11月8日 テーマ・「自治体の政策形成

文責:実行委員会事務局






 第一講  北海学園大学教授  森  啓

 「自治体の政策形成力」

制度に魂を。旧来文化の束縛力を排せ!

 「合併特例債は,毒饅頭である」。森先生ならではの歯に衣着せない語り口が軽妙に会場に響いた。協働,協働,そして協働。協働という言葉が安直に使われ ている。パブリックコメント制度 ,オンブズパーソン制度,市民参画の政策評価制度 などの仕組みを入れても,その背景にある文化,真髄を理解して運用していかなければ,協働は実現できない。制度を入れても,行政実態や地域自治が変わった といえようか。行政が主体で,市民が統治の客体という従来の統治のあり方,文化をそのままに,現在の公共課題は解決できない。

 現在の公共課題は,分権と参加という実践がなければ解決できない時代である。制度改革により,機関委任・通達の制度廃止が行われ,参加の制度や実践が生 まれてきている。ようやく,地方分権により,地方,地域の自らの創意工夫が生かされる時代が到来した。しかし,「さあこれから」というときに「合併しなさ い」 という。突然の合併問題で,思考が停止したようである。

 1万人以下の市町村は自治権を取り上げるという論議が盛んになり,低劣な合併誘導が行われる中で,北海道の政策形成能力が低下することが危惧される。合 併問題ほど,住民の意見を聞くべき事項はあり得ようか。奈井江町では,町長が中学校でも説明し,子供も参加しての住民投票が行われた。これこそ地域の自治 をつくる象徴ではないか。

 都市型社会が到来し,市民を客体とする発想から生まれた行政手法で質的なまちづくりはできない。統治型,受身の行政は成り立たない。政策の策定と実施の 過程に,実質的な参画がなされ,自己革新した主体間の関係づけられた協働がなされなければならない。

 制度をつくることはゴールではなく,スタートである。「だから〜する」というべきである。文化の束縛力ということばを言いたい。制度の作り方に問題があ る。政策評価の中に,外部の人を入れるといっても,行政実態が全くわかっていない外部の学者を入れても機能しない。現場の当事者を入れて進めなければなら ない。組織内の文化そのままでは ,制度は機能しない。管理職は,統治型文化を一身に体現している。自分が許容できる範囲でやっていくのだから,古い文化で縛られている。今までの文化を変 えて,自己革新をする ことが,真の自治体の政策形成力を高めていく。

 自治体の実践に裏打ちされた森先生の言葉に,目指すべき自治体職員の方向を示された講義だった。

※事務局スタッフが講義を聴いて個人的に受け取った内容を記しています。講演者の真意と異なる場合がありますので念のため申し添えます。


 第ニ講 多治見市長 西寺 雅也

「多治見市の政策策定と政策実行−マニフェストを公表して −」

恣意的な政策決定を徹底的に排除

 今年,講師の西寺市長はマニフェストを掲げて当選されている(三期目)。 徹底した市民参加,職員参加の計画づくり,また,自治体が他の自治体に課す法定外目的税(一般廃棄物埋立税)など,多治見市の市政は,全国的にも注目され ている。そのエッセンスを市長自ら語られた第二講でした。

 しかも,マニフェストは,実際にまちの総合計画にも生かされているから驚きだ。5年の実施計画は ,1年縮めて4年計画に運用し,市長の在任期間にあわせ,任期中にマニフェストなどが計画に反映できるように工夫している ことが特徴である。市長はおごらず,自らを律して恣意的な行政運営を排除されている。

 多治見市の計画行政は徹底している。総合計画に掲載されていない政策・施策は予算化されることはない。行政(市長)のわがままは許さないというポリシー が貫かれている。もし ,計画の変更や計画にない事業の実施の必要が生じたらどうするのか?。

 庁議の決定を行い,「市民懇談会」の議論を経て,市民の目でチェックを受ける。総合計画そのものが市長のマニフェストというべきものである。市長の任期 とリンクされて,総合計画の実行可能性が保障され ,さらに,実行計画の実施が財政とリンクされているという徹底振りだ。

 美辞麗句の従来型の総合計画とは異なり,実にシンプル。実現可能性を期して,全 事業を一枚毎のシートに記載し ,具体的な方策,担当課,財源,成果指標などを掲げる。財政主導から,企画(総合計画)主導の予算編成 を行い,部課がその政策・施策・事業に責任をもつ体制を構築している。

 また,実行計画の見直しは2段階で行い,政策形成ヒアリングは,各課に対して財政,企画,環境から行い,全課長へ市長自らもヒア リングを行う。実行計画 ,組織目標,行革,環境側面,市長指示事項 などは政 策マトリックスを作成し ,政策の進行管理を行う。これは,職員の目標管理にも生かされている。

 様々な経営手法をブームのように取り入れている自治体は少なくない。しかし,真髄を理解し,実際の市政に生かすことが,西寺市政の真骨頂であり,今後も 目を離せない自治体のひとつと感じた第二講 だった。

※事務局スタッフが講義を聴いて個人的に受け取った内容を記しています。講演者の真意と異なる場合がありますので念のため申し添えます。


第3講 パネル討論      

司会 北海学園大学教授  森  啓       

パネリスト 多治見市長 西寺 雅也

       稚内市長   横田 耕一

パネル討論の内容は省略

パネリストと会場の参加者の皆さん