fantasia

包みこむ光




俺の目をじっと一直線に見つめてきた。
その強い瞳の煌きにためらいや揺らぎはなかった。

俺はうなずかざるをえなかった。


美樹とは生まれた時からのつきあいだった。

親同士のつきあいも深く
年月の流れによって紆余曲折はあったものの
そのほとんどの時をともに過ごしてきた。

友人と言う感覚もなく、兄弟と言う感覚もない。

もっとも近い異性。

大切な人である事に違いはなかった。



向日葵が咲き乱れる公園のそばを歩いていた。
美樹との出会いは偶然だった。

少しの会話を交わした後に美樹が切り出した。
「今度2人きりで会って」

その時の美樹は違った。
いつも逸らしがちな俺の目を美樹自身に釘づけにする。
そんな強い力に溢れていた。

「わかった」
実はその時ごく自然に言葉を返す自分に気づいていた。




こんな形で会う事はなかった。

巨大な水槽で全体を包みこむ水中トンネルを歩いていた。
この水族館が2人の始まりの場所となった。


女を意識しなかったと言えばうそになる。
時に空気のような存在でもあった。
ゆらゆらと漂う思いが流れを定める事はなかった。

ただ強く繋がっていると言う気持ちだけは感じ続けていた。


海の生物が透明に澄みきった水中を
まるで天空を舞うかのごとくゆったり浮遊していく。

水の中にいるような気分だった。


ふと我にかえる。

美樹が少し先を歩いている。
水槽から降りそそぐ光のシャワーが美樹を包みこんでいた。


純白のサマードレスからスラリと伸びた足元がのぞく。
海底を散歩しているような
ゆっくりとした動きに見えた。


「Feel Like Makin' Love」


俺はどうしようもなく
美樹を抱きしめたい衝動にかられた。(sou)



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