コンコンッ

ノックの音。ホテルのある一室。

「はい。」

部屋の主は返事をしてドアを開けた。

「丸藤亮様、ですね。お届け物が届いております。」

目の前に置かれた大きな段ボール箱。
異常なまでの大きさのそれは相当重いらしく、カートで運ばれてきた。
部屋の真ん中までカートを引いて荷物を置くと、ホテルのボーイは無表情のまま帰っていった。
もちろん、「失礼致しました。」の挨拶は忘れずに。

「・・・一体、何が入ってるんだ?」



仕組まれた再会




きちんとしまっている蓋。「こわれもの注意」の張り紙。「天地無用」の張り紙。
・・・「こわれもの注意」と「天地無用」は同じじゃないのか。
とりあえず、開ける前に荷物に何か変なところがないか確認を。
・・・いや、既に存在自体が怪しさ満点なんだが。

「・・・これは・・一体・・・」

くきゅるるる・・・

「・・・・・今。」

何か、鳴った。絶対、何か鳴った。腹の虫の鳴る音?
しかし、俺は30分ほど前に食べたばかりで。
視線を大きな荷物に向ける。・・・人?人が、入って??
否、そんなこと有り得るはずがない。
確かに、カートで持って来なければならないほど重かったようだが、それは、有り得ないだろう。

コトッ・・

箱の上に乗っていた物が、落ちた。・・・何故に突然。
とりあえず拾ってみる。・・・太い、巻物。巻物?忍者の勧誘?
そういえば、この荷物の差出人を、確認していない。
誰なんだ?こんな非常識な荷物を送ってきたバカは。


天上院吹雪


「・・・・やっぱりか、あのバカ・・次会ったら絞め殺してやる・・」


ガタッ・・・


「・・・・・・・・。」

動いた。絶対、動いた。今、ダンボール、あの箱、絶対動いた。
一歩近づく。もしかして、まさか・・・・いや、ないない。
あんな世界バカ選手権に出たらダントツで優勝しそうなあのバカでもそりゃ常識くらい持ってるだろう。

「一体、何なんだ・・・?」

カッターでガムテープを切っていく。そして、開けた。

「・・・・・・・オイ。」

「・・・・・・・・・はい?」

「覚悟はできてるんだろうな?」

「いや、あの、えっと・・」

「メリークリスマス。聖なる夜に死に行け吹雪。」

「うっ・・・・え、あの・・・マジ、で、ですか?
 りょ、亮、あの、目、目が、本気で、目が、目・・・」

「・・・・死ね。」

叫び声が、亮の部屋に響いた。


* * *


「あ、の、ご、ごめんなさい、本当、すいません、えと、その、だって・・」

「・・・・・・・。」

「亮、ごめんなさい、謝る、謝ります、ごめんなさい、ごめ、あの、あうぅ・・・」

「・・・・・・・・・・。」

「ごめんなさい反省してますごめんなさいごめんなさいもう許してよぉ・・・・亮ぉぉぉ・・・」

そこで亮は大きくため息をついた。

「亮〜・・・」

「・・・別に・・・」

「ん?」

「会いたくなかったわけでは・・・ない。黙ってきたのも別に・・・驚きはしたが・・それも怒ってない。」

「じゃ、じゃあ何故に怒ってらっしゃるんですか亮さん。」

・・・こっちの機嫌を窺ってるな・・・。コイツはいつもそういう時敬語だからな・・。

「明日香たちには、知らせてきたのか?」

「・・・・忘れました。」

「心配しているだろう、きっと。お前は一度失踪した身なんだぞ?」

「あ、もしかして・・亮、皆に黙ってきたことに怒ってるの?」

「当たり前だ。今すぐ連絡入れろ。」

「はい・・・でも、亮?」

「何だ。」

「この通信機(もとい学生証)学園内でしか使えないんですが・・」

「電話を使え、そこにあるから。」

「っていうか知らないよ電話番号なんてさぁ・・・亮知ってる?」

「・・・・・・・。」

「知らないんだ。」

「・・・・・・・。」

無言のまま顔を背ける。・・・知らないものは、知らない。
俺は問題を起こしたことがない優等生(自他共に認める)だったからな。

「まぁいいや。明日、考えることにして、今日は一緒に過ごそうよぉ。」

「お前、事の重大さが分かってないな?」

「はい。」

・・・さらりと返しやがってこのバカめ・・・!

「よし、明日、エド・フェニックスのヘリに乗せてもらって帰れ。」

「えぇ〜・・・僕、あの子と接点ないんだけど・・・まぁ良いか、あの子可愛いしね―vv」

「・・・・吹雪、お前ってヤツは・・・死ね。」

「うわっ、死ねだって酷ッ・・・」

そのとき。

                              ッ・・・

「うっ・・・・お腹空いたよぉぉ・・・・・」

「・・・キサマまさか・・・」

「えへvv今日ご飯一口も食べてないよvv「死ね。」

「うわぁぁぁカイザー亮がこんな辛辣な台詞を吐くなんてぇぇぇええ(ウソ泣き)」

「うっ、うるさい静かにしろッ!今は7時なんだ!ご近所に迷惑だろうが!」

「いや、亮の怒鳴り声のほうがむしろぶッ・・!」

吹雪の左頬に右ストレートをかます。・・・うん、自分でも見事に決まったといえよう。

「うるさいと言ってるだろうが。分かった、食事に出よう。だから静かにしてくれ。」

「うわぁ、さすが僕の亮vv優しいなぁ、大好きッv」

抱きついてきた吹雪から目を逸らし、『早く帰ってくれ、頼むから・・・』と心の中で呟きながら、俺は溜息を吐いた。


* * *


「・・・で?何故、こんな手の込んだ真似をしてまで来たんだ?」

食事が終わり、部屋に戻ってきた。互いに白いソファーに座って、ガラス板のローテーブルを挟んで向き合っている。
テーブルには先ほど吹雪が入れた紅茶がまだ湯気を立てていた。

「うぅ、だってだって・・・亮に会いたかったんだもん・・・
 電話だって一回も来ないし、メールも来ないし・・さみしかったんだもん・・」

「うッ・・・・」

言葉に詰まる。確かに、最近忙しくて連絡もろくにしていない。

「・・・それは、その・・忙しくて、だなその・・いや、確かに俺が悪かった、すまない。
 でもその、忘れてたわけでは決して無くて・・あの、だから・・・」

「・・いいよ、別に。いいのいいの、これは僕のくだらない我が儘なんだから。
 だから僕が悪いんだよ。亮は、謝らなくていいんだ。」

「・・・吹雪・・」

「だから今日は久しぶりに一緒にゆったりまったりして過ごそうねぇvv」

「・・・あぁ、そうだな・・久しぶり、だからな。」

・・・あれ、またコイツのペースに巻き込まれてる・・・くそッ、やっぱり勝てないな、コイツには。

「ねぇ亮、プライベートな話聞かせてよ。亮の決闘は全部DVDで録画してあるから、決闘の話はいいから。」

・・・・どこにあるんだろう、そのDVD・・・叩き割ってやりたい。

「・・・プライベートって・・・いや、打ち合わせして決闘してたまに取引相手の社長と食事して帰って寝るだけだが。」

「・・・・なんか味気ないね、思ったより・・・」

・・・・自分でも思っていたところだが、コイツに言われるとムカついてくるのは何故だ・・・

「いや、夜の街に大冒険へ繰り出したりしてるのかと「誰がするか。」

あぁ全く何なんだコイツは・・・しかも笑ってるし。気持ち悪い笑顔を浮かべやがって。

「良かった、そんな風に先輩に引き連れられて僕の亮が汚され「誰が"僕の亮"だ。」

「やーだもう、恋人同士じゃないかぁvv「同僚だ。」

・・・・疲れる。なんだって疲れるんだコイツの相手は。
頼むから早く帰ってくれないかな、もう本当。帰れ、マジで。

「あーぁ、楽しい。久しぶりすぎて忘れてたよ、この感覚。楽しいね、亮。」

そうして極めつけの笑顔。少し涙目なのはアレだ、笑いすぎだと、思う。
でも、まぁ確かに・・・楽しい。吹雪の言ったように俺も忘れていた、な、この感覚は。

「そうだな、楽しい。」

「そうそう、その笑顔。その微笑みを浮かべてるときの亮が一番綺麗だよ。」

「吹雪っ・・・!お前ってヤツはッ・・」

不意打ちだ、不意打ち。あぁヤバイ、顔が自分でも分かるくらい火照ってる。
久しぶりだから免疫がなくなったのか?このくらいアカデミアでは軽くスルー出来たのに。
このままではあれだ、吹雪がつけ上がってしまう。

「・・・変わってなくて良かった、そのまま僕の可愛い亮で居てね。どんなに離れてたって愛してるよ。」

あぁもう何なんだコイツは全くこんな、恥ずかしくないのかコイツは・・!
いやいや、コイツの辞書に『恥』なんて項目あるはずがない(全否定)
それは分かっていたはずなのに、それなのに顔が熱くてしかたない。

「亮・・・」

こっちに来る。隣に座って両手で俺の顔を包み込む。あぁくそ、やっぱりつけ上がったじゃないか。
いつも温かい吹雪の手は、冷たく感じた。それだけ、俺の顔が火照っているということで。
でも、この火照った頬に当てられた手を、振り払うことも出来なくて。
それはきっと、心のどこかで期待していたからかもしれない。

「・・・吹雪?」

近づいてくる綺麗な顔。・・・避けられない。・・あぁ、全く。
半開きの吹雪の瞳。形の良く笑みを湛えた唇。優しい笑顔。
近づいてくるそれを拒む事など出来なくて、俺はゆっくりと、瞳を閉じた。




                                                                   






あとがきという名の懺悔

クリスマス、です、はい。もう無茶苦茶ですね、設定が。
実はこれ、クリスマス当日に書き上げたんですよ?
仕方ないでしょ、模試の試験時間中に書いたんですから(アンタ何やってんだ)
国語だったんですもの。時間が半分くらい余っちゃったの。
英語だったんですもの。分からなくて現実逃避したくなったの。
仕方ないんです、仕方ないんですよ、思いついたら即実行ですよね、普通。
ネタが思いついた、紙があった、さぁ、どうします?書くでしょう、その原理です。
でも、途中までしか書いてなくて焦りましたね、うん。だからってこの終わり方は・・・ねぇ?
続き?自分の脳内でお楽しみくださいませ。うふふ(怪)
というわけでおしまい。ではでは。