日本チリー協会講演会

 

2回目のフィールド・ワーク(1985/1986

 

2回目は氷河の上でこのような調査をしました。

 これは湖の深さを計っています。

これは河の水深を測っている。水温が0.2℃ですから大変です。気を失って流されても助かるようにロープで身体を確保していますが、決死の覚悟です。

これは4,000メートルの山です

氷河のボーリングは世界で初めての試みでした。雪洞を掘り調査しました。

 

GRPP第二次調査レポートは1985~198619901993,1998~1999

と英文で報告書を作成しました。英文でないと世界には発信できませんので。このところなかなか出せていませんが、来年位に出そうかと考えています。

日本語の本は1998年に出版しました。「パタゴニア氷河・氷河地形・旅・町・人」

 

今度は南パタゴニア(ウプサラ氷河)調査 

 

南の方もいろいろ行っていますが、ウプサラ氷河は前川さんが懐かしがるようなところも出てきます。

今はカラファテに行くのにブエノスアイレスから直行便ですが、最初に行くときはここからバスで6時間もかけて行きました。

今年の12月はここからチリのプンタアレナスまでバスで行くつもりです。

アルゼンチン側のパタゴニアはこんなものです。砂漠です。ペンペン草くらいしか生えてない、一面そんなものです。

本当に氷河の直ぐ側に行かないと綺麗な景色になりません。

これが遠望です。これが氷河。氷河のわずか数キロの地点で雨量が4500ミリかそれ以下という世界です。

 

(カラファテ)

 これがカラファテです。今ものすごい観光地になっています。

これが我々を調査地に運んでくれる代理店イエロ・イ・アベンテュラの事務所です。(小奇麗な事務所風景)。

街並みもきれいになり、今は日本のツアー会社が日本人を連れていくようになりましたが、我々が初めて行ったころは日本人の姿は見かけませんでした。

今ヨーロッパからも沢山来ています。去年は1231日に町のレストランで食事でもと出かけてみたのですが、全部予約で埋まっていて食べることが出来ませんでした。

 

(アルゼンチン湖)

これが有名なペリト・モレノです。 先日NHKのテレビにて生中継をやっていましたが、誰か見た人いますか?

 カラファテからアルゼンチン湖を船で行ってウプサラ氷河まで、ウプサラ氷河は南米で第三位の大きさの氷河ですが、ものすごい勢いで溶けています。

 プンタ・バンデラからわれわれの乗ったボートはここまで乗ってきたバスの1/8位の小さなもので、

5.6人で満員、船長はおもしろくて日本人なら乗せるがイギリス人はお断りと言っていました。

大きな観光船もありますが我々は小さなボート(オリンピオ号)を使いました。1993年は穏やかな湖でしたが、1990年の時はとんでもなかったです。

すごい風が吹いて、2メートルもの波が立って、2時間で行く予定が4時間以上かかってほうほうのていで辿り着き、

こんな場所で1か月も過ごすのかという気になりました。この写真の空をみても判るでしょう。

 これがクリスティナの牧童小屋です。ここにしばらくいたのですが、ネズミやら何やらがいて、居心地が良くなくて、

テントを張ったんですが、テントは強風により(120時間位もの間)直径2.3ミリの小石がしょっちゅう飛んでくるわ、

テント内のスペースは風のため半分以下にひしゃげられ、すごい風に参りました。1ヶ月くらいですよ。

歩行するにも身体を斜めに傾けないと歩けない状態でした。コンドルはこんな状況でも元気です。

 

(ウプサラ氷河)

 これが調査する氷河です。氷河は水面上が6070メートル、水深が500から600メートルですから、氷河の厚さは700メートル位です。

 こういう所で調査をしたのです。

最初にどうして調査に行こうかと思案しました。(そこに行くにはクレバスが縦に走り大変危険な場所を越えて行かなければなりません。

万一足を滑らせると奈落の底で100年後に氷漬けで発見される?) 

氷河の高さとか溶解度とかを測るのです。ここは1年間で10メートルも氷が溶けます。

世界で最も氷河の溶け方が早いと言われているところです。ここは数年経つと湖の底になってしまいます。

 ここを歩くのには登山の経験が必要です。

 ウプサラ氷河は最近2、3年に1回末端大崩壊を起こしていますが、この2日前にもそれが起こり、比べるものがないので残念ですが、

かなり大きな氷山です。(写真でみると側に写っている船が豆粒大に見える)。こんなのが漂っています。近づけなくて

 

(クリスティナ牧場)

 これがクリスティナへの上陸です。私も1990年から何度も行っていますが、今回が初めての上陸でした。

これがエスタンシア・クリスティナ。ファイブスター・クラスのホテルです。

これが東工大が登ろうとした山です。

これがバーベキュー用ランチハウス、昔の牧場あとです。

われわれはバーベキューを我慢して特別に車を出してもらって、別の場所で食事した。

これがポプラです。

これが、リオ・カタリナ。阪上さんの本では(前川社長の参加した縦断の記録)最後に牧場に行くのに、

この川を渡るのが大変だったとのことで、ザイルも何にもなくて、ここで流されたらせっかくここまで来てと言いながら渡ったと。

ここをよく渡ったなと思いますよ。この辺の氷河を歩いて行ったんですよね。

 

(ギジェルモ湖)

 今はこんな避難小屋が出来ています。中はこんな感じです。彼がアルゼンチン人で、これがガイド、彼女は彼の奥さんの妹で、これが旦那。

 これもよく見ておいて下さい。これが目印です(ラテラル・モレイン)。1600年前まではここまで氷河だったんです。

これはアルゴアが書いた「不都合な真実」です。ここです。これが1932年の写真です。前川さん達が渡った時はこれに近いと思いますね。

先程のアルゼンチン人が1969年にはここを歩いて渡っています。この氷河のところは全部歩いて渡っています。

 

1945年以降の氷河の変動

 

北パタゴニア氷原の氷河

 地球温暖化で氷河の事が随分話題になっていますが、日本で採り上げられるのはほとんどが欧州、南極、グリーンランドでパタゴニアは非常に少ない。

そこで私はせっせとパタゴニアを宣伝しています。この周りに28の氷河がありますが、そのうち21の氷河の1945年以来の変化を調査しています。

 そのうちの主な7つの氷河グロス、サン・ラファエル、サン・キンティン、ステフェン、コロニア、ネフ、ソーレルについてお見せ致します。

 これは冬の衛星写真です。写真を見る前にパタゴニアでは寒くて、雪が積もるだろうと言われたが、

この写真を最初に見た時は、私もアレッって思いました。雪が全然積もっていない、こういうことは本当に思い込みと現実との違いです。

こんなことは一杯ありますが、

 色の違いですか、ここは薄っすらと雪が積もっているところです。ピンクがかっている処は新雪がベッタリある処です。

 

グロス氷河

 デブリ・カバーと云って表面が全部石で覆われています。これは氷河ですが氷は見えません。ここに一寸見えますが、

これ1974年のモレーンです。

これ多分300年位前に出来たものです。

これが1945年、これ今のモレーンです。べったり氷が張っています。

この氷河を2000年からずーっと調査しています。

 これ1997年、これ湖、これモレーン。氷河が溶けて湖が出来て、この所はアバタのようになってデコボコになります。

 2000年と2003年こうして比較すると3年間で溶けているのがお判りになるでしょう。これが2004年随分溶けていますね。

 これ2005年の冬ですが、冬でも雪が積もっていません。これは驚きました。

氷河が徐々に溶けているのが判るでしょう。

これが20058月冬に撮った写真ですが現地人以外でここで写真を撮ったのは私が初めてではないかと思いますが、この雪も2日で溶けていたんです。

 

サン・ラファエル氷河

次にサン・ラファエルです。1945年はこんな風に突き出ていたんですが、1987年には削れています。

時系列的には1979,1987,2001年と後退しているのがわかります。

 レーダーによる別の画像を使ってみると、これは氷河の流れのスピードを出す画期的な方法です。こんな風に氷河変動を調べます。

1974年と1998年では3km位後退しています。

 私が撮った写真ですが1983年から1990年、1993年、1999年、2001年こんな風にして並べてみると非常に早いスピードで後退しているのが判ります。

 2007年から2008年はあまり激しい後退は見られません。

 

サン・キンティン氷河

 パタゴニア北氷原での60年間の氷河の後退は全体で101 kmあり、その1/3にあたる29km

このサン・キンティン氷河の後退分です。(安仁屋氏の当日資料―南米チリ・北パタゴニア氷原の溢流氷河の1944/452004/05年の変動とその要因から引用)

1945年から6km位後退しています。20年後にはものすごい大きな湖が出来るだろうと予測しています。

 レーダーは雨が降っても雲がかかっても写真が撮れるのですから、今世界の氷河研究でレーダー写真が大変大切になっています。

 

シュテフェン氷河

 ここに湖が詰まっています。1986年にはこれだけ大きな湖が出来て、1998年にはこの地点まで氷河が溶けています。

 航空写真は同じ角度で撮るのは難しいのですが、大体の見当で比較する地点は判ります。

 

コロニア氷河

 コロニア氷河の推移写真

 

ネフ氷河

 ネフ氷河の推移写真

ソーレル氷河

 ここでは長いこと調査しています。この長さが7km。我々が調査した時代にはここまであったんですが、

この部分は今は渡れなくなっています。(人間の45倍位の高さの丸い形の大きな岩が写っている。)

これは氷河の底にあった岩が表面に出て来たものです。1986年にはなかった湖が2001年には出来ています。

2007年、2008年と徐々に氷河が溶けて湖が大きくなっています。

 氷河の厚みは年間5メートルも減少しており、20年間では100メートルも厚みが減って見えなくなっています。

上から落ちてくる氷が減って露出する岩の部分が広がっています。

 2007年に驚いたのは氷河の割れ目に水の滝が見えるようになったことです。(氷河の上に水が流れるようになった)。

 ここは1983年のキャンプ地ですが、1995年に洪水が起こり、水位が5メートルも上がり、流されてしまっています。

氷河域ではあっという間にこのような変化が起こるのです。

 

南パタゴニア氷原の氷河

北部パタゴニア氷原と南部パタゴニア氷原では氷河は一寸趣を異にしています。南部には2つ程例外的な氷河があります。

大半の氷河が後退しているのに、前進している氷河と停滞している氷河があります。

 

ピオ11世氷河

 前川さん達が行ったころはこの辺までであったと思いますが、今ではここまでになっています。

パタゴニアで唯一前進している氷河ですが、これまで理由が分かっていなくて今考えているところです。

 

オ・ヒギンス氷河

 ピオ11世氷河の反対側にあるのですが、60年間に14km程後退しています。

ピオ11世氷河は西側にあり前進しているのに、東側にあるオ・ヒギンス氷河は後退しています。非常に不思議です。

 

ウプサラ氷河

 1994年から4km位後退しています。大きな氷山が出来ています。

 

ペリト・モレノ氷河

 前進も後退ものしていない停滞氷河です。世界遺産に登録されています。

 

ティンダール氷河

 ティンダール氷河の推移写真

 

ということでピオ11世とペリト・モレノ氷河の例外を除いて、ほとんどの氷河は後退しています。

 

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