fantasia

夢のつづき




「素敵ね」

開放された窓から風が入ってきた。
円やかな秋を含んだ香りを全身に感じた。

僕の部屋だった。

数百冊の書籍、数百枚のレコード、CDが
壁一面を覆いつくしていた。
それはまさに2人の前に立ちはだかっていた。


一冊一冊を手に取っては
喜びに満ちた顔で言う。

「借りていい?」

どうして、どうして、そんなに限りないほどの
美しい笑顔が出来るのだろうか。

「いいよ」

僕も精一杯の笑顔で応じる。



一枚のアルバムを手に取り
ターンテーブルに置き、針を落とす。


「Body And Soul」



様々な小説のこと、音楽のこと、日々のこと
とりとめもなく、でも真剣に話をする。


やがて2人はソファーでうたたねをする。
穏やかな安らぎの時間がゆっくりと過ぎていく。




僕たちは共通の夢を見ていたのだろうか。



数ヵ月後僕はいない、かもしれない。


その夢のつづきを見たかった。
その夢の記憶の糸をそろりそろりと辿ってみた。


でも、その夢の行方も、輪郭さえも掴むことは
できなかった。


誰かが、涙を流していた。


誰かはわからない。
そんな情景だけが微かに脳裏に残余していた。


ただとても心地よかった。
あたたかい光と温もりに満ち溢れていた。



僕はどうしようもなく泣き出したくなった。(sou)



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