
区立中学の事務室に勤務しているのですが、東京23区じゅうの中学校に、以下のような投書が投函されました。
右をクリックして感想を御送りください→投書の感想
前略
突然のお手紙、大変恐縮します。私は近隣の学校に通う娘を育てる者です。匿名で失礼とは思いますが、ここ数十年の間に深刻化したイジメ問題について、娘の周りで起こった出来事がきっかけで気が付いたことを、先生方に伝えたく、できれば仕事に役立ててほしいと思いペンをとりました。
私の子供の周りの保護者の1人が先日、「イジメはどこにでもある」と子供の前で言ったことがきっかけで、実際にイジメが生じました。今もなお続いています。この言葉を聞いたとき、私は、大きな疑問と衝撃を受けました。なぜ、そのような言葉が生じてきたのか‥。
日本でイジメが流行る以前に小中学校を卒業した私は、小中学校9年間で、「イジメ」という言葉を4年〜5年に一度耳にするかしないかというくらい馴染みのない言葉としていたため、イジメっぽいものを見てもイジメと思わなかったり、仮にイジメと思う人が中にいても、同時にイジメと思わない人と分かれてしまい、流行る前ですのでイジメかどうか議論されることもなく、そのまま記憶から消去されていってしまうものでした。
そして初めて日本でイジメが流行った1985年前後の時、マスコミ報道を聞いて「そういえばイジメって何だったかな??」と記憶の糸を手繰り寄せたのですが、誰かが誰かを泣かせる行為は兄弟間の行為の延長線上に考えたためイジメと思わず、友達との不和からきたイジメを思い浮かべました。その後、明治大学応援部や長野県丸子実業バレー部のイジメ自殺事件のように、上級生の下級生に対するものもイジメと思い、「イジメは誰がやられるかわからない」という感覚でした。実際、イジメとは人の感じ方の違いから、はっきりした実体のないもののはずです。
ところがイジメが流行った後の世代の親や教師は、上記の感覚をまったく理解できず、流行世代特有のイジメ感を持っています。しかし、その考え方は子供に大きな影響を誤解を与えます。今回の出来事のように親が子に流行世代特有の考え方を広げたりすると、集団が深刻な雰囲気になります。
人は自分が卒業した学校と同じ雰囲気の学校を他の人も卒業していると考えがちで、流行る前の感覚を知らない、典型的イジメ世代とも言える昭和40年代〜50年代以降生まれの世代の保護者が多くなっています。
そこで各先生方、保護者、あるいは生徒に、集会や保護者会を通して、イジメが流行る前の感覚を伝えてください。
イジメが流行る前の感覚を伝える最良の材料は、千円札の肖像画になっている野口英世の話ではないでしょうか。野口英世は少年時代、不自由な手が原因で不幸な友達関係の幼少期を送り、あるいは日照りの年に友達の田の水を盗もうとして友達に殴られ、中学でも自分の使う道具を隠されて母親が助けに来たりなど、かなりイジメにあっています。ところが、千円札を見て、彼がイジメられっ子だと認識した人が何人いるでしょうか。初めて野口英世の伝記を読んだ頃は幼く、イジメという観念がなかったり、イジメが流行る前だったりして「あの人はイジメられっ子だったな」という感覚がなかった人も多いはずです。イジメが流行る前の世代は、その感覚のまま成人してしまったのです。
流行る前の感覚を伝えるもう一つの材料として、イジメが流行る前に放送された「積み木くずし」のモデルとなった女性が不良になるきっかけとなった、上級生3人に顔をカミソリで切られる行為も良い例だと思います。イジメが流行る前に放送されたため、イジメと思っていなかった人も多いはずです。また、流行る前のイジメは無意識的なものだったため、少女にしろ野口英世にしろ、自分がイジメられたと自覚していなかったり、また傷つけた人たちがイジメをやったと自覚していない可能性が高く、そうするとイジメかどうか判らなくなります。これが流行る前の実体のないイジメの感覚です。
実際、今でも、警察庁自殺統計の「友達との不和」から来るイジメと、流行語特有の「イジメ」の区別がつかない大人や子供達も多いのではないでしょうか。クラスにどういう人間がいるかによって事情が違ってくるところに、感じ方の違いがあるからです。
これらの年代の違い、感じ方の曖昧さを広げることが問題解決の第一歩です。新学期を迎えて、全校集会や保護者会などで上手に伝えるのも一策でしょう。「イジメは、流行る前は無意識的なものだった」その上「言葉に対する感じ方の違いから、何がイジメか、はっきりした実体がない」という感覚も知らずに、「特有のイジメ感を持っている」校内暴力世代である昭和40年代〜50年代以降生まれの教師や保護者には是非伝えてください。
また、上記のことを考えるとマスコミの責任が考えられると思います。マスコミの報道被害で、教師の仕事を増やす必要はありません。「イジメ」という言葉を、警察庁統計の「友達との不和」に統一し、イジメという言葉を「なるべく使わない」程度の放送禁止用語にするか、言葉に対する曖昧性を広く周知させることで、イジメという観念の薄い子供が増え、流行る前に近づくと思います。また「学級崩壊」という言葉が学級崩壊を助長する可能性も考えられ「学級崩壊」「援助交際」「イジメ」「親父狩り」あるいは「性的風紀を乱すような言動」など、犯罪や教育問題を惹起する報道、言葉を広げる無責任なマスコミに対し、校長が力を合わせ、近隣の学校間や教育委員会に上記の話を少しでも広げていただくなどして、報道機関や政府に改善するよう注文をつけてください。よろしくお願いします。
上記の投書を見ると、「学級崩壊」という言葉が学級崩壊を招き、「援助交際」という言葉が援助交際を招いていると考えられます。「親父狩り」など、これら「犯罪や教育問題を惹起させる言葉」あるいは「将来、学校問題を惹起させる可能性が予測される言葉」「性的風紀を乱すような言葉、言動」を「なるべく使わない」程度の放送禁止用語にするようBPO(放送倫理・番組向上機構)にHPを検索し、要望書を提出しましょう。
また、近隣の小中学校に、このHPを印刷し、担任や周囲の人達に見せたり、投書の両側の直線内を切り取り、郵送(自治体名などは近隣に変えてあります)して、色々な犯罪や教育問題を惹起している無責任なマスコミを口コミで弾劾しましょう。
