■アルコール依存症・引きこもり体験を経て、
  心身障害者のパフォーマンス集団「こわれ者の祭典」代表として
  活動する月乃光司の情報発信基地

 
 
月乃光司対談集
『病気だョ!全員集合』

月乃光司 著

新紀元社
2007年4月27日発行
本体1,500円+税
 


「病気だョ!全員集合」の
 予告編動画です。

「病気だョ! 全員集合」 月乃光司対談集

目 次

まえがき
《本書の内容》
サブカル系悶々型だョ!全員集合
VS.大槻ケンヂ
リストカットだョ!全員集合
VS.雨宮処凛
自殺未遂だョ!全員集合
VS.今 一生
醜形恐怖だョ!全員集合
VS.石井政之
異形だョ!全員集合
VS.手塚 眞
身障者だョ!全員集合
VS.ホーキング青山
アダルト・チルドレンだョ!全員集合
VS.信田さよ子
立ち直り自慢だョ!全員集合
VS.戸川 純
依存症だョ!全員集合
VS.中村うさぎ
VS.こわれ者の祭典メンバー#1
Kacco・アイコ・大久保長男
VS.こわれ者の祭典メンバー#2
DAIGO・周佐則雄
あとがき


●まえがき

「病気だョ! 全員集合」
この合い言葉で、僕たちのイベントは始まります。
僕、月乃光司は15歳のときから、対人恐怖症、ひきこもり、アルコール依存症、自殺未遂、リストカット、境界性人格障害、といろいろな病気を渡り歩いてきました。精神病院にも3回、入院したのです。
15年前にアルコール依存症の自助グループに参加するようになってから、お酒をやめることができて、いろいろな心の問題も少しずつ回復していきました。
5年前の2002年から、心や体に障害や「生きづらさ」を持つ仲間たちと「こわれ者の祭典」と名づけたイベントを始めました。
僕の住んでいる新潟市で始まったこのイベントは、「病気から回復したきっかけと、病気のありのままの自分をどうやって受け入れたかを、体験談とパフォーマンスで表現する自己肯定イベント」です。脳性マヒ、摂食障害、統合失調症、ノイローゼ……。
いろいろな病気の出演者がいます。
当初は1回限りの予定だったこの奇怪なイベントですが、熱烈な支持と応援を受けて5年間で30回近くも開催することになったのです。
イベントで、「病気」をキーワードとして、いろいろな方々とリンクできるようになりました。
この本は、僕が、イベント活動を通して出会うことができた方々との対談集です。
読者の皆さんには、シロウトの僕が、吹けば飛ぶような病気イベントを利用して有名人の皆さんと会い、舞い上がって興奮しているありさまをぜひ読んでいただきたいのです。
実はこの本は、誰にも会わず、自分の部屋の壁を見続けるか、手首をカッターで切り刻むか、酒を飲むことしかできなかった僕の、世の中への復讐の本です。
15年前に、僕がこの本に登場していただいた方々の名前を出して、「いつか対談集を出す!」と言ったら、また新たな妄想が出たと判断されて閉鎖病棟に入れられたかもしれません。
そして、かつての僕と同じように世の中に対して怨念と苦しみを今、持っている方々にぜひ読んでいただきたい本です。
こんな僕でも一歩踏み出すことができました。何かできるような気がします。
あなたにも何かきっとできるはずです。その何かはわからないけれども、その人なりの何かはきっとある、と思います。
その何かを見つける旅を、僕もあなたと共に続けていきたいのです。
今回、9人の方々との対談を通して、その何かを見つけ出すヒントをつかみ取りたいのです。
僕たちはいつも出発点にいます!
精神病院を退院して、病棟から一歩踏み出したあの日のことを思い出しながら……。
それではスタートです!
 

立ち上がるヒント
高橋郁丸(漫画家、民俗研究家)

 新潟の一介のサラリーマンである著者が、大槻ケンヂ・雨宮処凛・今一生・石井政之・手塚眞・ホーキング青山・信田さよ子・戸川純・中村うさぎという、個性豊かな表現者たちと対談をした、「病気だョ!全員集合」。本のタイトルにもなっているこのセリフは、著者が主宰する「こわれ者の祭典」というイベントで、ステージ上で最初に放たれる合言葉です。
 祭典は、「病気から回復したきっかけと、病気のありのままの自分をどうやって受け入れたかを、体験談とパフォーマンスで表現する自己肯定イベント」です。著者は境界性人格障害、自傷、自殺未遂、アルコール依存症、薬物乱用などで精神科病棟に数回入院、引きこもり生活も経験しています。
 自助グループに参加したのをきっかけに、断酒を守って社会復帰し、自伝小説「窓の外は青」を出版して話題になりました。そして、ラジオ番組にゲスト出演したのが縁で新潟のお笑い集団NAMARAの江口歩氏と意気投合し、2002年に江口氏と共に「こわれ者の祭典」を始めて開催したのです。
 著者は、社会の片隅で息を潜めていた者たちの共感を得て、その代弁者として、多くの人に支持されました。人気の理由は、生きづらさを「○○自慢」と笑い飛ばし、病気も弱点も含め、ありのままの自分を肯定する発想でした。著者は生きづらさを天性の文才で表現し、自らステージで絶叫します。
 現代は生きづらさを感じる人が多いためか、全国のマスコミも新潟発のこのイベントに注目しました。見ているだけでなく、自分も表現したいと、今では精神の病気だけでなく、脳性マヒや筋ジストロフィーという人たちも共にステージに立っています。
 本書の対談相手も、ほとんどがイベントにかかわった人です。こわれ者のメンバーとの対談もあります。対談者たちは生きづらさを考える月乃氏の使命を理解しており、自分が対談相手に選ばれたことを面食らったり、面白がったり、苦笑したり、感謝したりしています。
 皆がそれぞれ何に生きづらさを感じ、どう乗り越えてきたかを知ることができます。そして、生きることはつらいことであり、語り合い共感しあうことで、苦しさから解放され、立ち上がれるという著者のメッセージが伝わってくるのです。
 生きづらさは一人で握り締めていても解決しません。生きづらさを感じたら、本書を手にとって立ち上がるヒントをつかんでみてはいかがでしょうか。

(新潟日報 2007年9月9日掲載)