酒自販機とたばこ自販機 あり方の違い

酒を自動販売機で売っているのは世界で日本だけ
 「お酒とたばこはハタチになってから」そうアピールする割には自動販売機で堂々と売られている酒とたばこである。自動販売機におけるその立場の違いを今回は書いてみようと思う。

自動販売機の台数
 2006年度末の普及台数は、酒が約5万4000台・たばこが約56万5200台(※日本自動販売機工業会データによる。ただし国税局のデータと相違がある)である。およそ比率は1:10といったところか。あれ?酒の自販機って昔はもっと多かったような気がするけど?その通りである。

酒販組合による自主規制とその背景
 1995年に全国小売酒販組合中央会は、成年認証付きでない酒自販機は撤去すべきとの決議を自主的に行い、(ただし法的強制力はなし)ピーク時に20万台設置されていたが年々減少しかつ、成年認証付の自販機はそれほど増加していないことから(国税局のページによれば2007年4月時点で約2万台)今後も減少傾向は続くだろう。
 これまで独占的に酒の販売を行ってきた小売店だが、規制緩和(人口基準・距離基準)で一般のスーパーやコンビニなどでも扱えるようになり相対的に零細小売店の優位性が失われることと、それによって酒のメーカー自身が自販機で酒を売ることに積極的でなくなったこともあり売上に占める自販機による販売額を考えると自主的撤去しても大きな影響はないと考えたからではないかと思われる。業界のイメージアップのためもあろう。それでも、対面販売でさえIDカード等による認証なき販売に規制がかかっているわけでもない上、あくまでも自販機そのものの完全撤廃を目標にあるいは法律による規制がされていないことはたばこ自販機と同様問題である。

たばこの自動販売機が万の単位で存在するのはドイツと日本だけ
販売額の約半分を占めるたばこ自動販売機
 さて、たばこの販売額は約4兆円である。これは10年間でも数%程度の変動があるがほぼ一定している。そのうち自販機による売上は何円か?2006年度の統計で(※のデータ)約1兆8420億円となっている。酒は約950億円である。もう、酒とは自動販売機に対する依存度が違う。加えて自販機そのものが広告塔になることから、未成年者の喫煙促進のためには、常習喫煙未成年者の7割以上が自販機でたばこを購入しているという現実にも背を向けて規制にも強硬に反対してきた。1998年のTV・ラジオによる銘柄広告自主規制後、それまで約50万台だった自販機はさらに増加し約62万台にまで増加した。(広告資金がメーカーによる自販機リース設置などに移ったと考えられる)

taspoの導入とその理由
 2004年に日本が批准したたばこ規制枠組み条約第16条で、未成年者が購入できない自販機にする(ことができる)旨の規定によりICカードによる成年認証「taspo」が導入されることとなった。条約草案の策定時に日本は、自販機の禁止に強硬な反対を行い、各国が自主的に判断するとの案に後退させた。また業界が自主的に撤去するといった動きもない。あくまで採算の合わないメーカーのリース機を引き上げた程度である。

酒・たばこ自動販売機、どちらにもある欺瞞
 私は酒の業界の取り組みは先進的でたばこ業界のそれは後進的という主張をしたいのではない。私は廃絶派である。どちらも未成年者対策を謳って対策・効果を喧伝しているが、だいたい、このような細工自体が欺瞞である。免許証やICカードでの認証など、親や成人した兄弟・先輩から借りればよいのだ。偽造にはどう対処するのか?精々小学生がいたずらで買ってみようという願望をふさぐ程度の効果しか見込めない。今までやってきた対策とはこのようなものである。

店員の監視が行き届かない自販機の撤去
店員はいちいち見ていないし、監視しているのならば自販機での販売メリットがなくなる。つまりは対外的なポーズでしかない
深夜販売の自主的停止
深夜帯の売上は全売上の10%未満でしかなくつまり売る側にとって痛手はほとんどない
自販機に「未成年者の飲酒もしくは喫煙は法律によって禁止されています」のステッカーの貼付
全く意味なし

 未成年者対策はもとより、もともと自販機に販売チャネルを依存していない酒は自販機での販売という役目を実質的に終えつつある。(未成年者の自販機での酒購買もたばこと比較して少ない)しかし、いかに未成年者をどれだけ顧客として取り込むかが将来の市場に直接的に反映される依存性薬物であるたばこは、その市場が縮小していく中で、法的禁止でもされない限り産業側が斬って捨てることはできないものなのである。国民の健康福祉を考えるのならば、ただえさえひどく有害なたばこという商品をより手に入れにくくするのが国の政策のはずのものが、たばこ産業の利益保護を目的とするたばこ事業法によってそれが阻害されている結果は、酒の自販機のあり方と対称的に現れている。

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