それでも生きたかった-スラム編- コノ国はスラム街の多い国だ。 一歩、都会の外を出るとスラム、スラム、スラム。 オレは、こんな街が大っ嫌いだった。 信じられるのは、金と自分だけだった。 金のあるヤツはこんな街にも目を向けないだろう。 薬、強盗、殺人、そんなことはこんな街では当たり前のことだった。 銃の横流しなんてやっぱり日常茶飯事だ。 ダチは、マフィアの銃戦に巻き込まれて死んじまった。 たまたま、路地でくたばってる俺の手にはトカレフがあった。 強盗に失敗して逃げまくったその後だったからな。 逃げては追われ、盗っては売り、毎日がその調子だった。 だが、ある日。 こんな町に住む俺に声をかけたのは、マフィアのカルロってヤツだ。 路地で、くたばってるオレに声をかけてきた。 「おぃ」 オレは睨んだ、腹が減って動けなかったからな。 「お前の眼、いい眼してるな、俺んとこくるか?」 俺はとっさに頷いてしまった。 今思えば腹が減って仕方なかったんだろう。 「おぃ、おめぇ、名前は」 「…アメデーオ」 カルロは、ふふんと笑って俺の腕を引っ張っていった。 俺はどうでも良かった、マフィアだろうが、なんだろうが。 あんな街に帰らなくっていいのなら。 「さぁー、着いたぜ。まずは、風呂に入れ飯は後だ」 カルロはそう言って奥に行った。 入れ違いに女が出てきた。 「さぁ、お風呂に入りな、ったく、カルロったら」 俺は女に腕を引かれ風呂場に連れて行かれた。 風呂に入り終わると、今まで着ていた服がなくなっていた。 代わりに、スーツが置いてあった。 『前の服が無いっつーことは、コノ服着ろって事だよな…』 俺は、スーツを着風呂場から出た。 「なかなか、いいじゃねぇかよ」 出てきたカルロは言った。 そして、俺たちは奥に行った。 ワインがあり、美味そうな飯があり、テーブルの周りには数人のマフィア。 「さ、据われ。話がある」 カルロは微笑みながら言った。 俺はあいているテーブルに座り、カルロに用件を聞いた。 「で、話ってなんだよ。俺は正直、マフィアになんか興味ねぇ」 俺は喧嘩腰で言った。 「まぁまぁ、そう喧嘩腰になるな。話ってのは、お前に頼みたい事があるからだ」 さっきまで微笑んでいたカルロが急に冷淡な顔をしたのに冷や汗が出た。 「殺しの頼みだ。コイツを殺して欲しい。 お前が、マフィアなんぞに興味ないのは知っている」 カルロは言いながら男の写真を出してきた。 「コイツは俺の組と対立している組の頭だ。俺のシマで薬を流しているらしい。 買わされたやつは、精神不安定になり、何かにおびえ、幻覚が見え 挙句の果てには耐えられず、自殺だ。その薬が、俺の部下にも回ってきたらしい 100人ぐらい居た部下が半分になってしまった。それぐらい、強烈なやつなんだ。 早くしねぇと、俺んとこの部下がみんなやられちまう、とゆうわけでお前を選んだって訳だ」 と、長々しい説明を俺はしんみり聞いてしまった。 「金は出るんだろうな」 「あぁ、勿論」 よ、部下がスーツケースを持ってきた。 カルロは開け、こっちに中身を見せた。 「これぐらいでどうだ?」 俺は軽くOKを出してしまった。 まぁ、未来の事なんか俺にはわかんねぇからな。 コノ後俺は、写真の男を殺して、そいつの部下に打たれて死んだのさ。 死んでからじゃ遅せぇけど、マフィアなんて殺しに行かないで 路地でくたばってりゃ良かったんだろうな。 ま、そうやってしてでも最後の晩餐にありつきたかったんだろうな。
うわ、今度はマフィアもんかい! ってか、最後のオチが…。