たばこ産業の未成年者喫煙促進キャンペーン

 大人になってから買えというメッセージは未成年の喫煙を促進している…たばこ業界が行う「未成年者喫煙防止活動」のことである。これを見ている読者も各種メディアや看板や自販機に貼付されているどれも共通した概念が書かれたキャッチフレーズを見たことがあると思う。これらはすべてたばこ販売促進のための偽装広告である。

 これらのキャッチフレーズに共通する欠陥、それは、喫煙の害・喫煙による損失に何ら言及していないことである。なぜ、それをしてはならないのか?ということを合理的に説明し(※早く大人になりたい、又はもう子供じゃないぜ、といった思春期の心理からするとこれでも不十分だが)た上で未成年者が物理的に買えなくするため、喫煙願望を封じるための実効的な措置と教育を施すのが先である。しかし現状はどうであるか?堂々と中高生がたばこを買えている。

 上の※部分をもう一度読んでほしい。未成年者とくに中高生の心理として、精神的な親離れあるいは成人におもわれたいという願望がある。それはたばこ業界にとってふんだんに利用すべき要素である。有害性が明らかで一度ニコチン依存に陥れば離脱が容易でないたばこという商品は、他の商品と違い、客観的な尺度でものを見る能力がより不完全な未成年者に選択されなければその市場は縮小していくだけだからである。

・「ちょっと待て、たばこは大人になってから」
この大人というところがポイントである。大人への憧憬=その近道=たばこ という式である
・「吸いません、君も私も二十歳まで」
・「ダメはダメ!キミはまだ未成年」
ダメといわれると手をつけたくなる反作用を利用している
・「スポーツにも人生にもルールがある。ルールがあるからガンバれる。『たばこはハタチになるまで吸ってはいけない』これがルール。」
ルールを押し付けるだけでそのルールの合理的理由を明示しないところがミソ
・「ハタチまで、たばこはぜったい吸わせない。」
だが自販機規制や広告規制には業界は強硬に反対してきた

 これらはたばこ業界が自主規制あるいは未成年者への啓蒙と称して、彼ら自身でさえその言葉に防止の意味など全くないことを知っていて行われるキャッチフレーズのごく一部である。禁止されているからそれを守ろうという主張は、ルール破りをカッコイイと考える傾向が強い中高生にとっては逆効果にさえなる。90年代に公に曝露されたアメリカのたばこ会社の内部資料によれば、未成年者にたばこを吸わせるためにはイメージ戦略が非常に重要になる、それをどう社会的に見破られないように促進していくか…という「未成年者喫煙促進活動」を行っていた(る?)ことが明らかになっている。広告規制の真の意味はこれらたばこ業界の反社会的行為を封じ込めるためにある。

 然るに日本の未成年者喫煙防止政策は、喫煙を不良行為とみなして処分するのみである。有効な対策を何も行わないまま、金を入れれば誰でも買える自販機を野放しにし(08年7月にようやく認証なしでは買えなくなる)、たばこ販売店・喫煙所における銘柄広告をしっかり残存させ(かつてより大幅な規制がかかったとはいえ)、このような表だって見えない形での喫煙促進はいまだ堂々と行われているのである。

 ところで、これらのキャンペーンに協賛としてついている団体をご存知だろうか?もちろんたばこ販売組合やJT(日本たばこ産業株式会社)がついていることはいうまでもない。しかし、財務省や警察庁など国の機関がこれらキャンペーンを後援・協賛しているのである。中央官庁はこの問題に疎いといわざるを得ない。あるいは、認識しつつたばこ業界の反社会的行為を追認しているのであろう。

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