彼女の好きなもの

「ねぇねぇ!こっちこっち!」
彼女はかなりのハイテンションだ。
「あぁ、わかったわかった!ちょっと落ち着け!」
俺は普段道理の返事をした。
久々のデートだから仕方がないだろうけど、ハイテンションにもほどがある。
「だって、久しぶりじゃん、遊園地来るの…」
俺はふっと笑って頭をなでた。
「分かってるって、よし!次、何乗るか!?」
彼女の顔は明るくなって、どれに乗るか選び始めた。
すると、顔をにやけさせて言った。
「ねぇねぇ、アレは?」
と指差すのは…
「ジェットコースター…」
絶叫系の嫌いな俺は顔が青ざめた。
正反対の彼女はずっと顔がにやけている。
久々のデートだし、仕方ないと向かったジェットコースターはある意味カップルばっかりだった。
「えらく、中学生が多いなぁ」
「まぁ、日曜だしね、仕方ないよ」
彼女はもう乗りたくて乗りたくて仕方なさそうだった。
番が回ってきて俺の顔はどんどん白くなっていく。
彼女の顔はもう、百万ドルの笑顔。
発進してしまった…もう、後には戻れない…。
「きゃー!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は叫んで叫んで叫びまくってしまった。
彼女は大はしゃぎ。
コースターは上へ行き下へ行き、挙句の果てには回り始めた。
『も、も、も、もう、無理…』
気絶した。
終わって十分くらいしただろうか、俺は彼女の膝枕の上で起きた。
「あぁ、よかった〜。終わって降りようとしたら気絶してるんだもん!
 ビックリしちゃった!」
「ごめん、俺苦手なんだよぉ。お前、知ってるのにわざとしただろう」
「へへへ、どうなるか見たくって」
まったくもう、とゆう顔をしている俺を見て、彼女はしゅんとなってしまった。
それを見た俺は
「まぁ、めったに乗らないから、新しい感覚だったよ」
と、彼女の頭を寄せた。
「うん…今度から気をつけるね」
と彼女。俺は少し照れて、買い物でも行こうかと言った。
彼女は、にこっと笑い立ち上がった。
「何買おうかなぁ〜?」
彼女は一生懸命欲しいものを探している。
俺は記念にと内緒で探していた。
『アイツ、髪の毛長いからなぁ…髪飾りがいいよなぁ…指輪は買ったしなぁ…』
なかなか決まらない中、彼女は色々と見ていた。ぬいぐるみコーナーに行ったり来たりを繰り返していた。
俺は髪飾りのコーナーをまじまじと見ていた。
「ねぇ、何見てるの?」
急に声をかけられてぎょっとした俺は
「あ、あぁ、暇だからぐるーっと見てたんだよ」
彼女は「へぇ〜、そう〜」と言ってぬいぐるみコーナーに戻った。
ほっと胸をなでおろした俺はもう一回似合いそうなのを探し始めた。
『アイツ、何がすきなんだ…?ちょうちょか?花か…?』
ちらっと彼女のほうを見た。ぬいぐるみ…くまか?
『アイツ…くま好きなのか…?やたらとくま見てるな…』
どうやらくまが好きらしい。だが、くまの髪飾りなんてあまり聞かない。
『でも、アイツ、ちょうちょも結構すきそうだな…携帯のストラップにちょうちょ着いてるし…』
と考えた瞬間、目が蝶の髪飾りにいった。
なかなか、シンプルで派手すぎず、やたらとごちゃごちゃしていない蝶のコンコルドを見つけた。
『お、これ、なかなかいいじゃん。夏祭りとかいけそうだな…シンプルだし、普段でもいけるだろ…』
すばやく手にとって、レジへと向かった。気づかれないように。
「お会計はご一緒ですか?」とレジ員。
へ?と横を見た瞬間彼女が居た。
「何買ったの?みせてー?」
「あ、あ、あ、母さんのみやげだよ!うん!」
「へー、お母さん思いなんだー」
と彼女の手にはくまの小さなぬいぐるみ。
「ほら、そのぬいぐるみ。すいません、会計一緒で」
レジ員はかしこまりましたと袋にコンコルドを入れようとした。
「あ、スイマセン、その髪飾り包んでください」
レジ員は、にこっと笑って箱に入れ始めた。
くまのぬいぐるみは袋に入れ、金を払って、包装してる時間をもてあました。
「ここの遊園地、結構おもしろいねー」と、彼女。
「なんか、乗り物より買い物するとこ多いなぁ〜」と、俺。
そうだね〜、を繰り返しながら買い物は終わった。
「さて、何処行く?」
彼女は乗り物に乗りたそうだった。
「ん〜、お手柔らかに頼むぞ?あ!メリーゴーランドは?」
彼女は「いいね!行こう行こう!」とはりきった。
馬やら車やらかぼちゃやらいろいろあった。
「アタシ馬乗るー!」
「んじゃ、俺も馬ー」
隣りあわせで乗った。メリーゴーランドから見る風景は、なぜかぼんやり見えた。
幻想的ではないが、何か、優しい感じがした。
昔から遊園地とゆう娯楽施設を体験した事のない俺は、正直メリーゴーランドは初めてだった。
何周かして、終わるころ外は夜空に近かった。
「そろそろ、帰るか…」
「そうだねぇ」
と帰り道を辿った。遊園地は、まだ賑わいを残している。
帰りの電車は、ラッシュも重なって車両は満杯だ。
俺は彼女の後ろにつき、出入り口付近にいた。
「いっぱい人いるねぇ〜」
「帰りのラッシュと重なっちまったからなぁ〜」
彼女はおっさん臭い中で言った。
俺たちは、遊園地前から2番目の駅でおりた。
彼女の自宅は2番目の駅付近だったから。
「あーあ、後ちょっとで家着いちゃうねぇ…」
と彼女は少し寂しそうに言った。
「そうだなぁ…。また行こうな」
と俺は言った。駅から徒歩10分のところの自宅に着いた。
「んじゃあな」
「うん、またね」
俺は帰ろうとした瞬間、渡しそびれそうになった。
「あぁっと!ちょっとまて!」
彼女は家に入る寸前で
「ん?」
「ほれっ」
買った髪飾りを投げた。
「あれっ?これお母さんにあげるんじゃないの?」
「お前に買ったんだよっ」
俺は照れくさそうに言った。
多分、顔は真っ赤だろう。
「ふふ、ありがとう」
と彼女は言った。
「ん、じゃあな」
「おやすみ」
今日一日大変な日だったなぁ。