尾瀬紀行
残雪の尾瀬・燧ケ岳登行(11)

  目次)          山行記録   旅と山旅   関東百名山   日本百名山 

【本文関連情報



(標題はブログにリンクします)


 尾瀬紀行(21)燧ケ岳 「胸突き八丁」   、



 
 山頂付近からミノブチ岳と雪面の尾瀬沼-


燧ケ岳にアタック、取り付いてから凡そ、1時間も経過してであろうか、見通しの比較的良いところなので大休止をとることにした。

高曇りの上空は、時折薄日が指すほどで、眼下の尾瀬沼周辺が箱庭のように望めた。
普段はほとんど口にしないが、山歩きには必ず持参する板チョコを頬ばる。 
併せて、山での常備品であるレモンをかじる。 

本来、強烈に酸っぱいレモンの味が、山へ来て一汗流すとさほどでもなくサッパリと美味しく感じられるのである。
体調のほうも意外と良さそうである。

さて、一息入れて後半のスパートである。


この辺りまで来ると一段と勾配がきつくなってきた。 
胸突き八丁”などといわれるように正に其の通りで、四つん這いでもなりたくなるような急傾斜である。 
雪崩の発生も心配したが、よくよく確かめると、ここのところ好天が続いており、雪も全体には締まっているので、それは無さそうである・・?。
とに角、今はただ足元を確かめながら、ひたすらに黙々と前進するのみである。


植生群もトド松やブナ林の混成で、ブナの小枝の先端に付いている褐色の小蕾も、時節柄やや膨らんでいる気配も感じられる。 
だが、このあたりへ来るとブナ林からダケ樺が主体となり、その奇妙な姿も印象的である。 

更に、高さが増すにつれて、次に現われたのは這い松であった。 
今は未だ大部分が残雪をかぶっていて重たそうであるが、身軽になるのも時間の問題であろう。
時折、スズメに似た「岩ひばり」がチッチッとないて、這い松の茂みの中に潜ってゆく光景も見られる。 
きっと、新芽か種でもついばんでいるのであろうか・・?、

「 暖かい雪解けの春も間近だよ・・! 」 と思わず声を掛けたくなる。 


高度を推定すると2100〜2200m近辺へ来ているだろうか、赤ナグレ岳の巨大な山塊が左頭上に迫りつつある。

最後の踏ん張りどころである。 
後は一気に登った。


壁のように塞いでいた急斜面が、ここへ来てようやく姿を消してくれた。 
信じられないような平坦地に出たのである。 
ホッと胸を撫で下ろす瞬間であった。
安心の道をゆっくり歩を進めると、間もなく右側より他のルートからの合流点に達した。 

先ほど来、沼の縁で通過した「長英新道」との合流であった。
一息いれた後、一直線に頂上を目指した。

次回、「俎ー、柴安の山頂




【本文関連情報





 尾瀬紀行(22)燧ケ岳 「俎ー、柴安の山頂」  , 



 

 
 雪を被った柴安ーの山頂と振り返って望む俎板ー山頂



手前側、「赤ナグレ岳」の山塊が、いよいよ頭上に迫ってきている。
そして、間もなくの「ミノブチ岳」の峰に出た。 
ミノブチ岳は南東に突き出たピークで展望も良く、腰を降ろし休憩するには最適地でもあろう。 
既に、数人の登山者が休息を取っている。

南側の端に立って沼の姿を見下ろすと、沼尻あたりが直下に見えて、まるで鳥となって沼を俯瞰しているような気持がする。 
それに、正面には奥日光連山の展望も素晴らしく、鬼怒沼山や日光白根が屏風のように立ちはだかる。 
特に男体山の優雅な円錐形や女峰山の鋭角の山容が、遠慮がちに顔を覗かせている。


燧ケ岳は、標高2356メートルの柴安ー(しばやすぐら)のほか、俎板ー(まないたぐら;標高2346メートル)、赤ナグレ岳(同2249メートル)、ミノブチ岳(同2234メートル)、御池岳の五山の総称で、「燧ヶ岳」という単独の名称は無いのである。

俎ーに登る道はさらに展望が素晴らしく、なかなか歩が進まない。 
なにしろ、通過したミノブチ岳とあいまって、柴安ーの山容も迫ってきていて、その姿が迫力があって美事だった。


俎ーへ到着後、大休止を入れるつもりであったが、人が大勢(御池から登ってきた連中)と狭い岩場の山頂なので、一息いれて柴安ーへ向かった。

燧ケ岳の最高点は柴安ー(しばやすぐら)であり、その隣に、10m低い俎ー(まないたぐら)があるが、この二つのピークは元々は遥かに高い一つの山頂であったらしい。
ある時期、山頂部分を含む土塊が南へ滑り落ちたことによって、二つのピークが生じたといわれる。

その時、崩れ落ちた土砂や岩塊が麓の沼尻川を堰きとめ、尾瀬沼が出来たと言われ、又、崩落するときの侵食によって造られたのがU字状の凹地である「ナデッ窪」が形成されたといわれる。



人気(ひとけ)のない柴安の頂上で展望を楽しみながら、腹ごしらえをする。
何時ものことながら、持参した携帯ガスコンロにて湯を沸かし、インスタントラーメンを煮込みながら、コーヒーを沸かし、更に、缶詰の鰯を肴に気付けのウイスキーを流し込む。 

奇跡的といっていいほど無風に恵まれ、快適に頂上で過ごせるのは、山男として至福の一ッ時である。 
山への憧れは、やはりこの一瞬があるからだろう・・!。

昨夜、上野駅を発って沼田まで不眠の乗車、沼田から尾瀬の基地である大清水までバスで揺られ、大清水から三平峠までの長い道のり、雪中の尾瀬沼・沼尻までの湖畔めぐり、そして、燧ケ岳の最後の急登の数時間である。 

誰が考えても楽な山登りとは言えない・・!。 
苦渋をたぎらせながら、遂に、ここまでたどり着いた。

この労苦・・!!、

それでもこの位置・柴安や俎板ーの頂上に達したとき、この地球の凸部の大地に立った時、これまでの苦労は吹き飛んでしまうのである。 
しかも、充分お釣りがくるほどの充実感を味わえるのである。

やはり「山」とはいいもんである・・!!。


次回、「燧ケ岳のー




【本文関連情報






  目次)           山行記録   旅と山旅   関東百名山   日本百名山 
【旅のリンク集】
旅の紀行・記録集
山の紀行・記録集 山のエッセイ
「旅行リスト」
日本周遊紀行「東日本編」
日本周遊紀行「西日本編」
日本周遊紀行 (別URLです)

【日本の世界遺産紀行】 
北海道・知床  
白神山地 
紀伊山地の霊場と参詣道 
安芸の宮島・厳島神社  
石見銀山遺跡とその文化的景観 

ハワイ旅行2007
九州旅行2008
東北紀行2010
沖縄旅行2008
北海道道北旅行
北海道旅行2005
南紀旅行2002

古都鎌倉紀行
「山行リスト」 

立山、剣(天の記)(1971年)
白馬連峰登頂記(2004・8月)
北ア・槍−穂高(1968年)
上高地・明神(2008年)
南ア・北岳(1969年)
八ヶ岳(1966年)
八ヶ岳越年登山(1969年)
谷川岳(1967年)
尾瀬紀行(1973年)
丹沢山(1969年)
西丹沢・大室山(1969年)
西丹沢・檜洞丸(1970年)
丹沢、山迷記(1970年)
奥秩父・金峰山(1972年)
「上高地雑感」
「上越国境・谷川岳」
「丹沢山塊」
「大菩薩峠」
 


スキーの記録  
「スキー履歴」