HU領域を写すために

 

 

 

       

 

 Hα線は電離した水素原子が出す赤い光。その波長は656.28nmのため人の眼には見えない領域な

のだ。Hα線を出す電離水素が集まっている部分をHU領域と呼ぶそうだ。

 バラ星雲や北アメリカ星雲などの散光星雲には、HU領域を持つものが多く、眼視では見えない姿がそこ

にある。

 この姿を「見る」又は「写す」ためには、Hα線の656.28nm付近の波長を受光体に映し出さなくてはなら

ない。受光体とは、人の眼であれば網膜、銀塩写真であればフィルム、デジタル写真であればCCD又はC

MOSがそれにあたる。

 私は、HU領域が写り易くしたカメラを2台所有している。1台は、ローパスフィルターを除去しただけのもの

。もう1台は、ローパスフィルターを除去後にHα線の656.28nm付近に透過ピークのあるフィルターに換

装したものだ。

 ローパスフィルターは、文字どおり低い波長のみ通過させるためのフィルターで、400nmくらいから透過し

始めて、550nmほどでピークとなり、700nm以上をカットして自然な色を再現するために取り付けられてい

る。Hα線の656.28nm付近では、20〜30%ほどの透過率になり、これでは、充分にHU領域を写しだ

すことができない。要するに、写りが悪いのである。そのために、悪名高きローパスフィルターを除去する方

法が考えられた。

 1台目は、この改造を施したもので、ミラー前方にFFとしてLPS−P2を装着して光害と埃よけにしている。

実際に撮影すると、HU領域を驚くほど劇的に写し出す。

 ただし、全域での透過率が上がるため、色のバランスが崩れてしまい、撮影後には、補正が必要となる。

バックグラウンドは補正しても、赤味が残る。

 もうひとつの方法は、既存のローパスフィルターに換えて「Hα線付近」のみを透過するフィルターを

装着する方法。

 2台目のカメラはこの方法で自分で改造を行った。小市民の私には、かなりの勇気と度胸が必要とし

た。決断するまでに日数を要したことは言うまでもない。

 実写すると、HU領域がしっかり写っているのに、バックグラウンドがニュートラルグレイに表現されて

いるのには驚きでした。