
日本たばこ産業株式会社法を語る
| 日本たばこ産業株式会社(以下JT)は、日本たばこ産業株式会社法を根拠に存在する特殊会社である。この項では、条文と問題点を語る。 第一条 日本たばこ産業株式会社は、たばこ事業法 (昭和五十九年法律第六十八号)第一条 に規定する目的を達成するため、製造たばこの製造、販売及び輸入に関する事業を経営することを目的とする株式会社とする。 喫煙の害から人を守るための政策を前提とせず、日本のたばこ産業(葉たばこ利権・販売者利権など)を守る(発展)ための根拠法としてのたばこ事業法第一条を前提にしている。つまり、民営化から20年以上がたち、かつ鉄道事業や電話事業のような公共性を持たないにもかかわらず一向に完全民営化されないのは、たばこ産業関係者の利権保護と天下り先その他の影響力を保持したい財務省の意嚮が強く反映されているのである。特に、完全民営化されれば、外国産と比較して圧倒的にコスト高である国産葉たばこをJTが購入しなくなることで(現在はその義務がある)利権を失ってしまう全国1万数千人の葉たばこ農家とその団体は、農林族と結びついて強硬な反対をするであろう。 第二条 政府は、常時、日本たばこ産業株式会社(以下「会社」という。)の成立の時に政府に無償譲渡された会社の株式の総数の二分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。 民営化当時国は株式の100%を保有していた。1994年に3分の1を手放し、2008年度現在は50.02%を保有している。しかし依然として国の影響力は大きく保たれている。JTの歴代社長のうち2人を除くすべてが財務省からの天下りである。国とたばこ産業は癒着というよりもそれがあたかも一体化していることは専売公社時代と何も変わらないどころか、形式上民営化され、利益を第一とする株式会社に変わってからの方が、外国たばことの競争による広告・販売促進激化などかえってその国民生活に与える悪影響が大きくなっていた節があった。(たばこ規制枠組み条約批准による一定の規制がかかってからはかなりマシにはなっているが) 第五条 会社は、その目的を達成するため、次の事業を営むものとする。 一 製造たばこの製造、販売及び輸入の事業 二 前号の事業に附帯する事業 三 前二号に掲げるもののほか、会社の目的を達成するために必要な事業 条文をよく見てほしい。「輸入」事業は明記されているが「輸出」については何も書かれていない。民営化後、JTが売り込んだ第一の市場は韓国・台湾など東アジア・東南アジアであった。次に目指したのは世界全体への拡販、そのために1999年にアメリカたばこ会社RJレイノルズの海外販売部門を買収し世界シェアを広げた。特に東欧・ロシアなどへは活発に活動を広げている。2007年イギリスのたばこ会社ギャラハーを買収し、西欧市場でも大きくシェアを広げた。今後もまだまだ買収劇があるかもしれない。 しかし、JTは前提論として、本来国内のたばこ産業を保護するためにできたたばこ事業法を母胎として、その目的を達成するために存在する。にもかかわらず、企業規模を大きくしより収益を拡大するためには、喫煙の有害性に対する認識が弱い地域にたばこを拡販しているということは少なくとも企業モラルとしての問題が発生しないだろうか?また、このようなことを国が株式を50.02%保有する企業が行っているのである。これではいつの日か「日本国によるたばこ公害輸出推進」と外国から非難を浴びる日が来るとも限らないのである。いうまでもないがBAT(ブリティシュアメリカンタバコ)にせよフィリップモリスにせよ単なる私企業である。少なくともこのような行為に手を染めるのであれば、また経営多角化により収益のたばこ依存度を漸減させていくことを目指すならば完全民営化し国との関係を完全に断つべきである。 |