アタカマ砂漠(2)

水野 勝

 

(アタカマ塩湖とミスカンティー湖)

2月5日迎えのバスに乗り込み、8:25スタート。ガイドはダニエル氏。今日はSalar de Atacama(アタカマ塩湖)と Miscantyi 湖の観光。海抜2300メートルのサンペドロ・デ・アタカマ村から気がつかない程度の上り勾配のまっすぐな道を走る。この道は稀少金属であるリチウム(近頃電気自動車でクローズ・アップされている)が採れるというパイネに向かう道とのこと。

道端にはロバ、リャマが好む豊富な草が茂っており、緑色のカテシージョ、白色はトラという草。動いているものを見つけた。身体一杯にびっしりとモップの先の布の部分そっくりの毛皮で覆われたリャマである。なるほどここは標高2000メートルを越える高地なのだ。原住民は5千年も前から、リャマを利用していたとのこと。

 

15分も走ると左右は全くの砂漠となる。単調な道を進むこと約20分。砂漠の中に村が見えてきた。時間は9時。この村がトコナウ(帰路に寄ることになるが)。この村はアンデス山脈からの川の流域に位置している。住民は550人。

 

(アタカマ塩湖の観光)

間もなくすると道は大きく広がる白色の大地に導かれた。大アタカマ塩湖の中のラグナ・チャクサに立ち寄る。10:30時点での温度は32℃、湿度は20%。紀元前500年から村があったとのことで、塩湖の標高は2400メートル。このあたりの平原はプーナと呼ばれている。(ケチュア語で上昇した土地の意。海抜2000メートル以上の土地がこう呼ばれているとの由)。

ギザギザになった、一寸感じが似ているのは宮崎県にある“青島の鬼の洗濯板”色は白色でこのようなものがびっしり何処までも続いている。観光者用にはまるで雪道を踏み固めたかのような、幅1メートル弱の道が切り開かれているが、ツルツルした塩の道なので滑らないよう足元に注意する必要がある。

湖の中にフラミンゴ(スペイン語ではフラメンコ)がいる。ここには3種類のフラミンゴが棲息しており、約4万羽のパリナ・グランデ、10万羽のフラメンコ・チレナ(眼を際立たせる白色)と約6万羽のパリナ・チカ(鮮やかなピンク色)がいるとのこと。

 

 途方もない広がりの塩湖のそこかしこに水をたたえた湖水が見え、 そこにフラメンコがいる。言いかえれば、太古の昔、海であった場所が地球の隆起活動により高地として押し上げられ、とてつもない巨大な湖が出来上がっていた。しかし、高地ゆえの低い気圧と年間降雨量がわずか0.5センチメートルという世界有数の乾燥した気候のために、湖水が蒸発し、塩分のみが残って塩湖となった。まだ蒸発していない部分が僅かに湖水となって残っている、と考えたほうが分かりやすい。

約1時間、塩湖の成り立ちの説明、フラミンゴの観察と自由な時間がある。フラミンゴと小鳥の戯れ(フラミンゴがついばむ泥の中の微生物を小鳥が漁っているのだろう)を楽しむ。周囲は右手に連なるドメイコ山地、左手奥には雄大なアンデス山脈の景観を楽しむ。

 

(ミスカンティー湖)

11:00火山灰台地(アンデス山脈の火山岩や噴火による岩石がベースになった)を東南に向かう、 岩肌の草はほとんど見られなくなっている。さらに高度を上げてバスは登って行く。

12:00海抜4千メートルの地点に保護観察地域の管理事務所。 これからは約1時間余りのトレッキングを楽しむことになる。気温は20℃を越えているが、 風が少し強いので体感温度は17℃位。高山病の異常感覚を感じることなく、かえって清々しい散歩。 ビクーニャ(非常にスマートな体型)、ゾロ・クルペオ(アンデス狐)、ガビオタ・アンディーナ(カモメの一種)、 白色と黒色の混じったカモの仲間(パト・フアルフアルやブランキージャ)に出会いながら 、澄み切った空気の中で、空との境界をはっきり浮き立たせるミスカンティ(標高5,622メートル)やミニュケスの優美な姿を楽しんだ。  

少し遅くなった昼食は14時。ソカイレ村にて、グループ20名位で単一の献立。ソカイレは人口200人の村。食堂の前でキヌアの木を見る。  

 

(トコナウ渓谷)

15:00−16:50トコナウ渓谷の散策。 砂漠の中をアンデス山脈から下ってくる渓流。40℃近い炎天下の中で、足元に気を付けながら、 曲がりくねった小道を下ること約10分。足元を流れる渓流を見てホット一息。 手作りのテーブルを囲んで地元の若者達が水着で5、6人。水浴びを楽しんだ後の様子。 ガイドの説明によるとこの辺りの住人は渓谷の流れを利用して、自給自足で野菜、果物などを栽培しているとの事。 先程昼食で食べた野菜も手作りのものだったのだろう。非常に新鮮な味であった。 渓流を少し遡ったところに土でせき止めた自然のプールが作られており、 村人が大人も子供も合わせて約10名位水浴びを楽しんでいる。羨ましく眺めてしまった。

 

(トコナウ村)

17:00−18:00トコナウの村では教会を中心にして観光。先程見たようにアンデスから流れる小川を利用して自作農業をしているが、この村でも若者はチュキカマタ等の鉱山に働きに出ているとのこと。教会は北部チリで最も古いものの一つとのことで、こぎれいな木造の素朴なもの。また町の建物は火山噴火により噴出された岩石を利用して、建てられており、アドべ様式のものは見かけられなかった。

 

アタカマ塩湖については、帰国翌日のことではあるが、テレビ番組にてアントファガスタからアルゼンチンまでのアンデス越えを、しかも一杯の荷物を積んだリヤカーをひっぱりながら旅をする冒険家の映像が取り上げられていたが、つい先日までこの地を訪れていたので、厳しい苦闘の現場をありありと思い浮かべることが出来た。


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