と言った。
もう、時間は無いからね。



「嵐は突然やってくるな」

隣でコルチカムが呟いた。僕は彼と半分ずつ持ったキャリーケースを持ちながら僕はケレオンを見た。
かなり張り切っているみたいだった。いいね、やる気十分で。

「コルチカム、部品出すの手伝って」

「おう」

「ケレオンは胴体組み立てよろしく」

「ああ。それであんたは設計図の一部一通りを俺等に言ってくれる」

「そうだね」

僕は彼から渡されたキャリーケースを彼と合図して地面に下ろして、中から説明書を取り出した。
そして目を通した。


歩兵用パワードスーツ『テディベア』


武装電磁サーベル(左腕装備)
M−250ミニガン(右腕装備)
左肩装備対人ロケット砲
装甲VJ・V装甲


光学迷彩装備


*体格などは個人によって変化するため、歩兵1人1人の装備するサイズが違う。
*左肩装備対人ロケット砲は背中に背負う弾装からの供給になる。
*電磁サーベルは電気が常に流れているため、ほとんどのものを切断出来る。
*装甲にはVJ・Vレベルの装甲を使用しているため、ライフルや機関銃、機関砲、ガトリングガンの弾なら防ぐ事が出来る。
*光学迷彩を装備したため、実際に消える事が出来る。
*当初、『テディベア』ではなく『プレデター』と『サムス』を合わせた『プレムス』であったがシザンサスの妻であるエレアが「ネーミングが悪い」と言ったため、エレアの独断で『テディベア』になった。


ふうん・・・すごいなあ。じゃあ、バストとか合わせなくちゃ・・・おっと、危ない危ない。
今危険な世帯に入るところだった。
というか、可愛い名前だなこのスーツ。奥さんのネーミングセンスにちょっと感動するよ。

「すげーじゃねえか」

横から顔を出してコルチカムが言った。そしてふと思い出したように僕に言った。

「M−250ミニガンの試作品は出来たのか?」

「うん、成功。だから皆ああやって一生懸命組み立てているじゃないか」

彼はきょろきょろと周りを見た。

「だな・・・あ、でもM1A3エイブラムス戦車はどーすんだよ」

「それはあっちの星に着いてから作ろう。此処じゃ戦車が大きすぎるし、仕舞い切れない」

ケレオンは僕の言葉に「うんうん」と言って頷く。
コルチカムは顎を突き出して「へっ」と直ぐに開き直った。
そして僕達は徐々に試作品を仕上げる段階に入ることが出来た。
後はスイッチを入れるだけだ。

「誰が着んの?」

「ケレオン」

「何でまた」

「ロイに格好いいところ見せるチャンスだぞ」

コルチカムがすかさず言った。ナイスだコルチカムちゃん。

「おっし・・・・」

何となくこんな事に闘志燃やしてる彼を見て笑いそうになった、けど我慢。

「あの科学者、というかどうすんだろうな、これから先」

「一緒に来そう・・・・・・」

「同感」

ケレオンが言うと僕が続いて言い、最後にはコルチカムとケレオンが同時に声をハモらせて言った。
何となくこの二人は以心伝心するから面白いんだよね。

「明日までには全て作り上げてこの星を発とう」

後ろから聞こえた声。三人一斉に振り向くとミカエラとガイとロイ三人がかりで支えられているシザンサスだった。
僕等は頷いた。
何故頷いたか。
彼はもう宇宙船を持っているからだ。

疲れきった彼に、僕達は「ありがとう」と言った。彼は顔を真っ赤にして、「役に立てて光栄さ」と言った。
本当に、お疲れ様だね。

そして・・・・・、明日、発つんだ。

この星を。




僕は一度その場を離れた。


空を見上げてみた。空は灰色の空に見えたような気がした。
あんなに、透き通っている青なのに。何故なのだろうか。
右手に握り締めたタオルを地面に叩きつけて、フェンスに向かって走り出した。
そして、フェンス越しになって叫んでみた。
皆、こちらを注目した。だけど自分はそれにお構いなく、もう一度叫んでみた。
この、腐りきった世界の中で吠えている自分。

「…・・・ナスタチウム」

僕は荒息を途切れ途切れにしつつもミカエラの方を向いた。彼女は僕をそっと抱きしめて「お疲れ様」と言った。
少し僕は落ち着きを取り戻して、乱れた髪の毛を整えた。
前髪は鼻の上まで切って、ある程度清潔さを見せていた僕の前髪。その前髪が冷たい風に揺れる。
彼女の頬に当たるぐらいの前髪と、肩についたぐらいの髪の毛が冷たい風に揺れていた。

その瞬間だけ、時間を感じなかった。

「すまない・・・僕・・・」

「疲れてるんでしょ、叫べ叫べ、ストレス解消には良いよ」

ニッコリと笑顔でそう言ってくれる彼女に、僕は少し泣きそうになったけれど直ぐにこらえた。
だって、戦う前に泣いてどうするんだいって話しだもんね。

「ナスター、テディベアは出来たから明日までにみんな休んで明日に向けての準備だ」

ケレオンがロイの膝に頭を乗せてこっちを見ながら言った。
全く、彼の言う言葉は皆逆らう気がしないのだ。
二人は今、きっとこの世界上で一番幸せなカップルだろう・・・・僕等は、どうだろうね。

「おやすみ」

そう言って彼は眠ってしまった。
朝に寝る・・・・なんて生活習慣なんだろう。思わず笑ってしまった。

「良い夢を」

僕はそう言って彼女(ミカエラ)と一緒にその場を立ち去り、ガイとシザンサスの所に行くことにした。コルチカムは一生懸命生き残った他国の軍人と一緒にチェスをやっていた。

「コルチカムちゃん、楽しそう・・・」

「ああ・・・本当にそうだね」

「シザンサスの奥さん、行方不明なんでしょ」

「・・・・うん」

「何処かで生きてるよきっと。アクティブに物事は考えよう?」

笑いながら言うと、彼女は僕の頬を引っ張った。

「痛いよ」

「ほっぺ伸びるね・・・もしかして、ムッツリ?」

「違うよ、君こそ・・・」

更に引っ張られた。僕は痛くて「参った参った」と言うと、もっと笑う彼女。
でも面白おかしくて僕等は二人で笑いあっていた。
するとガイとシザンサスとタイムが此方にやってきた。

「す、すいませんね、先程は突然明日出発とか言ってしまって・・・」

「いや、良いよ。もうこんな事で時間を喰っている暇暇は無いですし、早朝の5時前には出ましょう」

彼はゆっくりと頷いた。
するとガイはシザンサスの肩をたたいて「こいつ、宇宙船を縮小して、元の大きさに戻すには・・うん、何とかの定理だったかな、それを使って戻して行くんだとよ」と言った。
シザンサスは苦笑いしていた。

「そっか。こっちは全て整ったし、明日にはOKだよ」

「・・・ナスタチウム、俺はまだ君にルックダ星人である事を話していない」

古い眼鏡を少し動かして、汚れたレンズを拭いた。そして僕の目の前にやってきた。

「・・・マリアから聞いたよ」

「そっちの意味じゃない。自分から言っていなかった」

「別に星が違うからと言って差別する気はないよ。それに君はミカエラとコルチカムを救ってくれた」

僕は右手を差し出した。彼は今にも泣きそうな顔をしていた。

「泣くには早いじゃないか」

「すまないな、こう優しくされたのはいつ以来か・・・」

眼鏡を取り、もう一度布で汚れをふき取って眼鏡をかけなおすと、彼は左手を差し出した。
そして、この間のハグよりも重いものを感じた。
僕と彼は、握手を交わした。そう、彼も仲間の一員なのだ。それを忘れてはいけない。
皆、仲間であるから・・・・。



僕等は全員明日に向けて眠ることにした。その前に全員湯船に浸かり、その後朝に眠ることになった。






AM.0時05分..


皆起きていた。此処まで何故眠れたか?
強力な睡眠薬さ。
一粒で丸一日眠れる。

全員M−250ミニガンを抱え、指定位置に着く。

まだ暗い早朝の星空は朝とは思えない綺麗らしさ。
僕等は宇宙船に乗り込んで地球上に残る勇敢な勇士達を最後に見た。
全員、頷いた。

「後は・・・頼んだよ」

僕は地球に残るニコル、マリア、ガイにそう告げ口した。皆に伝えてくれ、ということだ。
三人は頷いた。
そして扉が閉まる。白く塗装された宇宙船、そして機能性に優れた中。


するとカウントダウンが始まった。



3...2...1....

「0」

そう皆で言った途端、勢い良く出発した。
轟音とともに、既に宇宙の中にいた。目を疑った。

「オーマイッガー!!信じられない、宇宙だ!!」

興奮した様子でケレオンが言った。シザンサスは「いや・・・嬉しいねえ」と言った。

「そうだ、似た星にはいつ着くの?」

ロイがそう問うと、運転席から顔だけ振り向かせてシザンサスは答えた。

「約二日間」

「へえ、早いね」

「最新技術で開発された宇宙船ですから」

「そうでした♪」

笑いながらやり取りをする二人を見てケレオンは少し嫉妬した様子であった。
コルチカムがニヤニヤしてケレオンの肩に腕を回していた。
ムスッとした様子でケレオンはじっと椅子に座っていた。

僕はミカエラと一緒にテディベアのスーツとぬいぐるみを見比べていた。
途端におかしくなって笑った。



後二日・・・・。

もう、後戻りは出来ない。
真実と平和を求めて・・・・

()こう。




 

 



  • [Menu]←は別窓で開いている方専用のMenuに飛びますのでフレームの方は押さないようにしてください。