おもしろ科学手品講座

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・・・・・・ 硬貨で調べる錯覚効果 ・・・
 

講座指導:諫早市多良見町 子ども科学てじな講師 田浦 和憲


【 材料 】 10円玉:14枚 1円玉,5円玉,50円玉,100円玉,500円玉各1枚

【 あそび方 】 
テーブルに10円玉を13 枚積み上げて置きます。
・・  その手前には1円玉,5円玉,10円玉,50円玉,100円玉,500円玉各1枚を横に並べます。 お友だちに、「直径がこの10円玉の山の高さとぴったり同じコイン はどれでしょう。」と聞いてください。

 ただし、絶対にコインに手を触れないで答えさせてください。できれば手前に置くコインは、直径の順に並べて置いておくと、考えやすいかも知れませんね。
 ちなみに小さい順に言うと、1円、50円、5円、100円、10円、500円の順になります。

 わたしが各地の子ども科学手品講座で聞いてみたところ、10円玉や100円玉と答える子どもが圧倒的に多く、5円玉や1円玉と同じ高さに見える人は、ほとんどいません。
 お友達がどれかを答えたら、そのコインを手渡して、実際に高さを測ってもらいましょう。

・・
 実は10円玉
13 枚の高さは、1円玉の直径とほとんど同じ か、ほんのちょっと小さいくらいなのです。
 しかし1度でそれを答える人はまずいません。
 間違えたら「違います。」と言ってそのコインを取り除き、何度も挑戦させてみてください。皆きっと驚くことでしょう。

【 原理 】
 特に何の仕掛けもありません。
・・  そもそも人間の脳は、垂直方向の大きさを、水平に置いてあるときよりも「大きく感じてしまう」 という傾向があるために、こんなにも間違えてしまうのです。しかしなぜ脳の仕組みがそうなっているのかは、はっきりしていません。

 では簡単に、それを別の方法で確かめてみましょうか。
 一枚の白い紙に、まず水平方向に1本の直線を描いて下さい。確かめやすいように両端に黒い丸印でも付けておきましょう。

 用紙はそのまま動かさず、その線の中心あたりからこんどは上方へ、縦に直線を引いてください。水平の線と同じ長さになったと思った ところでやめてください。
 定規は使わないでください。あくまでも自分が見た感じですよ。

 さて水平の線に沿って切り離し、ふたつの直線の長さを比べてみてください。ほとんどの人が垂直線の方が想像以上に短いのでびっくりするはずです。


【 さらに解説 】
 人間の脳がこのような働きをするひとつの仮説として、ある学者さんは、この方が進化の上で有利だったからではないかという考え方を発表しました。

 すなわち、人類がサルからようやく進化した古い原始時代には、横よりも縦の方が長く見える人も、短く見える人もたくさんいたのではないか。
 しかし崖(がけ)から飛び降りるような時に、横よりも縦を長く感じる人は、怖くて飛べなかった。しかし縦が短く見える人は、「なんだこれくらい。」と無茶に飛び降りて命を落とした。

 
 あるいは狩りをする場合、寝ていた獣(けもの)がむっくりと起きあがって攻撃してくると、その身長を実際より大きく感じた人は「これはかなわん。」と逃げて命拾いをしたが、獣の身長が低く見えた人は突撃をして獣に殺されることが多かった。

 つまり縦が短く見える人より、長く感じる人の方が死亡率が低かったため、その遺伝子がわたしたちに伝わっているのではないか、という学説です。

・・  もっと言えば、今で言う「高所恐怖症」的な感じ方が出来たおかげで、古代の人間は身を守ることが出来のだ。と言うのですね。

 神様が人間にこのような錯覚機能をわざと与えてくれたお陰で、私たちの祖先は生き延びることができたのでしょうか。
 ひょっとすると太古の昔、横よりも縦が短く見える性質の人間ばかりだったら、人類はとうの昔に絶滅をして、この地球上にはあなたを含めて誰一人、生存していなかったのでしょうか。

【 さらに新発想 】
 
   また、これは別の仮説ですが、我々の目は横長に付いている ため、左右の視界は広く、上下方向は狭く見えています。
 同じ1メートルの棒でも、広い横の視野で見るより、狭い上下の視界の中で見ると、視界いっぱいに拡がるために大きく感じるのではないのかという学者さんもいます。

 なるほど、説得力のある説ですよね。ある公民館の講座でこの話をしたところ、小学5年生くらいの女の子が、
「じゃあ、猫の眼って、縦に長く付いていますよね。だから猫は高いところから飛び降りるのはあんなに得意なのに、ちょっとした幅の溝だと横方向に飛び越えるのは後込みしてしまうのですか。」という質問をしました。

 なんて鋭(するど)い質問でしょう。すばらしい発想です。
 わたしは「うーん、ぼくは猫になったことがないから、わかりません。」と答えるしかありませんでした。
 誰か将来、学者さんになって、このことを調べてみてくれませんか。

 

もっとくわしく知りたかったら 科学手品18 「コインギャンブル」 小田 肇 株式会社テンヨー

写真は佐々公民館 おもしろ科学実験講座にて

 

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