10月30日開催報告

文責:実行委員会事務局  レジメダウンロード(PDF) その2(PDF)

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第一 講 「入札改革で地域を変える」
                                法政大学法学部教授 武藤 博己
      

入札に価値を入れて,入札を政策手段に

 「地域を変えるには,入札制度をどう変えるかにかかっている」というお話から武藤先生の講義が始まった。なぜこの本を書いたか。談合のニュースがいつま でも止まない。首長,議員,職員など事件のニュースが相次いでいる。政策入札という新しい入札制度の研究に取り組んだ理由のひとつをこう話された。

 「政策入札」は先生の造語である。入札を根本的に変えなければ談合はなくならない。そんな問題意識でたどり着いたのが政策入札である。ある試算によると 65兆円という膨大な金額を政府が調達している。しかし,現状は価格という基準で選択しようとしている。その価格という基準が問題ではないか。

 最も問題は,指名競争入札である。指名競争入札が談合の温床になっている。談合は,口頭でやるので,証拠をそろえることは難しい。公取の任意捜査では難 しい。罰則も甘い。問題になった企業はつぶれていくのがアメリカ,しかし,日本では談合で倒産したという話はきかない。談合は「やり得」とういのが日本の 現状である。独禁法の罰則を引き上げることが必要ではないか。

 また,官製談合ということがある。なぜ自治体は談合をすすめたいのか。個人的な利益もある。しかし,それだけではない。自治体として地元の業者を優遇し たいという事情もある。地元の産業を育成・発展させたいという産業政策がある。しかし,一般感情からは理解されない。地場産業の育成は,むしろ技術力を増 すなどにお金をかけるべきではないか。では,地元の雇用を優遇するという考え方はどうか。どんな事業者であっても,地元雇用者の数を出してもらう。50% なのか,80%なのかで差別するのである。

 総合評価入札には,こうした価値を入れることができる。総合評価入札は,自治法施行令の99年改正で実現した。自治法は一般競争入札ほか4種類という基 本的な枠組みしかかいていない。施行令で改正したのは,価格その他の条件がもっとも有利な点を決定理由にできるという点だ。「価格その他の条件に何をする か」が総合評価入札のポイントである。

 神奈川県近代美術館の総合評価入札では,これはPFIであるが,業務遂行能力などの基礎審査に加え,入札額85点,事業の安全性5点,美術館の価値及び サービス水準の向上並びに周辺環境への配慮7点,喫茶・レストラン・ミュージアムショップなどの運営内容3点の合計100点で採点して落札者を決めた。

 では,社会的な価値をどう含めるか。性能,機能,安全性は当たり前で,さらに社会的な価値を入れる。そして,政策的な価値をいれた総合評価入札を先生は 「政策入札」と名づけている。そのうえで,4つの価値を提案している。「環境配慮」「福祉」「男女共同参画」「公正労働基準」である。例えば,環境配慮は ISO14001を取得している。福祉は,障害者の法定雇用率,男女共同参画は女性の雇用状況,公正労働基準は,労働の安全性、継続性などである。誰もが 見てそのとおりという基準をつくるべきである。入札に価値を入れることで,入札が政策を実現する手段になるのである。

 子育て支援に努力している企業は応援する。入札の中でポイントを加えていくということが効果的な支援になる。企業の中で様々な社会的な使命を果たそうと いう取り組みを入札で評価するのである。こうした政策入札を実現するため,社会的な価値を宣言した基本条例を制定することが必要である。社会的価値を宣言 した基本条例の制定し,政策領域ごとの検討作業を行い, 落札者決定ルールの制定する。それが談合社会を変えることにつながるのである。最後にこうした基 準をつくる上で,望ましい姿を明らかにすべきこと,そして主観的な価値を客観化するために,合意形成と市民の立場に立つことの必要性を語られていた。

 上記は,HP担当者の記録であり,講師の真意とは異なる場合があります。講義内容は個々人によって受け止め方の差があります。文責:実行委員 会事務局 

土曜 講座スタッフ報告  「自治体の戦略的アウトソーシング」

                         札幌市職員 酒井智美

 

               内容省略 

 

 

 ※スタッフ報告は,後日,報告書という形で掲載します。

 

第二 講 「働き方で地域を変える―フィンランド福祉国家の取り組み」
                        北海道浅井学園大学人間福祉学部教授 山田 眞知子   

どういう社会を目指すか。フィンランドには 理念がある

なぜフィンランドか。比較することによって日本を知ることに意味がある。フィンランドは,教育水準,水資源・環境問題は世界トップで,もっとも政・官の汚 職の少ない国である。そして,もっとも競争力のある国,女性の科学研究者数と地位が世界でもトップという国でもある。

一方,日本とフィンランドに似通った点もある。急速に高齢化する社会,戦後に都市化・工業化が進み経済成長を遂げた,福祉分野において民間団体の役割が大 きい,親族による介護の割合が大きい,地方分権,情報産業国………,である。

さて,福祉国家とはなにか。国民の幸せに責任を取る国をさす。すべての先進国は福祉国家である。そのために行う政策 が社会政策である。こうした理念を明確にもっているフィンランドは,公的な社会政策の範囲が大きい。すべての政策に国の関与が大きい。高度の普遍主義を とっている。重度の所得移転と高い租税が課される。自治体によるサービスが発達している。そして所得格差が小さい,という特徴がある。対GDP社会保障費(%)をみると,フィンランドが25.2%に対して,日本は20.5%であ る。高福祉高負担は競争力を阻害するといわれる。しかし,高福祉高負担は競争力を阻害しない。フィンランドが示した実例である。

すべての市民の参加によって社会は発展する。福祉国家は,産業の安定した成長に多大な貢献をしている。特に,普遍的な社会サービスと教育制度の貢献が大き い。フィンランドの教育制度は,平等な学ぶ機会を与え,義務教育から大学まで無料の教育制度である。フレキシブルな制度で,生涯学習も普及している。図書 館は自治体の仕事として明確に位置付けて,ひじょうに充実し,教師の質と能力の高さが際立っている。

国の役割は,所得保障(年金,給付な ど)であり,自治体の役割は公共サービスの供給である。自治体の社会福祉と保健サービス(2000)では,歳出の 44%(教育サービスを含めると67%),職員の56%(教育サービス を含めると82.6%)に及ぶ。地方議会は,18歳以上に選 挙権,被選挙権があり,国政は別にして一定の条件を満たした外国人にも選挙権と被選挙権 を与える。ここで特徴なのは,女性の地方議員立候補者が38%で,女性議員は34.4%に及 ぶ。女性の労働参加率はひじょうに高い。フィンランドが,2001年(1564歳)で 72.4%,これに対して日本は,2002 ( 15歳〜  )に48.5% である。このように労働参加率は高いが,合計特殊出生率は1.80である。女性の労働市場参加が男性と同じで宗教的束縛のない国で出生率がなぜ高いの か。それは,子育てを支援する政策が充実しているからである。

日本と根本的に異なることがある。それは,女性が働いていることが当たり前で,政治参加も多いということである。日本は男性社会である。男性の価値観で社 会をつくっている。日本の保育,介護がいつまでも充実しないのは,男性中心社会が影響している。女性の社会参加,政治参加の必要性を示唆し,「フィンラン ドには,どういう社会をつくるのか,しっかりした理念がある」と最後を締めくくられた。

 上記は,HP担当者の記録であり,講 師の真意とは異なる場合があります。講義内容は個々人によって受け止め方の差があります。文責:実行委員会事務局 

第三 講 パネルディスカッション  「社会的価値を基準にした制度の開発」

司  会     北海学園大学法学部教授 佐藤 克廣
パネリスト  札幌パートユニオン会長 工藤仁美   
               法政大学法学部教授 武藤 博己   
               北海道浅井学園大学人間福祉学部教授 山田 眞知子  

内 容 省 略