エゴン・シーレ 〜28年の閃光〜

 あまりの衝撃に連日足を運んだ「エゴン・シーレとウィーン世紀末展」(東京新聞社主催)。シーレを主体にクリムト、ココシュカなど、世紀末ウィーンに咲いた豪華な花々。

 電車の中吊りには、朱色あざやかな「ほおずきの実のある自画像」(左)のポスター。クリムトの秘蔵っ子でもあったシーレは、きらめく画才を発揮しながら、28年の生涯を猛スピードで駆け抜けていった。


Egon Schiele Museum (日)
Egon Schiele Image Gallery

Filme  "Egon Schiele - Exzesse"    Jane Birkin (Vally)
2005.03.08


シーレの記憶〜エゴン・シーレとウィーン世紀末展 〜

 17年ほどまえ新宿の伊勢丹美術館で開催された『エゴン・シーレとウィーン世紀末展』。電車の中吊り広告に使用されていたのが「ほおづきの実のある自画像」。斜に構えた鋭角的な自画像と朱色のほおずきがあざやかな対比をみせる、印象が強烈なポスター。

 睡眠時間をけずり早起きして足を運んだ展覧会は、平日にもかかわらずかなり混み合っていたので、前半メインのシーレ作品から後半に展示されていたクリムト、ココシュカ、ヴィトゲンシュタインなどの作品までひと通り見たあと、もういちど先頭に戻って、1作品ずつたんねんに観ていきました。

 徹底した省略と塗り残し。鋭く切り取った動的な構図。ごつく尖った線。あざやかな色彩の対比。シーレの作品はフォルムにおいても、色彩においても、線描においてもすべてが強烈で、「才能」や「天分」という言葉の意味が眼で解かる見本のようでした。(昂奮が覚めやらず、展覧会へは翌日も続けて足を運んだような次第……)

 代表的な作品と個人的に好きな作品は、次のようなラインナップです。

「ほおずきの実のある自画像」(32×40) 「座る裸の男」(152×150) 「ヴァリーの肖像」(32×40) 「黄色のクッションと横たわる裸の男」(31×45) 「芸術家の活動を妨げるのは犯罪だ.それは芽生え始めた生命を奪うことだ!」(49×32) 「現代芸術というものは存在しない.芸術は不朽だ」(32×48) 

「3人の少女たち」(48×31) 「絡み合う男女の裸体」(31×47) 「交差して裸になる少女」(33×50) 「両肘を右膝の上に載せて支えて座る少女」(48×32) 「左足を高くあげて座る少女」(46×30) 「死と少女<男と少女>」(150×180) 

「新生児」(46×32) 「鏡の前のヌードモデルを描くシ−レ」(55×35) 「布をまとい背中を見せる半裸の女」(タテ長192×52) 「背中を見せる裸婦」(タテ長192×52) 「ひまわり供(タテ長150×29) 「クルマウの家並み」(110×140) 「洗濯物のある家々」(100×120) 「分離派ポスター:友人たち<テーブルを囲んで>」(リトグラフ) etc

 エゴン・シーレは名うてのグラフィックデザイナーであるいっぽう、ポルノグラフィーな裸体画や少女画が当時の公序良俗に著しく反するとして、たびたび逮捕拘留され裁判にかけられたりもしており、天与の画才もセンセーションナルなものでした。ちなみに、シーレの進学したウィーン美術アカデミー(美術学校)の同期受験生には、あのA・ヒトラーがいます。しかしヒトラーのほうは試験に受からず、政治の世界へ身を転じ、爆走することになりました。以前、カラー別刷りの新聞紙上でヒトラーの受験時の絵を見たことがあるのですが、いたって凡庸な図面風の公園の俯瞰画で、画力はすでに完結しており、将来的可能性というものを感じない絵でした。

[エゴン・シーレ]
1890年オーストリア・トゥルン生まれ。ウイーン美術アカデミー入学後G・クリムトと出会い、2年後に退学。数人の同志たちと「新芸術家集団」を結成し、創作発表活動を開始。センセーショナルな画風のため、たびたび逮捕・拘留・裁判が続く。1918年10月28日妻のエディトがスペイン風邪で急逝し、その3日後の10月31日同じスペイン風邪で倒れシーレも他界する。享年28歳。

 レオポルト美術館−オーストリア

2001.12.03


[ シーレ ]

● 世紀末クリムト仰ぐ青年の師にも与えしタッチ高らか
● わが道の行く先々でスキャンダル逮捕のたびにポルノ研ぎ澄む










 アート file

マン・レイ パウル・クレー エゴン・シーレ
ルネ・マグリット グスタフ・クリムト ジョルジュ・スーラ
ジョルジョ・デ・キリコ アンリ・ルソー展 ゴッホの災難.ゴッホ展
写真家ブラッサイの世界 生誕100年記念ダリ回顧展 葛飾北斎と安藤広重
東郷青児と竹久夢二 佐藤渓の「心象録・詩」 日本画家 松井冬子
日本画家 町田久美 束芋の「ヨロヨロン」束芋 イラストレーター 常田朝子
イラストレーター 田辺ヒロシ 古賀春江 シュールな童心 版画家 池田満寿夫の世界展
田中一村グラフィックな世界 写真家 植田正治 海外巡回展 青木繁 わだつみのいろこの宮
カオルコ個展 in NewYork 資生堂/香りと恋心〜バルビエ展 レオナール・フジタ展

 文 学 file

ル・クレジオ サン=テグジュペリの世界 メリメの「マテオ・ファルコネ」
曽野綾子さんのこと 安部公房〜砂の女〜 原 民喜  「夏の花」
林 芙美子 パリ日記 岡本かの子 試論1・2 川上弘美 「蛇を踏む」
金原ひとみ「蛇にピアス」 綿矢りさ「蹴りたい背中」 谷崎潤一郎「痴人の愛」
こどもの詩 〜川崎 洋 篇〜 寺山修司の世界〜虚空〜 中原中也賞「びるま」日和聡子
坂口安吾 洋書仕様「桜の森…」 追悼 塚本邦雄 水銀伝説の終焉 詩人・金子光晴「ねむれ巴里」







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