奇跡




男と女が出会い子供が生まれる。

ただ子供たちは
運命によってはこの世に
誕生していない、
存在していなかった可能性もある。


雨が降り出した。
男はクルマを走らせながらハンドルをさらに強く
にぎりしめた。

さっきまであれほど晴れていたにもかかわらず。

待ち合わせの時間はとうに過ぎている。
ワイパーの合間に
ウィンドウを大粒の雨がすべりあがっていく。視界は悪い。
彼女がその場所にもういないことは
充分におしはかることができた。

女はずぶぬれになりながら
つらく、悲しい気持ちのピークにあった。
涙もとどまることを知らなかった。

待つことをやめる決断をした時、
指先にひとつの輝きが
灯った気がした。

雨はよりいっそうその勢いを増し
降り注いでいる。

黒々とした天の雲間から
ひとすじの光が舞い降りて来た。

その情景に合う言葉をさがせば
きっとこんな感じだ。

なぜ
あの時待っていてくれたのか。
ストレートな問いに
彼女はひとことつぶやいた。
左手の薬指に収まる何の変哲もない
プラチナのリングを見ながら。

「奇跡ね」

あれから一年。
今ふたりには自分の命より大切だと感じれる
一人の女の子が誕生した。

ありきたりの日常に
あたりまえのように子供の顔をながめていると
錯綜した「奇跡」により誕生した
命の尊さに気がつかない。

間違いなくあったであろう
「奇跡」を
たまにはココロニ呼び戻してみませんか。

そして子供を、
愛する人を、抱きしめてください。(sou)
                                   
                                       








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