
メモ:福岡県が本場の口説だが、大分県内でも下毛地方(耶馬溪町、山国町など)に伝承されている。
以前、文句が「正調」と違う、また尻切れになっているとお叱りの声があった。
ここに紹介しているのは大分県内に伝承されているものであり、本場のものとは
異なるということを補足しておきます。
国は筑前田川の郡 田川郡にて添田の町よ 添田町にはぐざえもんがござり
親の代から桝屋がござる 人に貸す桝あ八合桝よ 家に取る桝あ一升に余る
※桝屋=米を貸し付ける商家
人に〜余る=人に貸すときは一升桝に見せかけて実は容積が八合の桝で量り、
返してもらうときは一升桝に見せかけて実は一升以上の容積がある
桝で量る。いかさまをしている様子。
それにそういて孫利をかけて ねずみ算用で取り立てなさる 今で言うならサラ金稼業
人の怨みが年々積り とうとうぐざえもん病となりた 医者は中津の御殿医さまよ
※御殿医=お殿様の主治医
神も仏も見捨てたほどに 医者の見立てをちょいと聞くなれば 今の流行のアリャ癌じゃそうな
※見立て=診断
医者の薬も御利益なくて とうとぐざえもん相果てました 一家親族寄り集まりて
※相果てました=死んだ
それはそれはと嘆いてみたが どうせ送りはせぬこたならぬ 添田住いの大工を集め
※送り=葬式
大工人数が三十と五人 紫檀黒檀唐木を寄せて 切りつ刻んで棺こしらえた
棺は立て棺お神輿造り 四方の柱に竜辰巻いて 傘に飾るが鳳凰の鳥よ
一人息子が二十歳でござり 野辺の送りもどうやら済んで 世取り息子が後をばかいて
※野辺の送り=野辺送り。埋葬地までの道中。
戸口三尺かき出すほどに 西の空から黒雲巻いて 火車がつかんで虚空に登る
どこへ行くのか尋ねて訊けば 一の馬場越え二の馬場越えた 三の馬場には大木ござり
一の枝越え二の枝越えて 三の小枝にぐざえもん掛けて 欲はするとも我欲はするな
我欲すりゃこそ皆このとおり 言うて観音さん消えうせました