南極クルーズ乗船記
メルカードツアー 高橋 邦夫

 

2006118日から18日までアルゼンチンのウスアイアから南極クルーズに参加してきました。最後の秘境といわれるだけあって、感動の連続でした。クルーズ船はSARPIKITTUK(サーピック・イトゥック)
(
現在は名前を替えてOCEAN NOVA)

 

1日目(118日)

1830分、いよいよ乗船。南極大陸への第一歩である。パスポートを預け、カードキーと首からぶら下げる名札をもらい、キャビンに入る。改装されたばかりできれいである。二人部屋キャビンでアメリカ人と同室。キャビンは2段ベットが二つあり、上段は折りたたみ式になっていて、 おろせばスーツケース置き場として使えるが、圧迫感もあり狭く感じるので使わなかった。 スーツケースはベットの下に入れておいた。


すぐにレクチャールームに集合。今回のツアーのエクスペディション・スタッフが紹介される。総勢10人。乗船客は74人で国籍はアメリカ、フィリピン、オランダ、 イタリア、南アフリカ、イギリス、中国、インド、カナダ、ブラジル、オーストラリア、フィンランド、イスラエル、そして日本。


その後、ウエルカムドリンクで乾杯をして、ディナーへ。ディナーは前菜に始まり、デザートで終わるいわゆるフルコース。クルーズ船でこれだけ豪華な食事が食べられるとは思ってもいなかった。そして、この食事が最終日まで続くとは。夕食後は、再びレクチャールームに集まり、緊急時の説明を受ける。23時、船はウスアイア港を出港。

 

2-3日目(119-10日)

9日。4時頃だろうか、目を覚ますと、 ドレーク海峡真っ只中。噂には聞いていただけど、揺れる揺れる。揺れると言っても、 【魔のドレーク海峡】と恐れられているほど揺れではなく、穏やかな揺れが1日中続き、9日は立っているだけで気持ち悪くなり、一日中横になっていた。 時々起き上がるも吐きそうになってくるので、すぐに横になる。酔い止め薬を飲んでいたが、効いている様子もない。 こんなもんなのかな?と。空腹になると醤油せんべいと都こんぶを取り出し、しゃぶっていた。

レクチャールームでは南極についてのセミナー(講義、ビデオ、スライドショウ)が開催されていたが、一度も参加できなかった。

 

10日。揺れにも慣れたようで、この日は朝、昼、おやつ、夕食を口にする。 デッキに出て、初めてドレーク海峡の大気に触れる。この日もレクチャールームでは南極についてのセミナー(講義、ビデオ、スライドショウ)が開催される。 そして、明日からの上陸に備えて、ゾディアックボートの説明がある。明日は、いよいよ上陸できると言う喜びと、 ドレーク海峡から開放されることで安堵した。

 

4日目(1111日)

朝食前に上陸可能との放送が入る。上陸は天候に左右されるため、 上陸直前に決定される。朝食を早めに済ませ、上陸準備に入る。防寒着を着込み、長靴を履き、救命道具をつける。 厚着のため動きがぎこちなくなる。ゾディアック乗り場に続く通路に並ぶ。みんな初上陸を前に会話が弾む。 ゾディアックボートに乗り、キングジョージ島のアークトゥイスキー基地(ポーランド)に上陸した。 南極というと氷に覆われた白い大地を思い浮かべるが、ここは地肌が露出していて、想像していた南極とはちょっと違った。


上陸するとすぐに、「観光案内所」という看板の建物の中に入ってみる。ポーランド人スタッフがいて、帽子、Tシャツ、基地周辺の地図などを売っていた。基地内の施設も見学させてもらった。丘の上のペンギンのルッカリーは保護地区となっていて立ち入り禁止。でも、ルッカリーからえさを取りに海に入っていたペンギンが海辺をルッカリーに向かって急いでいる様子。あの歩幅で、あの丘の上まで登るのはつらそう。

午後はペンギン島に上陸する予定だったが、悪天候のため上陸できず、ポーレット島を目指すことになった。

 

5日目(1112日)

ドレーク海峡を越えたとはいえ、天気が悪く、波も高く、再び憂鬱な気持ちになってきた。南極半島とジョインビル島の間のAntarctic soundを抜け、上陸予定のウェッデル海北端のポーレット島に近づいてきたが、悪天候のため、上陸できず。島はすぐそこに見えるのに。天候回復の兆しもなく、ホープ湾を目指すことになる。

Fridtjof soundに入ると南極らしいテーブル型氷山が見られるようになった。 南極海峡からホープ湾に入る。湾に入ると海は穏やかで、天気も良く、上陸の期待が高まる。ホープ湾にはアルゼンチンのエスペランサ基地がある。船から基地の建物が良く見える。しかし、いつになっても、上陸の船内放送がない。結局、基地の上陸許可がおりなかったようで、上陸できなかった。南極大陸初上陸ならず。しかし、ゾディアックでホープ湾クルーズをした。今晩からさらに南下して、明日は、トリニティー島のミケルソンハーバーに行くことになった。

 

6日目(1113日)

予定していたトリニティー島のミケルソンハーバーも悪天候で上陸できず、南下してOrne Harbourを目指すことになった。Orne Harbourはクルーズ船からの見学。さら南下して、クーバービル島に行く。天候も安定していて11日のキングジョージ島以来の上陸になる。

クーバービル島に上陸すると、ゼントゥーペンギンのルッカリーが広がっている。これこそ南極だ!と言う風景である。

ペンギンが集まっている地べたは赤茶色に染まっている。これはペンギンの糞である。そして、オキアミを食べているためにエビのにおいがする。決して臭いとは思わなかった。ペンギンは、糞まみれになりながら卵を抱いている。時々、立ち上がり背伸びをしているようにも見える。あと、1ヶ月もしないうちにヒナが生まれるらしい。上空は、卵を狙ってトウゾクカモメが旋回している。


夕食後に急遽ネコハーバーから南極大陸に上陸することが決まった。このクルーズで初めての南極大陸上陸である。20時半頃、ゾディアックに乗り込み、ネコハーバーへ。まだまだ明るい。 ここにもゼントゥーペンギンのルッカリーがたくさんある。上陸後、みんなで丘を登っていく。 丘といっても全体が雪と氷で覆われた丘である。厚着をしているからちょっと動いただけで汗ばんできた。 この頂上からネコハーバーが一望できる。大陸は氷で覆われ、湾の一部は崩 れ落ちた氷で埋め尽くされている。この丘に腰を下ろし、しばらく周りの景色を眺めていた。そして、本当に南極大陸にいるんだなぁと。

 

7日目(1114日)

南極クルーズの一番の見所でもあるルメール海峡クルーズ。狭い海峡の両端はそそりたつ岩山に氷や雪がへばりついている。氷壁には氷が崩れ落ちた後が見える。これが流氷となって、静寂な海峡を漂っている。しかし、この流氷に覆われているため、海峡を通過することができなかった。予定していたペーターマン島へは行けなくなってしまった。ルメール海峡をUターンした。ここが今回のクルーズの最南端(南緯655/西経6356)だ。


ペーターマン島に行けなくなって時間もあるので、どこか上陸できるところ探してくれたのであろう、急遽、ウィンキー島のポートロックロイ(イギリス基地)に行くことになった。ここには土産物屋があり、絵葉書、地図、Tシャツなどが売られていた。ポストもあり葉書も出すことができる。しかし、いつも小銭(US$紙幣)を持ち歩いているのだが、このときだけは持っていくのを忘れてしまい、何も買えず、絵葉書も出せずだった。 ポートロックロイに上陸するときはお金を忘れずに。

建物の周りは、ゼントゥーペンギンだらけ。我々に驚くこともなく、とにかくマイペースで歩いている。まさに、ペンギンと人間の融合だ!5m以内には近づかないようにと言われているが、ペンギンが近づいてくるので、この距離を保つのは非常に難しい。

午後は、2度目の南極大陸上陸となるアルミランテ・ブラウン(アルゼンチン基地)にいった。天気も快晴で、 氷の白さと空の青さが、視界に入る景色全体がアルゼンチンの国旗のようにも思えた。 澄んだ大気のせいかとにかく気持ちがいい。小高い丘があり、みんなで登った。 日ごろ運動不足の身には辛い行軍であったが、一生に一度しか見れない光景がこの丘の向こうにあると思うと、 登らざるをえない。そして、期待を裏切らない光景が広がっていた。
透き通った湾は鏡のようになっていて、雪山を映し出し、氷山が浮かんでいる。 人間の手がおよばない自然ってなんと神秘的なのだろうか!しばらく、座り込んで景色を眺めていた。

 

降りるときは一気に雪すべり。結構急斜面なので怖そうであったが、 滑り出したらあっと言う間。これはこれで楽しかった。

引き続き、ゾディアックボートでパラダイス湾クルーズ。 さっき登った丘を眺めながら、 流氷の間をぬうようにボートは進んでいく。時々、スクリューが氷をかむ音。パラダイス湾に入ると、 想像を絶する言葉ではうまく表せない景色が広がってる。 湾には大陸を覆っている氷河と言うよりも氷の大陸そのものが流れ込んでいる。
今までパイネ国立公園の氷河やパタゴニアのサンラファエル氷河などを見ているが、 スケールが違いすぎる。先端は今にも崩れそうだ。先端を望遠レンズでみてみると幾重にも地層ならぬ氷層がくっきりと見える。 流氷にアザラシが横たわっている。エンジンを止めて、ゆっくり近づいていき、写真をパチリ!逃げる様子は全くなし。約1時間のクルーズを満喫した。

今日は、今までの悪天候を帳消しにしてくれるような1日であった。

 

8日目(1115日)

デセプション島といえば温泉。世界最南端の温泉である。海岸の数ヶ所から熱湯が湧き出ていて、 この熱湯が海水と混ざって、程よい温度となっている。デセプション島のカルデラ内部に入っていくには、幅約230mNeptunes Bellowsを通過しなければならないが、 この日も悪天候で波が高く、通過できるかどうかぎりぎりまで様子を見ていた。 キャビンの窓から時化ている海を見ながらやきもきしていたが、上陸可能とのこと。 防寒着の下に海水パンツをはき準備OK.


 Whalers Bayに上陸。外輪山からの強風で地吹雪がものすごい。 今回のクルーズで一番の寒さだった。体感気温は−10℃くらい。海辺を歩いているペンギンも首をすくめているように見える。 捕鯨基地跡に向かうも強風で飛ばされそうになる。錆びて朽ちている燃料タンク、倉庫、住居が無残な姿をさらけ出している。


いよいよ、温泉タイムである。ただ、温泉といっても、自分たちで海岸を掘って湯船を作らなければならない 。脱衣場があるわけでもなく、寒風にさらされながら、海辺で防寒着を脱ぎ捨て、海水パンツになり、足で掘っていく。 しかし、海辺の砂が硬くてなかなか掘れない。源泉が湧き出ているところは火傷をするくらい熱いので要注意。 深く掘れないので、とりあえず横たわる。しばらく温まってから、海の中に飛び込んでいく。 当たり前であるがあまりの冷たさに悲鳴を上げながら出てくる。 そして、すぐに温泉に横たわる。暖かくて気持ちがいい。
ふと、横を見るとペンギンがすぐ近くにいるではないか。 南極でペンギンと裸の付き合いができるとは。なんとも奇妙な光景だ。約30分の温泉入浴体験。寒風にさらされながら防寒着を着なおすのも一苦労。 手足がかじかんでしまい、うまく着れない。最後に救命道具をつけ、ゾディアックボートに乗り込み、船に戻った。

午後は、ハーフムーン島へ上陸予定だったが、悪天候のため上陸は中止になった。 これで、全日程終了。明日からはまたドレーク海峡だ。

 

9日目-10日目(1116-17日)

16日。再びドレーク海峡へ。来るときよりも揺れが激しく、ついに耐え切れず吐いてしまった。

食事を食べる気にもなれない。1日中ベットに横になっていた。非常食の醤油せんべいは来るときに食べつくしてしまった。 都こんぶをしゃぶる。トイレに立つのも吐きそうになり辛い。 揺れが少なくなった頃、レクチャールームに味噌汁用のお湯を取りに行く。 モニターに現在地が映し出されている。まだ、ドレーク海峡の半分しかきていない。

17日。まだ、ドレーク海峡だ。揺れにも慣れたのか、それとも吐いてしまったからか、 気分が楽になったようで、この日は朝食をしっかり食べることができた。食後は下船の準備をしつつ、することもないので横になる。午後にはドレーク海峡を抜けてビーグル水道に入ったようだ。陸地が見えてきた。フエゴ島だ。船は完全に停止した。ここで一晩をあかし、明朝ウスアイア港に入港するらしい。

19時頃、お別れパーティー。 船長、クルーズスタッフ、そして、乗客たちとシャンパンで乾杯をして、みんなと記念撮影。 夕食は久しぶりに揺れのないところで食べることができた。

 

11日目(1118日)

6時に起床。荷物をまとめて、朝食を食べに行く。 ウスアイア発のフライトが早い人から下船。ここで、みんなとお別れ。 私のフライトは午後なので、一番最後に下船。荷物を手荷物一時預かり所に預けて、ウスアイアの街に出た。 とりあえず、暇つぶしにネットカフェへ。いるのは同じ船に乗っていた人たち。 そして、お土産を買いにいくと、やはり出会うのは同じ船に乗っていた人たち。

最後にセントージャ(パタゴニア名物タラバガニ)を食べて、ウスアイアを後にした。

 

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