不完全な満月 

 

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 第四幕 『在るべき場所』

 

 

 



「ぁ……あれ?」


庭の手入れをする美鈴。
庭の手入れ、いや草むしりという名の雑用も門番である美鈴の仕事だ。
最近では手伝ってくれるメイドもいるから、仕事量は減ったのだが。
 

「紅茶の葉がきれいに採られてる」

 


ま、いいや。

しかし、門の前にいたけど誰も通った覚えが無い


「……寝ちゃったのかな」


……メイド長にバレるとやばい。 

そして持ち場である門に足早に向かった。

 

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トントントン……

 

 

静かな図書館に響くノックの音。

パチュリーが入っていいわと言い、静かに扉が開く。
 

「はいるわ」
「ぉ、お嬢様?!」


小悪魔が驚いた



「暇潰しに来てみたわ」

 


そう言ってパチュリーの書斎に入っていく。


(今日は訪問者が多いですね・・・)

そう小悪魔は思った。

 

 

 

 

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──書斎



「明日、白黒付けようと思うんだ」
 

レミリアが険しい表情で話す。


「そう……」


しばしの沈黙。


「珈琲をお持ちしましたー!」


小悪魔が書斎の扉を開いて珈琲を持ってきた。

言ってから気付いた、よく分からないが空気読めてない。と 

小悪魔自身やってしまっと思った。
 

「ど、どうぞ……」

「ありがと」

「で、では失礼しますねっ」
 

そう言って小悪魔は慌ただしく去っていった。


「……面白いわね、司書さん」

 レミリアが笑みを浮かべる

「それで、どうするの?」

 パチュリーが話を元に戻す。

「まだ何も分からない」

 レミリアも真面目な顔になる

「ただ何か言わないといけない気がする」

「言っとくけど」

 パチュリーが珈琲を飲む

「あの娘、一筋縄ではいかないわよ」

「…分かってる」


 レミリアも珈琲を飲む。


「……苦い」

「そう? 良い眠気覚ましにはなるけど」

「それに早く寝るから珈琲はいいや、なんとなく今日は良い夢が見れそうだしね」

「分かったわ」 

 レミリアが席を立つ

「おやすみ」

「おやすみなさい」

 そう言うとレミリアは帰っていった。
 

(レミィも成長したのかしら?)

そう思いながらパチュリーはまた珈琲を飲む。

 

 

 


「言われてみれば苦いわね……」  

 

(あの子にも紅茶の作り方でも教えようかしら…)

 

 

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一方、新入りメイド。
 

(……)
 

ポットからカップに注ぐ。


(色は……大丈夫ね)


カップの中にはいってる夕日色の湯。
 

(本の通りやったけど、美味しいのかしら……)


そう思い私は紅茶を飲む 体の芯まで暖まる。

……美味しい。


念入りに葉の量を計算したためか、苦くは無く良い香りが漂っていた。

 

(やっと、やっと出来た……)


ここの世界に来てから、何故か時間を操る疲労が少し減った。

時間的に五時間掛かったが、私の体内時計は十時間進んでいる。

そう、時間を止めて紅茶を作っていた。
 

そして紅茶を飲み干す。  うん、やっぱり美味しい。

 

(この手順を明後日やれば)

 

「ふぁ……」

自然に出た欠伸。寝なきゃ……。
 

ベッドに横たわり天を仰ぐ、部屋だから天井なのだが。
これまでの出来事を思い返す。

──上手く行きすぎてる。


紅魔館に来て、メイドになって

皆には優しくしてもらって。

……そして気になることがある。
 

 

『あなた、名前思い出せないの?』

 

 

 

「……名前か」

 

思い出せない、

名前なんて必要無いから思い出そうとも思わなかった。

 

そう思ってた。

 

 

いや、もしかしたら“今の私”には必要なのかもしれない。
 

……明日、ハッキリさせよう。

 

 

 

 

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―――次の日   19:12
 
 

「ふぅ……」

 

今日の夢は……思い出せない。

パチュリーに良い夢見れると思うの とか言ってたのに。


「ま、いっか」

 

 トントンとノックの音がする。

「失礼します」

 そこにはすこし大人の風格を漂わすメイドが一人。

「入っていいわ」

 メイドはレミリアに服を着替えさせる。

「そういや、あの人間。どうかしら?」

「仕事もよくこなすし、私たち妖精メイド以上に頑張ってるわ」
 

 人間も捨てたもんじゃないですね、と続ける


「そう」

「もしかしたら……あの娘にメイド長を任せられるかも」
 

そう言ってメイド長はレミリアの服のボタンに手を掛ける


「ひ、一人でボタンくらい付けられるわよ!」

そうですか、とメイド長はクスッと笑う。
 

「……お嬢様、大丈夫ですか?」

「ボタンくらい……」

「違います」


ん?とレミリアは顔をあげる。


「なんか思い詰めた様子だったので」

「ぇ、いや私はっ」

「伊達にメイド長を10年やってはいませんよ?」

メイド長がクスッっと微笑む。
 

「流石メイド長ね、お気遣いありがと」


でも、気にしなくていいわと続ける。
 

「そう仰るなら……。あ、あと……お食事が出来ていますので」


そう言ってお辞儀をしてメイド長は部屋から出ていった。

それを見届けると、レミリアは鏡の方に向かった。
 


自分が写っている鏡を見る


 

(表情固いかしら……私?)

 

 

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「やっと終わった……」

 

 

紅茶に時間をかけて寝る時間が少なくなった為か、一日中力が入らなかった。
 

「……ぁ、いたいた」


その声の主はメイド長だった。
 

「なんでしょうか?」

「お嬢様のお世話お願いしていいかな?」
 

───お嬢様と話す機会

 


「私でよければ」

「ありがと、今お嬢様はお食事中だから……」

「行ってきますね」

「行ってらっしゃい」

 

私は早歩きでお嬢様の元へ向かった

懐中時計を見ると短針が擦鉢爾隆屬鮖悗靴討い

・・・あれ、ふと思う。



 

 

 

 

 

 


 

(この懐中時計誰から貰ったんだっけ……)

 

 

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「ごちそうさま……と」

もともと小食の為か食事とは言えない程の量だ。

静かに布巾で口を拭う。


するとあの人間のメイドの声がした。

 

「お嬢様!」

「ん?  あら…」

「お嬢様のお世話を……」
 

……メイド長、やってくれたわね。
 

「そうね、だったら食事後の散歩でもしようかしら」

「はい」
 

そういって私の斜め一歩後ろを歩く。

廊下を出て大広間に出て、そして、門を開ける。
ふと、視線を落としてみる。

 



……微妙に自分の手が震えてるのが分かった

497年生きてきて………震えてるのか?

 

 

 

馬 鹿 ら し い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お気を付けて!」
 

ふいに門番の声がした、その声に構わず私はいつもの足取りで歩く。



何処に行くのかって?

……自らを問う。


決まってるじゃないの

 

 

 

──私と貴女が出会った場所。

 

 

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