
「す、すげぇ・・・」
「吹雪さんも・・お兄さんも・・」
ドームに着いた皆は、圧倒されていた。
目の前で繰り広げられる決闘があまりにも、
気高く、雄々しく、激しいものだったから ・・・
奏鳴曲
「俺のターンだ。」
カードを引く。正直、ここまで吹雪が盛り返してくるとは思わなかった。
さすがは、アカデミアで俺と同等と言われただけの事はある。
こちらの先を読むわけではないのだろうが、切り返しも、頭の回転も速い。
その上適応能力もあるし、対処もすばやい。やはり、本気で叩き潰さなければ。
「俺は手札より魔法カード、『強欲な壷』を発動。更にデッキからカードを2枚ドローする。」
チッ・・さっきのターンで攻めた所為で、手札増強カードを使っても3枚しか手札が無い。
しかし、あと1ターン耐え抜けば、俺のフィールドにはサイバー・エンド・ドラゴンが召喚される。
大丈夫だ、そのくらい凌いでみせる。確かに吹雪相手では、少しキツいが・・・。
正面にいる吹雪を少し睨みつけてやったら、笑顔で手を振り返された。
・・・くそッ、このままではヤツのペースに飲まれるっ・・落ち着け、落ち着いて考えろ・・まだ策はあるんだ・・。
「・・俺は、魔法カード『死者転生』を発動。」
「確か、手札を1枚捨てる代わりに、墓地のモンスターを1体手札に加えるカード・・だったよね?」
「お前の言うとおりだ。俺は手札を1枚捨て、墓地のモンスターカードを手札に加える。
そして・・・『サイバー・ドラゴン』を召喚!」
サイバー・ドラゴン 攻:2100 守:1200
「うわぁ・・また出て来たぁ・・ショック・・」
見てみると、少し困ったような顔をしている吹雪。
芝居なのか、それとも本心なのかは、吹雪本人にしか分からない。
いつもいつもはぐらかされて、吹雪の心のうちが読めたことなんて、一度もありはしなかったから。
それを思い出したらなんだか悔しくなって、皮肉めいた口調で返した。
「それはそれは、光栄だな。」
「嫌がらせ?ひっどいなぁ亮ってば・・・」
「酷くて結構。お前は油断できない相手なんでな。」
「また"何を考えているか分からない"から?聞き飽きたよ亮、君のその台詞は。」
「そうだな。ならばお前にこれをくれてやろう。サイバー・ドラゴンの攻撃をな。」
「うーん・・それももういっぱい喰らってるからなぁ・・」
笑顔でそう返す吹雪。フィールドのエレメント・ドラゴンを守る術は無いようだ。
サイバー・ドラゴンの口から放たれた光線は真っ直ぐ届いてエレメント・ドラゴンを破壊した。
自然と笑みが浮かんでしまうのは、やっと吹雪にダメージを与えることが出来たからだろう。
「そして更に魔法カード、『非常食』を発動。
フィールド上の『旅人の試練』を破壊し、LPを1000回復する。」
「あー・・せっかく減らしたのにまた並んじゃったよ・・やっぱ強いね。」
「当たり前だ。お前の好敵手だった男だぞ?」
再び上がる歓声。圧倒的不利な状況からの逆転。
本当に、逆転ばかりの決闘だ。まぁ、こいつとの決闘なんていつもこんなものだったけれど。
「でも、僕も負けないから。僕のターン、ドローッ!」
・・どうして、アイツはこんなに楽しげなんだ?
「僕は、魔法カード、『機械じかけのマジックミラー』発動!
君が前のターン使用した魔法カード『死者転生』を使わせてもらうよ。」
まるで、本の続きを楽しみにしている子供のような、それでいて熱い闘志を秘めていて。
「手札を1枚墓地に捨て、墓地からモンスターカードを1枚手札に加える。
更に魔法カード『継承の印』を発動する。」
まるで、あの時のようで ・・・
『サイバー・ツイン・ドラゴンで直接攻撃ッ!』
『伏せカードオープン!『破壊輪』を発動!』
『っな・・・!』
爆発音と共に、サイバー・ツイン・ドラゴンが破壊される。
その攻撃力、2800が互いのLPから引かれ ・・
吹雪 LP:0
亮 LP:0
『・・引き分け・・・』
しかし、後方から、そして前から、拍手の嵐が2人を迎えた。
『すごかったぞー!』
『カッコ良かったッ!!』
女子からの黄色い声、心からの健闘を称えた歓声。2人は笑いあった。
『丸藤亮くん。』
声がした。放送だ。後方にある発信源を振り返ってみれば、そこには笑顔でマイクを取る校長先生が立っていた。
『合格だ。君を、オベリスクブルーに昇格させよう。』
そうはっきりと言って、『よくやったね、2人とも。楽しい決闘だった。』と続けた。
昇格 その言葉を噛み締めていると、後ろから呼びかけられた。
『亮ッ!』
さっきまで対峙していた吹雪が、こちらに駆け寄ってくる。
とても嬉しそうな笑みを浮かべて。
「おめでとう、亮!これで君も、オベリスクブルーだ!」
入学時、どんなに成績が良くてもイエロー寮に配属させられる。
そして吹雪は中学からの上がりで成績優秀者だったので、オベリスクブルーだったのだ。
「歓迎するよ、ようこそブルー寮へ!」
にっこりと笑いかけられる。台詞と共に差し出された手を取って、握手する。
「ありがとう。」
思わず笑顔を浮かべて。・・嬉しかったのを、覚えている。
吹雪が、まるで自分のことのように喜んでくれたこと。
吹雪との決闘が、とても楽しかったこと。
それは、決闘がまだ自分にとって大切な、人とのつながりだった頃 ・・・
「この効果により、墓地に居る3体の神龍―エクセリオンの1体を召喚!」
神龍―エクセリオン 攻:1500 守:900
「このカードは墓地に居る同名カードの数だけ、能力が得られる。
僕は、攻撃力を1000ポイントアップする効果と、倒したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える効果を選ぶ。」
神龍―エクセリオン 攻:2500 守:900
ハッとする。しまった、いつの間にか不利な状況に追い込まれている。
どうやら、記憶の糸をたどっているうちに逆転されてしまったようだ。
逆転に次ぐ逆転。息をつかせぬ騙しあい。様々な秘策と不意打ちの可能性。
吹雪との決闘は何が起こるかわからないから、注意していなければならなかったのに。
「君のサイバー・ドラゴンに、攻撃っ!」
「くっ・・・!」
「そう、分かるよね?君はさっき、自分の身を守る術 『旅人の試練』を破壊してしまった。
後悔しても、もう遅いよ、亮。君にこの攻撃を防ぐ手は、無い。」
爆発音と共に、サイバー・ドラゴンが破壊される。
だがしかし、それでも構わない。どちらにせよ、このターンを乗り切ったことに変わりは無い。
吹雪がエンド宣言さえすれば、俺のフィールドにサイバー・エンド・ドラゴンが召喚されるのだから。
「でも、あのタイミングでLPを回復しておいて良かったね。まだ僕と、決闘していられるよ。」
ニッコリと笑ってそう言う吹雪。俺のLPを1000まで減らしておいてよく言えるな。
・・・だが、助かったのも事実。
もし、吹雪が「相手モンスターを破壊した場合、連続して攻撃できる」というもう一つの効果を使っていたならば・・・
俺のLPは、600になっていたのだから。
「僕は更に伏せカードを1枚伏せる。さぁ亮、君のターンだ。」
「・・・あぁ。」
カードをドローして、笑みを浮かべる。降臨する。俺のフィールドに、至高の機械龍が。
「俺は『未来融合―フューチャーフュージョン』の効果により、サイバー・エンド・ドラゴンを召喚する!」
サイバー・エンド・ドラゴン 攻:4000 守:2800
「サイバー・エンド・ドラゴンで神龍―エクセリオンを攻撃!」
爆音がして、消え去っていく龍。しかし、吹雪はニッコリと笑っていた。
「さて、おもしろくなってきたね、亮?」
「あぁ。お前をもうすぐ叩き潰せる。」
「残念。僕は負ける気なんてさらさらないよ。」
「そうか、俺も負けてやる気はないぞ。」
一進一退の攻防。何が起こるか分からないこの緊張感。
もっと感じていたい、けれど必ず終わりはあって。
そしてそれは確実に近づいている。
「お前に、この状況を覆す手立てはあるのか?吹雪。」
『ヘルカイザー亮の切札、『サイバー・エンド・ドラゴン』が降臨しました!
それに対してダークネス吹雪はどう切り返してくるのでしょうか!?
今現在の状況は、ヘルカイザー亮のLPは1000、
ダークネス吹雪のLPは1900です!
決闘も佳境に入ってきています、勝者は一体どちらなのでしょうか!?』
あとがきという名の懺悔
もはや司会でまとめなければLPが表せません・・タイミング掴めないです。
つーワケで最後に司会を入れます。あー・・・このテンション、ウザい(扱い酷ッ・・
今回は過去話入れてみました。亮の昇格決闘の回想です。
絶対相手は吹雪だと思う、ていうかそうであってほしい(ただの願望じゃん
視点も吹雪から亮に変わっております、話の都合で(笑)
ところでエターナル・エボリューション・バーストは言わせたほうが良かったですか?
いや、サイバー・エンド・ドラゴンの必殺技名なんですけど。
サイバー・レーザー・ドラゴンとかの必殺技名わかんなくって。
だってE・HEROみたいにカードのテキストボックスに必殺技名書いてないんですもん。
いや、さすがにネオスとか融合モンスターは書いてないですけど、バースト・レディとか書いてあるんですよね。
かといって見直すのもなんか怖い(ヘルカイザーになりたての頃・・)ていうか面倒
でもダークネスフレア(ダークネスの必殺技名)は言わせる予定・・
・・まぁ、サイバー・ドラゴンのエボリューション・バーストも言わせてないし・・いいかなぁ・・