こどもの詩 川崎 洋 篇


 昔むかし新聞の[こどもの詩]というコーナーに掲載された子どもたちの詩をいくつかご紹介します。選者は詩人の川崎 洋さん。


[屋久島の杉へ]

ぼくは 9歳
お父さんは 32歳
おばあちゃん 60歳
ぼくたち人間は
20歳で やっと一人前
100歳だっているぞ
お母さんが 赤ちゃん
をうんで
また 何十年も生きるのだ
(栃木県□□市 □□小四年)
………………◇………………
 千歳で一人前の屋久杉。人間も
次々に命をバトンタッチして永遠
に生きつづけるのですね。
(川崎 洋)

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[きし先生]

きし先生は じぶんのことを
「びじん」
とか
「足が長い」
とか言います
だけどぼくは
ふつうだとおもいます
(東京都□□区 □□小ニ年)
………………◇………………
 きし先生は美人で足が長い、と
思っている大人の男性がいるかも
しれないと思います。
(川崎 洋)

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[やさしく]

おかあさん
おとうさんのこと
もっと かわいがったら
「つかささん」ってよばずに
「おとうさん」って
やさしく よんだほうが
いいよ
(横浜市 □□保育園三歳)
………………◇………………
 「司さん!!」という言葉のきつ
さに心を痛めていたのでしょうか
…反省――お母さんの添え書き。
(川崎 洋)

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[怒り]

腹があつくなり
腹の中で何かが動く
喉がムカムカし あつくなる
目があつくなり
息があらくなり
全身がふるえ
心が あつくなる
そして
こげあとがひとつ 残る
(東京都□□区 □□小六年)
………………◇………………
 自分の言葉で「怒り」を表現し
ていることに感心しました。
(川崎 洋)

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[せみ]

短い命を燃やして
鳴くせみ
だれかはうるさいというけれど
私はすごくきれいにきこえる
ジイジイジイジイ
せみさん鳴きすぎて
のどはかれませんか
(群馬県□□市 □□小六年)
………………◇………………
 たとえばアブラゼミは五年かか
って成虫になり、土の外に出てニ
〜三週間の命だそうです。

(川崎 洋)

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※ 読売新聞に連載されたこの投稿詩は、川崎 洋さんの編纂で、2冊か3冊の本になっています。
追記) 『こどもの詩』(川崎洋編、文春新書) この本ですね。