
目の前に対峙している彼は、楽しそうな笑みを浮かべて。
ねぇ、君が楽しみなのは、僕との決闘なのかい?
それとも、僕を倒す、その勝利の瞬間を思い描いての笑みなのかな?
どちらにしろ、僕は今から君の笑顔を奪ってみせるよ。
そんな意地の悪い笑顔じゃなくて、前みたいにフワリと笑う、その笑顔が見たいから。
協奏曲
「先攻は俺がもらう。」
「どうぞ?」
亮がデッキからカードをドローする。
引いたカード、そして手札を見、僕の方を見据える。
このターンの戦術は、決まったようだった。
「俺は手札より『サイバー・ドラゴン』を召喚。」
サイバー・ドラゴン 攻:2100 守:1200
あぁ来たよ、亮お得意のサイバーデッキが。
いや、サイバー・ドラゴンが、って言ったほうがいいのかな?
まぁどっちでもいいや、気を抜いてたら、負けちゃうからね。
「更に、俺は伏せカードを2枚伏せる。」
・・・罠・・・かなぁ。サイバー・ドラゴンは、亮のデッキの要だから・・。
けれど、それくらいで僕は引き下がったりしないよ。
「ターンエンドだ。お前のターンだぞ、吹雪。」
「りょーかい。ドロー・・僕は、『天使の施し』を発動。」
「・・・はじめから、手札交換カードか?」
「焦らないでよ。まだ何も、してないだろう?」
ニコリと笑顔を浮かべて、僕は亮を見た。
僕はカードを3枚引いて、手札から2枚墓地に捨てる。
「更に、僕は手札より魔法カード、『コストダウン』を発動。
この効果によりレベルを2つ下げて――『ホワイトホーンズドラゴン』を召喚する。」
ホワイトホーンズドラゴン 攻:2200 守:1400
「なるほど、上級モンスターの召喚か・・・さすがだな、吹雪?」
「それはどうも。それじゃあいくよッ!ホワイトホーンズドラゴンで、サイバー・ドラゴンを攻撃っ!」
「伏せカードオープン。『旅人の試練』を発動。
このカードの効果により、俺は手札からカードを1枚選ぶ。吹雪、お前がこのカードの種類を当てる。
外れたら、お前のフィールドにいるホワイトホーンズドラゴンには手札に戻ってもらおう。」
「うっわぁ、さすが亮。いつ見ても完璧なプレイング。」
「おどけてないで早く選べ。モンスターか、魔法か、罠か。選択肢は3つだ。」
「じゃあねぇ・・・魔法で。」
少しの沈黙。そして、僕の言葉の意味を噛み締めたように亮は口許に笑みを湛えた。
「・・残念だったな。これは、モンスターカードだ。」
裏返されて見えた絵柄は、"プロト・サイバー・ドラゴン"だった。
・・やられたなぁ・・まぁ、確率は3分の1だったしね。
僕の手札にホワイトホーンズドラゴンが戻っていく。
「さて吹雪、他に何かやることはあるか?」
「・・・伏せカードを1枚伏せて、ターンエンド。」
「立て直しが早いな。まぁいい、俺のターンだ。」
相手を叩き潰すことも、ねじ伏せることも、君が嫌ったものだったよね?
どうして変わってしまったのだろう、何故僕は何も出来なかったんだろう。
「俺は、『プロト・サイバー・ドラゴン』を召喚する。
このカードは、表側表示の場合、『サイバー・ドラゴン』として扱うことが出来る。」
プロト・サイバー・ドラゴン 攻:1100 守:900
「更に『フォトンジェネレーターユニット』を発動。」
不敵に笑う君は、もう僕の知っている亮では、ないんだよね。
僕がこの決闘に勝ったなら、ねぇ君は僕の親友の亮に戻ってくれるのかな。
「この効果により、フィールド上の『サイバー・ドラゴン』と
『プロト・サイバー・ドラゴン』を生贄に捧げ、『サイバー・レーザー・ドラゴン』を召喚。」
サイバー・レーザー・ドラゴン 攻:2400 守:1800
「うわぁ、大ピンチってやつですかね・・・?」
「そうだ。さぁやれ、サイバー・レーザー・ドラゴン。吹雪に直接攻撃だ。」
尾に光が集まっていく。それは1点に凝縮して 僕の方に放たれる。
亮が、とても嬉しそうに、笑うのが見えた。
「伏せカードオープンッ!『攻撃の無力化』を発動!」
そのレーザーは、カードの前で吸い込まれるようにして消え去った。
「してやった」と思ってたのに、亮はまだ笑みを湛えたままで。
「あぁ、避けると思っていたぞ、吹雪。やはり、すんなりとダメージを受けてはくれないようだな。」
「当たり前だよ。だって僕、痛いの嫌いだもん。」
「だがそれも いつまで持つかな?」
「それはこっちの台詞だよ、亮。」
・・・とは言ったものの。状況が苦しいのは相変わらず。
こういうときこそ余裕を見せて。相手に悟られないように。
「俺は『未来融合―フューチャー・フュージョン』を発動する。」
「切札を出すのが・・随分と早いね、亮?」
「お前相手だ・・・本気を出すのは当然だろう?」
「認めてくれてるの?ありがとう。」
僕が笑顔でそう言ったら、少し顔をしかめて。
あれ、いつもは笑顔で返してくれるのになぁ・・こういう台詞にも。
「デッキから『プロト・サイバー・ドラゴン』2体と『サイバー・ドラゴン』1体を墓地へ送る。
2ターン後、フィールドに『サイバー・エンド・ドラゴン』を特殊召喚する。」
「あぁもう、計算違い。困ったなぁ・・相変わらず強いね、亮。」
「当たり前だ。お前は、弱くなったのか?」
「そんなワケないじゃん。わかってるクセに。君のターンはそれでおしまい?」
「あぁ、お前のターンだ、吹雪。」
そういえば、亮は人の心を読むのが下手だったなぁ・・決闘は完璧なくせしてさ。
・・・いや、読めないからこそ、完璧なのかもしれない。
分からないから、あらゆる状況に対処できるよう、完璧なデッキを作ったのかもしれない。
だとしたら そう、君はやはり・・帝王と呼ぶにふさわしいのだろう。
デッキからカードを引きながらそう考える。けど、今はこんなの考えてるだけ無駄かもね。
どちらにしろ君のデッキは完璧で、今は僕が不利なんだから。
「さて・・・じゃあ僕は手札から罠カード『強制脱出装置』を発動するよ。
このカードの効果はフィールド上のモンスター1体を持ち主の手札に戻す わかるよね?
さぁ、君のサイバー・レーザー・ドラゴンを、手札に戻してもらおうか。」
「・・・確かに、腕は鈍っていないらしいな。」
フッ、と笑って、亮は手札に戻されたサイバー・レーザー・ドラゴンを見る。
・・・確か、サイバー・レーザー・ドラゴンは、さっきの魔法カードでしか、召喚できないはず。
ということは、とりあえず完全に封じたと見ていいだろう。
「更に僕は『エレメント・ドラゴン』を召喚するよ。」
エレメント・ドラゴン 攻:1500 守:1200
「1ターンでこれほどまで立て直すとは・・・さすがに俺が認めただけはあるな、吹雪。」
「お褒めに与り光栄です。」
ニッコリと笑ってそう返したら、亮は笑って。
あぁ、どうしてこんなに怖いんだろう。どこか遠くに、行ってしまったみたいだ。
亮はちゃんとここに居て、僕と向き合っているっていうのに。
「じゃあ僕は、エレメント・ドラゴンで亮に直接攻撃するよ。」
ビシッと指差した先に立つ亮は、笑みを湛えたまま、エレメント・ドラゴンが吹く炎を受けた。
そして受けた後も顔色一つ変える気配は無い。・・・あれ?
「亮・・・『旅人の試練』の効果は・・・?」
「意味が無いだろう?このカードは、お前が手札に戻したカードなんだからな。」
「・・・そうだね、それは『サイバー・レーザー・ドラゴン』のカードだ。」
「永続罠とはいえ、この状況じゃまるで意味が無いな。」
「確かに。事実、君は僕の攻撃を受けた。」
「あぁ。お前のターンはそれで終わりか?」
「まだだよ。伏せカードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」
そこで、歓声が沸きあがる。僕の逆転を、皆は驚いているらしい。
けれど、亮との決闘は、これが当たり前なんだよ。どんな絶望的な状況でも、逆転する。
それが連続して起こるから 亮との決闘は楽しいんだ。
『さぁッ!白熱してまいりましたこの決闘!ヘルカイザー亮VSダークネス吹雪!中間結果を発表します!
ヘルカイザー亮のLPは2500に対し、
ダークネス吹雪のLPは未だ4000!
さぁ、逆転が続くこの決闘、これからどうなっていくのでしょうか!?』
あとがきという名の懺悔
いてくれてありがとう、解説役の司会さん。君のおかげでとりあえず最後に現状まとめられたよ。
あぁ終わった・・疲れた・・。これ、本当はノートに書いて無いんですよ。
実はノートはかなり手抜きしてまして・・決闘の途中経過での回想シーンやらしか書いてないのです。
つーワケで、これはその場でほとんど考えました・・。
おまけに色々とカードの効果やら確認してたら間違ってるところとかありまして・・
せっかく立てたプランが全部パーですよ、水泡ですよ、本当。
そもそも最初はブッキーのターンからスタートだったのにッ!
とりあえず最初から全部パーですよ、ほとんどパーですよ。
いや、使うカードは変えてないですけどね、むしろ追加ばっかりしてますけどね。
とりあえず、決闘シーンだけで3本以上いくと思います。覚悟しといてください(ぇ
それでは。