ここは異世界   モンスターたちが存在する世界。
そこに、この世界を守るヒーロー達がいた・・・。

これは、その彼らの活躍を描いた物語     



第1話 ヒーロー見参!



「ふぁ〜あ、うー・・今日も暇だぁぁ・・・」

大きく欠伸をしたのは十代。いつもの黒いインナーと赤い制服に白いズボン。
胡坐を掻いた足には、彼の相棒であるハネクリボーが納まっていた。

「十代!こんなところにいたんですか?」

「あー、エドか。お前もこっち来いよ、風が気持ち良いぜ?」

「誰が好き好んで屋根の上に登りますか!」

「えー、ビルの間は飛び移るくせに。」

「うッ・・・あ、あれはヒーローっぽいからいいんです!」

屋根の上へと続く窓から頭を出しているエドの、肩に少し掛かった銀髪が風で揺れる。
ムキになって言い返すと、失態を誤魔化すようにコホンとわざと咳をして、会話の内容を変えた。

「それより来てくださいよ、十代。お客様が来ています。」

「はぁ?客?」

十代がそういって立ち上がった瞬間、ただの住宅街には不釣合いな音が響いた。


ギャッ・・・キキキキィ   ッ、


「「・・・?」」

不審に思い、赤い屋根の上から下を覗き見てみる二人。
すると、家の前にペカペカと輝く黒いリムジンが止まっていた。

「・・・なぁ、エド?アレなんだ?」

「分かってるでしょう十代、
 この狭い住宅街にリムジンなんぞ寄越すのはあの方以外に考えられません。」

「あぁ・・・それは想像つくけどさ、
 なんでいきなりゴキブリみたいな車が来るんだ?」

あくまで素で『黒光り=ゴキブリ』と解釈したらしい十代。
エドは十代の言葉に思わず吹き出しそうになった。

「し、知りませんよ、そんなの。
 僕だって先ほどボスから『会わせたい奴等がいる』と連絡をもらっただけですから。」

吹き出すのをなんとか堪え(いや、表情は明らかに歪んではいたのだが)エドは続ける。

「あの方はせっかちですからね、迎えを寄越したのでしょう。」

「・・・かもな。」

そうして激しい摩擦によって発生した白い煙を呆れ顔で見つめた。
すると勢い良く運転席のドアが開き、中から黒ずくめの男が現れた。
しかも、サングラス越しにこちらを睨みつけてくる。

「・・・・乗れ。」

低い声で睨みつけられながらそう言われ、顎で指し示されたリムジンを見やる。
十代とエドは急いで下に降りると半強制的に(背筋を伸ばして)リムジンへと乗り込んだ。

「こッ・・・・恐ぇぇええ!!コイツ本気でボスの部下!?」

「ぼ、僕らを迎えに着たんですから、きっとそうなんでしょう?」

「いや、どう見たって悪じゃん!もしくはヤ●ザ!」

「い、いやきっとボスの部下ですよ、きっと・・・」

後部座席でボソボソと小声で会話を続ける十代とエドは、道中ずっと背筋を伸ばして座っていた。



* * *



「ボス、ただいま到着いたしました。」

やけに巨大な建物に着いた二人は運転手から逃げるように中へ入り、ある部屋の前まで来ていた。
車に酔った十代を無視してエドは目の前のドアを軽く叩く。

「入れ。」

ドア越しに聞こえる、澄んでいて凛とした気品溢れる声。エドは扉を開けた。

「失礼します。」

まず視界に入ったのは、扉の正面に位置する焦げ茶色のデスクと、
後ろ向きの黒い革張りの回転する肘付き椅子。
紅い絨毯の敷かれたその部屋は高級そうな雰囲気を醸し出し、扉の向かい側は一面窓の壁。
入室した二人の方にくるりと椅子はまわり、茶色の髪と青い瞳の青年が、エドと十代を見た。

「・・・ボス、一体何の用事でしょうか。」

「会わせたい奴等がいる、との連絡は行かなかったか?」

「あ、いえ・・・はい、来ました。」

「ならば理由は既に知っているはずだ、理解していることを質問するな。」

「はっ、はい・・・申し訳ありません。」

ボスが口を開くたびになんともいえない重圧を感じるエド。
しかし隣に立つ十代は車酔いでまだ気分が悪いらしい、あまり気にしていないようだ。

「それで・・会わせたい方というのは、どちらに居られるのですか?」

「もうすぐ来るはずだが。」


コンコンッ、


背後でしたノックの音にエドと十代は振り返る。
前からボスの入室許可を認める声。扉が、開いた。

「Hey!呼んだかいBoss?」

「「(うわぁ、何か変なの来た     !!)」」

十代とエドの心は一つだった。少々引き攣っている二人の表情は気にせず男は続ける。

「Oh!彼らがHeroかい?頼もしいね!」

カナダで銃撃戦でも繰り広げているのではないかと思われるようなウエスタンの服装。
右眼を包帯で隠しており、背中にはワニを背負っている。アヤシイことこの上ない。
それに加えて日本語と英語の混じった独特な話し方に無駄なテンションの高さ。
どちらかというと係わり合いになりたくない部類の男だ。

「貴様等の基地の幹部になるジム・クロコダイル・クック博士だ。」

「「(この人博士!?うそぉ!?)」」

「Nice to meet you!これからよろしくな、boys!」

「・・・・よろしく、お願いします。」

唖然とする十代よりも早く立ち直ったエドが、丁寧に挨拶をする。
それにつられて十代もまた、ペコリと頭を下げた。

「よ、よろしくお願いします。」

「こちらこそ!」

博士   ジムがニッコリとこちらに微笑み返すその後ろで、
背負われているワニがギラギラと黄色い目を輝かせて、じーっとこちらを見ている。
爬虫類に見つめられた経験のない二人は内心冷や汗をかいている。
(いや、通常爬虫類に見つめられることなど日常的にありえないが。)

「「(うわぁ、ヤバイ怖い喰われそう。)」」

その視線に気が付いたのか、ジムはキラキラと輝く爽やかな笑顔で微笑む。

「All right.心配いらないよ、カレンは君たちを食べたりしないから。」

「そ、そうですか・・・?」

「(いや、むしろ思いっくそ喰われそうだよなエド!?)」

「(そこじゃなくて名前がカレンってところにツッコミましょうよ十代!)」

目で合図する二人、状況が良く分かっていないがその性格ゆえニコニコするジム。
さりげないところで恐怖を与えているカレン、
そして互いの紹介が終わったのを確認して、ボスは口を開いた。

「ところで、ジムにはもう話してあるが、お前達に秘密基地を用意した。」

「ひ、秘密基地!?」

カレンへの恐怖はどこへやら、キラキラと目を輝かせる十代とエド。
ぐるりとすごい勢いで振り返り、ボスの方をじっと見つめる。

「とあるマンションの地下にある。今度からはそこに住め。」

「「はいっ!」」

「マンションの管理人は、ジムだ。きちんとジムの指示を聞いて行動しろ。」

「「は、い。」」

この人も同じマンションに住むのか・・・と内心ガッカリする十代とエド。
だが、秘密基地への魅力に比べたらそんなことはどうでもいいことだった。

「それと、既にマンションの方に向かっているが、もう一人仲間がいる。
 そちらの自己紹介は、マンションに行ってからしてくれ。」

「「はい。」」

「家の調度品は、貴様らがここに来ている間にマンションに移してある。
 せっかくの秘密基地だ、最大限に駆使しろ。今まで以上の働きに期待している。
 話は以上だ、即刻、秘密基地に向かってくれ。」

「「はいっ!」」

そうして十代とエドが退室しようと後ろを向くと、ジムがニコニコして立っていた。
そうだ、そういえばこの人も一緒のマンションに住むんだった。

「さぁ、下にオレの車がある。そのマンションへ移動しようか。」

「「・・・・・・。」」

ジムが運転する車・・・考えるだけで恐ろしい。
もしかしてウエスタンな危ない運転ではないだろうか・・・。
そんな心配をしながら、十代とエドは社長室を後にした。
ジムは二人の前を、鼻歌を歌いながら歩いていた。





                                          <続>





あとがきという名の懺悔

ヒーロー・・・のマンガが続行不可能なのでとりあえず小説にしてみました。
この最初の部分はペケと二人で考えていたものに書き加えた程度です。
これから後はとりあえず私一人で書く形になるかと・・うん。
まだまだ色々とキャラが登場してくるのでお楽しみに!